第65話 リドル部屋の新たな仕掛け2
その後は無事に、“9”から“10”の石造りのゲートを潜って迷路を脱出した
これで3つの仕掛けをクリアした事になるが、宝箱とカードの回収はまずまずと言った所。この勢いで最終エリアまで到達したいが、さてどうなる事やら。
『毒消しの指輪』(解毒Ⅱ)
そして魔法アイテムの指輪は、解毒の作用が付与されているらしい。そこまで強い効果では無さそうだが、毒持ちのモンスターと対する際には心強いかも。
魔石はノーム爺さんに返すのでお金にはならないが、ここまで既に50個近く貯まっている。ほぼ微小サイズだが、経験値もそこそこ得られた勘定だ。
次はどんな仕掛けかなと、朔也はそっと次のフロアを観察する。迷路を抜けた先は広い部屋となっていて、入り口以外の3面にはモンスターが何かを護るように
正面は2メートル級の獅子のモンスターだが、顔は人間の女性だった。恐らくスフィンクスだろうが、ここも謎掛けを挑んで来るのだろうか?
左の壁には聡明そうな顔の猿人がいて、こちらは普通の人間サイズだ。代わりに横幅はがっしりしているので、パワーは凄くありそう。
右の壁はラグビーボールサイズの、耳の大きなネズミ型モンスターが1匹のみ。いかにも弱そうだが、速度はそれなりにあるのかも。
どう言う仕掛けなのか不明だが、いきなり戦闘に突入とか芸のない事にはならない筈。そう思って用心しながら部屋に入った一行だったが、期待はあっさり裏切られる破目に。
何と3体が朔也チームに反応して、謎掛けも何も関係なく襲い掛かって来たのだ。迎撃を指示するも、それで良いのかなって朔也は混乱状態である。
「装甲クモは正面のスフィンクスを抑えて、ネズミか猿人から倒そ……あれっ、ネズミは襲って来ないの?
それなら猿人から倒そう、エン!」
速度だけは一人前のネズミは、こちらには近付かず部屋の隅へと積極的な退避を見せている。猿人は逆にヤル気で、太い腕を振り回してこちらに襲い掛かって来ていた。
女性の顔のスフィンクスも、その口からリドルは放たずに狂暴なモンスターそのもの。肩透かし感は否めないけど、エンの斬撃は呆気なく猿人を真っ二つにしてしまった。
そしてお次はスフィンクスだと、総攻撃を仕掛けようとした瞬間に。左の壁際に2体目の猿人がポップして、こちらへと襲い掛かって来た。
その手には棍棒を持っていて、何だか先ほどより強そうな雰囲気。
「ええっ、何で……とっ、取り敢えず弱らせたスフィンクスを倒しちゃおうっ!」
青トンボと人魂の魔法攻撃で、それなりに弱っていたスフィンクスは、殺戮カマキリと朔也の追撃で完全にグロッキー。最後の止めはエンが見舞って、これで2体撃破である。
とか思って安心していたら、正面の壁に2体目のスフィンクスの姿が。その女性の顔は先ほどより凶悪で、燃えるような赤毛はまるで炎のよう。
そして実際に、口から炎を噴き出して、盾役の装甲クモの表皮を焦がして来た。明らかに倒す度に強くなる仕様は、なるほど確実にリドル部屋の仕掛けなのだろう。
その謎を解かない限り、敵は延々と湧き続ける?
お姫もパニック模様で、どうしようと周囲を飛び回っている。その姿を見て、逆に落ち着くのは、いつものパターンと言うかお姫の存在意義でもあるのかも。
いったん冷静になった朔也は、この仕掛け部屋のカラクリを推測する。こう言うのはパターンが決まっていて、例えば何度か連続で倒すとそいつは2度と湧かなくなるとか。
後は倒す順番が決まっていて、その通りじゃないと湧き続けるとか……それだと、戦いに参加してないネズミが思いっ切り怪しく感じられてしまう。
アイツが逃げたのは、最初に倒されるのを防ぐためでは? そう考えた朔也は、
コイツはE級で忠誠度はF級だけど、思い切り逃走ネズミの近くに召喚してやる。するとカメレオンは、チョロチョロ動く存在を倒すべき敵と認識してくれた模様。迷彩モードで近付いて、長い舌で一気に捕獲する。
そこにダッシュで近付いた朔也が、麻痺のショートソード+1で斬りかかって行った。見事に作戦勝ちのこの結末に、2度目に湧く逃走ネズミの姿は無し!
小さくガッツポーズの朔也は、大急ぎでエンに猿人の討伐を呼び掛ける。2度目も倒されたそいつは、今や盾と斧を装備して簡単な装備まで着込んでいた。
火を噴くスフィンクスを長く放置は怖いが、コイツを倒して3度目の復活を見る方がもっと怖い。そこまで行くと、一体どんな攻撃を仕掛けて来るのやら。
幸いにも、装甲クモは物凄く我慢強くて炎の攻撃にも耐えてくれていた。逆に粘糸をばら撒いて、スフィンクスの動きを抑制までしてくれている秀逸さ。
蜘蛛なのでその手の技はあるかなと思ってたけど、やっぱり奥の手で隠し持っていたようだ。ソイツに止めを刺す勢いの殺戮カマキリを、
その隙に、エンはテメェしつこいんだよと切れ模様で、3度目の猿人の討伐に成功した。そして4度目の再召喚はされない事実に、飛び上がって喜ぶ朔也とお姫である。
後はボロボロのスフィンクスを倒すだけだが、何だか様子がおかしい。どうやら人魂がとり憑きを敢行したようで、ボーっと夢見心地の謎掛けモンスターである。
「ナイス、人魂っ……エン、待って! コイツの止めを刺させて、お願いっ!」
それなりに強そうな相手なので、出来ればカード化したいとお願いした所。渋々と言った感じで、その役目を譲ってくれる優しい隻腕の戦士であった。
そして人魂のソウルに断りを入れて、ショートソードの『急所突き』で見事に討伐を果たす流れに。その執念が実って、念願のちょっと良いカードのゲットに至った。
【スフィンクス】総合D級(攻撃D・忠誠D)
ちなみにネズミの方は駄目だったけど、そこは全然構わない。逃げてばかりのユニットなど、役に立ちそうもないのだから当然だ。
それから迷彩カメレオンにお礼を言って送還して、改めて周囲を見渡してみる。正面の壁はスフィンクスを倒した瞬間に、次のフロアへの入り口になったようだ。
そして左右の敵の召喚地点には、それぞれ宝箱と壁に
ちなみに先ほど活躍してくれた、人魂は今後ソウルと呼ぶ事に決定した。活躍する子たちは、こうやって名前を付けて順次お気に入りに登録して行きたい所存。
ところで額縁の中だが、飾られていたのは絵画ではなく古びた短剣だった。朔也が手を伸ばすと、それはカード化して朔也を所有者と認めてくれた模様。
とは言え、性能的にはとっても微妙な剣ではある。
【斬鉄剣】総合E級(攻撃E・耐久E)
しかも短剣なので、戦闘に使う事も恐らくないだろう。何しろ射程が短いので、モンスター相手に使うのはかなり度胸が必要になって来るのだ。
剣の技量も無い朔也が使うには、余りに無謀な攻撃手段である。そんな訳で、こちらは当分の間、ひょっとして永遠にお蔵入りになりそうな気配。
それはともかく、反対側の宝箱の中身は割と豪華だった。本日2本目のスキル書に、魔結晶(中)が4個、それから魔玉(雷)が5個にポーション瓶とMP回復ポーションが1瓶ずつ。
更に修繕の巻物(小)が2本に銀貨が50枚程度、後は何故かマトリョシカが数個出て来た。良く分からないが、ダンジョンのこだわりなのだろう。
それらを魔法の鞄に仕舞って、MP回復ポーションを飲みながら休憩する。朔也の肩で同じく休憩を始めたお姫に、仕入れた魔玉を配って次の敵への戦闘準備を行う。
他の連中も適当に寛いでいるみたいだが、さて送還した殺戮カマキリの替わりをどうしよう。朔也は考えた末、新入りの【スフィンクス】を試してみる事に。
回復したばかりのMPを消費して、召喚したスフィンクスはさっきと違って顔の
そして体は獅子のそれなので、間違っても欲情はしないと思われる。と言うか、その獅子の爪での攻撃も強そうな、新戦力の獅子娘ちゃんである。
この娘はD級なのでMPコストは10と結構掛かる。ただまぁ、言う事を聞かない殺戮カマキリの代役としたら、まぁ許せる範囲ではある気がする。
何より、あの装甲クモをあそこまで追い詰めた攻撃力は素晴らしい。お陰で盾役の彼はボロボロだが、もう替わりがいないので終了まで頑張って欲しい。
そう思いながら、休憩も終わって朔也チームは次のフロアへと進んで行く。そこは大きな部屋になっていて、突き当たりの壁に3つの扉が窺えた。
扉はそれぞれ、赤と青と黄色の色で仕分けられているけどヒントはそれだけみたい。どれかが当たりで、外れもあるのかなと朔也は一瞬不安になる。
とは言え、ここまで来て引き返す訳にも行かないので、お姫と相談して青の扉をまずは潜ってみる事に。そこは広くて円形のドーム状の部屋で、中央に小さな宝箱が1つのみ。
どう言う事だろうと用心して近付いて行くが、敵の出現する気配もなし。そのまま宝箱の前まで辿り着いた朔也は、カー君に確認して宝箱に罠が無いのを確認する。
そして開封したところ、中にはポーション瓶が1本と紙切れのみ。外れの予感がヒシヒシと伝わって来るが、紙切れに書かれた言葉を見て納得してしまった。
それには『ハズレ――ボスが+1されます』と書かれていたのだ。
「あっ、なるほど……3つの扉の中に、1つだけ当たりのボス部屋があるんだね。それをさっさと引き当てないと、ペナルティが加算されて行く感じかな?
うわぁ、それじゃボスが2体になっちゃったんだ」
それを聞いたお姫は
そう考えると、次の選択はとっても大事かも。残ったのは赤と黄色の扉で、場所的には左と真ん中である……場所で選ぶなら、中央の黄色がとっても怪しい。
その感覚を当てにするべきか、それとも左端の赤を選ぶべきか。朔也とお姫は話し合って、素直に中央の黄色を選択してみる事に。
ドキドキしながら、黄色い扉を押し開けて中へと入って行く朔也チーム。その空間はさっきのお隣りと同じく、広くドーム状の部屋となっていた。
その中央には、意外と巨体のボスが確かに2体ほど。
――どうやら当たりを引けたようだが、ボスは両方とも強そうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます