第35話 7日目の探索生活
祖父の
早起きは単なる習慣だけど、今日も誰よりも早く“夢幻のラビリンス”へと探索に
名前:
レベル:07 HP 38/38 MP 36/36 SP 30/30
筋力:20 体力:18 器用:24(+1)
敏捷:21 魔力:28 精神:25(+2)
幸運:09(+3) 魅力:09(+2) 統率:21(+2)
スキル:《カード化》『錬金術(初心者)』
武器スキル:『急所突き』
称号:『能力の系譜』
サポート:【妖精の加護】
レベル7に上がったのは、昨日の探索の結果ではない。“渓谷エリア”での宝箱の回収品に『虹色の果実』と言うアイテムがあって、それを昨日の夜に食した恩恵である。
ノーム爺さんの話では、レベルの低い者が食べるとほぼ確実にレベルが上がる貴重な魔法の果実らしい。ただし高レベルの者が口にすると、レベルアップの確率は極端に落ちるそうな。
そんな貴重な品も、昨日の探索ではゲット出来ていたみたい。ちなみに武器や防具も入っていたし、鑑定の書で一通り性能は調べておいた。
その結果、『魔鋼の篭手』は今後の探索で自分で使用する事に。両手剣の『魔鋼の両手剣』に関しては、当分は倉庫の肥やしか売り払うかのどちらかになりそう。
【魔鋼の篭手】装備効果:防御&精神+2
【魔鋼の両手剣】装備効果:粉砕付与&筋力+2
【虹色の果実】使用効果:レベルup果実
【招待チケット】使用効果:リドル部屋への招待チケット
【ワーム皮の魔法の鞄】使用効果:空間収納6畳分
その他:帰還の巻物×1、強化の巻物(1h・耐性up)×1、暗視ポーション瓶×2、
光り輝いているのは、新しくゲットした『ワーム皮の魔法の鞄』だろうか。見た目は汚い色合いをしているけど、何と部屋で6畳分の収納力を秘めている。
今後の探索に役立ってくれるに違いないけど、見た目のカバーをどうするべきか。出来れば別の布か何かで覆って、見た目を整えてあげたい気はする。
そんな裁縫スキルは朔也は持ち合わせておらず、当分はそのまま使う事になりそう。それから『招待チケット』は、“訓練ダンジョン”のゲートに使用すれば特殊エリアに入場が可能みたい。
ちょっと面白そうだが、敵が強かったり仕掛けが難解だといけないので、当分は使用を見合わせる事に。何にしろ、宝箱ゲットは本当に心浮き立つイベントだった。
今後も探索に向かう、良きモチベーションになりそう……ちなみに、一緒に出たスキル書だけど、こちらは使用した結果何も覚えられず消滅の結果に。
悲しいけど、確率からすればそう言う事もよくあると聞いていたのでダメージは感じずに済んだ。それよりレベルアップには成功したし、自身の強化については1歩前進である。
などと考えていたら、光の粒と共に妖精のお姫がカードから出現。
「おはよう、お姫さん……今日も朝食を食べたら、すぐにダンジョンに向かうよ。そんな訳で、今日も1日よろしくねっ」
そんな朔也の言葉に、任せておいて的なゼスチャーを返すお姫は今日も元気。それと同時に、朔也はこのチビ妖精のカードを何気なくチェックしてみる。
彼女のカードはクエストボードになっていて、今も光り輝く行が幾つか窺えた。どうやら知らない内に、クリアしたクエストがあったみたいだ。
***妖精のクエストボード***
『ダンジョン内で宝箱を発見しろ』
『カード合成を10枚成功させろ』
『ボス級の敵を3体倒せ』
朔也がその光に触れると、報酬となる品が目の前に出現して行った。宝箱の報酬は召喚カードのようで、当たりの前衛カードならチーム的にとっても嬉しい。
ちなみにカード合成の報酬は魔結晶(中)が3枚、ボス撃破の報酬は銀貨25だった。新たなクエストも出ているようなので、後でチェックする事に。
【快盗カラス】総合D級(攻撃E・忠誠D)
報酬のカードは何とカラスで、昨日入手した【盗賊カラス】の上位種のよう。正真正銘のD級ランクのカードは、ダンジョンで入手した【白木のハンマー】以来かも。
攻撃力もそこそこ高そうだし、斥候役もこなせるのなら常時召喚しておくのも手かも知れない。何しろ魔法の鞄を入手したので、運搬役のカーゴ蜘蛛の有用性が失せてしまったのだ。
パーティの入れ替えをそんな感じで考えていたら、部屋に朝食が運ばれて来た。いつものメイドさんが運んで来てくれた食事トレイを、朔也は礼を言って受け取る。
遠慮なく自分の欲しい食べ物を主張するお姫と、毎度の如く朝食を分け合っての食事タイムを終え。いつもの習慣で、9時前に本館の執務室へと装備を整えて向かう。
昨日手に入れたクロスボウや篭手は、入手先を執事たちに問われると不味いので装備していない。ダンジョンに突入した後、その辺は整えて行く事に。
秘密を持つのは何も悪い事ではない、手の内を明かせば敵も対策を練るのだから。老執事の
あれは確か、最初の対人訓練が開催された後だっただろうか。相手をした従兄弟がゴネて、素直に負けを認めなかった待ち時間だった気が。
朔也としても、何も悪い事をした覚えは無かったので、その言葉はすとんと心に入って来た。そもそも探索行とは、準備段階から自ら責任をもってこなすべきなのだ。
何しろ懸かっているのは自分の命、色々と策を
気の毒ではあるが、ずっと一族の柱だった祖父が亡くなったのだからこの騒乱も当然だ。新当主には、一刻も早くこの一連の騒ぎを抑え込んで欲しい所。
朔也も騒ぎに巻き込まれ、しかも一部の従兄弟たちにロックオンされていて気が気で無い状況なのだ。さっさと元の平穏な生活に戻りたい、まぁ探索者の暮らしも悪くは無いとも思うけど。
昨日の探索でも思い切り痛い目を見たし、命はたった1つしかないのだ。危険と儲けが釣り合うかと問われたら、朔也の手持ちの残高は現在2万円程度しかない有り様である。
魔石の儲けはあるけど、それ以上に装備品や何やらと金が掛かり過ぎ!
「おはようございます、朔也様……今日も1番乗りですね、カード化の成績も順調なようで何よりです。D級のカード化に成功したのは、現在では朔也様と朱羅様のみですよ。
その調子で、今日も探索を頑張って下さることを願います」
「おはようございます、毛利さんに皆さん……今日も先に、帰還の巻物1本とMP回復ポーション2本の購入をお願いします。うわっ、この前装備を買ったから手持ちのお金が心許ないですね。
今日はカード以外の、魔石と素材の回収も頑張らなくちゃ」
「入手した召喚カードも、不必要な奴は買い取り出来れば良かったんですけどね。
朔也様も、10枚以上の召喚カードをあぶれさせてるでしょう?」
そうですねと困り顔を作って応じる朔也だが、実はそちらも合成で美味しく使わせて貰っている。合成を回数こなせば、そのスキルも次第に上昇するのは分かっているので。
その過程も無駄ではなく、その辺の事情も新当主の
それに関しては、大いなるアドバンテージを得ている朔也である。とは言え、いつかは新当主もその情報を解禁するだろうし、夜の訓練以外のテコ入れもして来る気がする。
ちなみに老執事の毛利によると、今夜も夜8時から闘技場の訓練が開催されるらしい。2度目となる今回は、戦術の心得のある執事やメイドも参加を決め込むそうな。
良く分からないけど、新当主も大いにテコ入れの必要があると前回の体たらく振りを見て感じたのかも。今更な気もするが、朔也からすれば無難にやり過ごしたいとしか思わない。
特に新当主の長男の
取り敢えず、そんなヤワな連中に負けたくないので、今日も探索を頑張る気構えの朔也である。メイドに購入品を受け取って、お金を支払ってからいざゲート前へ。
今回も“夢幻のラビリンス”探索で、色々と稼がせて貰わないと。
そんな考えで放り出された7日目の探索先は、どうやら“密林エリア”らしい。ここは3度目なので、まぁ出て来るモンスターや道順はある程度分かっている。
その点は問題無いし、そろそろ3層で狩りをしても平気な実力をつけたい所。そこで良い前衛モンスターをゲット出来れば、今回は言う事無しである。
そんな事を考えながら、朔也は順番に仲間を召喚して行く。すっかりメイン戦力の【負傷した戦士】のエンに、E級の【戦闘コック】のコックさんが続く。
それから、後衛F級の【ゴブリン雑兵(弓)】もすっかりチームの一員だ。朔也より小柄な癖に、弓職と言うだけで優遇されているF級ランクのゴブである。
ここまでは順当なのだけど、さてここからが考え所となって行く。いつもは荷物の運搬役に、戦闘力のほぼ無い【カーゴ蜘蛛】を召喚していた。
ところが魔法の鞄を入手して、特に需要が無くなってしまった訳である。なので今回は、クエ報酬で入手した【快盗カラス】をお試し枠で召喚してみる事に。
昨日は下位互換の盗賊カラスを同行させてみたけど、悪くは無かった気がする。戦闘では全くの役立たずだったけど、斥候役だったり鍵開けに関しては素晴らしかった覚えが。
そんな訳で召喚した怪盗カラスだが、昨日の奴より一回り大きい印象。黒い羽根に朱の線が混じって、カラスとは違う種の鳥に見えなくもない。
コイツは攻撃力もE級認定なので、遊撃としても期待出来そう。召喚された新入りを見るお姫も、頼りになる部下が増えたなって表情である。
自分の装備も整えながら、実戦に初投入の『練習用クロスボウ』を朔也は構える。今回は遠隔はこれで対処して、敵が近付けば近接装備で戦う予定。
そう上手く行くかは不明だけど、敵のHPを距離のあるうちに削るのは悪い戦法ではない筈だ。ウチではコックさんも似たような戦術を使うし、朔也が加われば2倍の効力だ。
まぁ、コックさんがそれを行うにはマスターの命令が必須なのだけど。
――とにかく、これから7日目の“夢幻のラビリンス”探索の開始だ。
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