眠りの森へと続く径（こみち）に

青藍（せいらん）の空の下

「黄色い家」は建っていた

開いている小さな窓から

中をのぞき込んでみる

木のベッドが印象的な

ゴッホの寝室だ

けれども

そこにゴッホはいない

黄色い道と黄色い広場

パイプをくゆらせながら

家の前を歩いているのは

ゴッホだろうか

黄色の世界を眺めていると

黄泉平坂（よもつひらさか）という地名が過（よぎ）る

現世と黄泉（よみ）の国との境にある坂

月の裏へと続く道

私は夜空に架かった宙づり橋を渡る

月の光の入口を目指して

星々を眼下に眺めながら

天へとうねる「糸杉」の空のようだと思う

宙づり橋はどこでねじれていたのか

メビウスの輪のように

夢の径へと私を引き戻す

再び訪れたゴッホの部屋には

黄色い光の中で

「ひまわり」が咲き乱れていた

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