前編-4-
「片桐 誠(かたぎり まこと)殿。貴殿が実施したロボティクス技術を用いた梱包作業の改善は非常に――」
社長が表彰状の内容を読み上げる中、俺は真向かいに立ちながらそれを聞いていた。上司を含む会社の上層部や同僚に見られながらの業績表彰。そこには嫉妬や羨望などの感情があるのだろうが俺には一切興味もなければこの場に立つことに緊張もしていない。何処に定めたらよいのかわからない視点は、何故か自然と社長の腹部を見ていた。少し小太りで丸く張った贅肉のせいでスーツのボタンが閉まっていない。
私腹を肥やして丸々と太った腹には、全てを吐き出させることが目的のようにナイフが突き立てられていて――そんな一文が頭に浮かぶ。何か自身の作品に使えないか、いや、もしかしたら使ったことがあるかもしれない。
「おめでとう!」
その言葉に反応したと同時に社長の笑顔が表彰状という一枚の壁が取り除かれることで現れた。
「ありがとうございます」
俺は表彰状を受け取って、一礼すると場内は拍手の音が響いた。
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