後編-6-

 ――深夜の鬱蒼とした場所で人工的な光も月の光も届かない。それでも明かりが必要なので車のフロントライトで作業場所を照らしていた。

 俺は寒空の下で必死でシャベルで穴を掘っていた。湯気が出るぐらいに身体は熱い。汗をかいているので、服が貼り付いて気色悪い。早く終わらせて、シャワーを浴びたい。頭の中はそんなことしか考えていない。現実逃避なのだろう。それでも、俺は手を止めることなく穴を掘り続けていた。

 無限にも続くような時間だったが、ようやく俺は穴を掘ることを止めた。ゴミ袋に入れた『それ』を掘った穴に放り込むと、休憩もせずに、今度は逆のことをする。シャベルで掘り出した土をすくっては穴に放り投げていく。単調作業の繰り返しだ。先程より運動量が少ないのだろう身体は熱を失っていて、汗冷えしていた。


「寒い、寒い。早く、終われ」


 そんなことを唇を真っ青にし震わせながら呟く。

 俺は必死で『それ』を埋めている。見つからないように。二度と光が当たらないように。

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