自然豊かな町
快速列車に揺られること約二十分。ついに北広島市に着いた。駅の周りはマンションやスーパー、図書館などがポツポツと建っていて、お世辞にも都会とはいえなかったが、少し駅から離れるとゴルフ場等の自然豊かな場所へと着くらしく、俺としては住み心地が良さそうな感じがした。
「ここが北広島市だけど、どう?」
文香は不安そうな顔をしながら俺の顔を見た。
思っていた町と違ったらどうしようかという表情だ。
「いい所じゃないか、人の流れが緩やかで住みやすそうだし。」
「そっか!良かったぁ...」
「否定的な発言されると思ったのか?」
「まぁ...えへへ、そうだね。」
彼女は笑いながら答えた。
「札幌とかに比べると田舎じゃん?だからちょっとね、何か言われちゃうのかなって思ってた。」
「そんなことないだろ。自信もってくれよ。」
「うん」
そんなことを話しながら俺はエレシアで家の地図を調べる。
はじめて行く場所の情報を叩き込むのはあまり得意ではなかった。それなのにボディガードや時には諜報活動をしていたというのだからお笑いだな。
「そういえば怜斗君のお家はどこなの?」
「ここ。駅から少し離れたところだけど、図書館もコンビニも近くにあるし。」
開いていたエレシアの地図アプリを見せる。
表示された住所を見て文香は驚いた顔を見せた。
「えっ、ここ私が住む家の隣じゃん!奇跡だよ!」
「そうだったのか...」
あまりに驚きすぎて思わず苦笑いしながら答えた。しかし俺の家の隣が文香の家だったなんて思いもしなかった。ってか普通に有り得ないだろ。
「さて、お家の場所もわかったし。早速行こ?」
「あ、あぁ」
俺たちは共に新しい生活の拠点へと向かった。
2人で他愛もない話をしながら歩いていたら目的地へと着いた。
今日からここが俺の家か。
築20年程で目立たない外観のアパートだった。ベランダや駐車場も着いており、なかなかいい場所だった。
その隣には綺麗で白い外壁の一軒家が建っていた。祖母が住んでいると言っていたからもっとボロい感じのイメージをしていたが。リフォームでもしたのか?
「私の家ここだから。結構見た目新しい感じでしょ?」
「まぁ、そうだな。リフォームでもしたのか?」
「リフォームって言うか...壁を塗り直したって感じかな。まぁトイレとかお風呂場もいじったからリフォームって言うのは合ってると思うけど。」
「そうだったのか」
「うん。それより怜斗君の家は...ここだよね?」
「あぁ、そうだな。」
「入っていい?」
「いいけど、まだ荷物とか整理してないぞ?」
「いいよ!私も手伝うし。って言うか荷物もう届いてるんだ?」
「あぁ、なんか誰かが俺の家に荷物運んでたらしくて。それで...」
「誰かって...知らない人?」
「いや、多分知ってる人だとは思うが。誰かは教えてくれなかったな。誰だろう。」
誰が運んだかは後で考えよう。それより荷物の整理だな。俺達は荷物整理をするために部屋に入った。
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