前編-5-
「ただいま、と」
俺は返事がないことを知った上で家の玄関でそう言うと、革靴を乱雑に脱ぎ捨ててリビングへと歩いて行く。その道中でスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩める。そして、リビングのドアを開けるとど真ん中に置いてあるダイニングテーブルに備え付けられている椅子に持っていた上着とネクタイを放り投げ、手に持っていたコンビニ袋に入ったパスタを卓上に置いた。そして、椅子に座ることなくそのままパソコンなど置いてある自分の趣味部屋へと進んでいく。
住み慣れて不満のない1LDK。独身の一人暮らしには充分な大きさだ。三十五歳になった今では周囲から結婚だの、同棲だのを色々考えるともう少し広いところに引っ越した方が良い、とそんなアドバイスを受けるが相手がいない俺にとっては余計なお世話だ。
座椅子とテーブル、そしてその上にノートパソコンが置いてある六畳の趣味部屋に入ると俺はいつものルーティンでノートパソコンを起動させる。中腰のままパスワードを入力しデスクトップ画面が表示されると、今朝スーツに着替えるとき放り投げた部屋着を持って、一度リビングへと戻った。
「よし、飯食ったら執筆だ! 明日から三連休だし、書くぞ」
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