第2話 プロローグは海戦の準備(2)
「レビィアさま~、敵船団への
「ええ、ララさま、私は何時でもオッケーですよ」
「そうですか~。ではレビィアさまは待機の方をおねがいします~」
「ええ、了解……」
いつもは敵国の艦隊……。奴隷船……。
そして海賊船との海戦になれば私達の新しい祖国となるインドア帝国の第四皇子……。
インドア帝国の竜と恐れられる私の従兄で夫にもなる海軍都督の殿下が指揮を執るのですが。
先程殿下が私達妃に任したと告げた通りで、今も主さまは優雅にデッキチェアーに横たわりワインを……は飲み終えたみたいですね、あのひとは……。
でッ、今度は、殿下は私達の叔母上さまが嫁がれた、和の国の清酒と呼ばれるお酒を少しずつ優雅に飲みながら。
「美味い」と呟き、歓喜したと思えば。
「皆頑張れ~。骨は俺が拾ってやるから~」
家の一族の酔っぱらい男がデッキチェアーの上から私達へと微笑みながら手を振り、頑張れ! と告げてくるから。
私は叔母……。ルドア兄さまの母上さまの代わりに主さまの頬を打ってやろうか? と、自分の顔の眉間に皺を寄せ、眼の端を吊り上げ──殿下~! と声を大にして叫ぼうとしたら。
「はい、閣下! お任せあれ」
我が祖国の男装の麗人として少女からマダム至るまで大変に人気にある銀髪の伯爵令嬢さま……。剣技の実力の方も男勝りと、大変に定評があるレビィアさまが、私とどちらが大きいのか解らない巨乳の胸をポヨ~ン! と叩いて殿下に勇敢さを示してしまうから。
「そうか、レビィア。お前なら大丈夫だ。敵を蹴散らしてこい!」と、主さまは働く気もなく微笑み始める。
そう私達の主さまは、幼い頃から実の父であるガンダーラ三世の命で、和の国で武者修行……。叔父のシマズ伯の許で剣術を徹底的に教え込まれたルドア殿下の侍ウォーリアとしての剣術の腕前は免許皆伝の一級品……。
そんな主様の許で侍ウォーリアになるために剣技を再度学び中のレビィアさまだから彼女の腕前はルドア殿下自身が一番よくおわかりなので、彼女のことを𠮟咤激励すれば戦場へといってこいと手を振り見送るので。
まあ、レビィアさんは大丈夫そうですね、と私は思えば。じゃ次の人へと指示をださないといけな? と思うのだった。
「ララさん~?」
「何ですか、マヤさま~?」
「私が敵への砲撃を測量しながら砲撃手達への指示を出しますから。今回はララさん、貴女が艦隊全体の隊列の指示を臨機応変にお願いしますね」
私が残りのお妃さま達へと指示を出そうと思えば……と言うか? 私もレビィアさまと同じで、小さな小競り合い程度の戦ならば指示もだせますが、大きな戦での戦術や戦の流れを臨機応変に読み取ることはできません。
でもマヤさまは私達の祖国の海軍都督のお嬢さまで幼い頃から軍船に乗り、父君であらせられるドレイク提督から海賊行為や海戦とは何か? を事細かに叩きこまれた秀才のお嬢さまですから。
そのことを知っているルドア殿下ですから、今から大きな海戦がおこなわれると知っていても、主さまはあんなにも寛ぐことが可能な訳で御座います。(ペコ)
そしてマヤさまから我が艦隊の指示を任されたお嬢さまなのですが。彼女はまだ幼さも残る姫さまで……。
私達ルドア殿下の妃の中でも一番年下のララさまなのですが、彼女は幼い頃から本を読むのがお好きなようで。特に東方のファンタジー冒険譚の物語が大好きなのと、軍略書も読むのがお好きで、海戦のことに関してはマヤさまの方が一長一短あり、彼女は初心者なので今から覚えることも多々あるらしいのですが。
ララさまは陸戦のことにかけては天才的で、各布陣にも精通しており、軍略や智謀の卓上理論に関してはルドア殿下も舌を巻くほどのお嬢さまですから。彼女はチェスや囲碁、将棋などの卓上ボードゲームにも本当に御強くて、私達が束になってかかっても相手にならないほどの才女でございます。
そんな彼女がマヤさまから我が艦隊を預かり、ルドア殿下も了承をしてくれているのでララさまは本当に嬉しそうに微笑みながら。
「はい、マヤさま、艦隊の指揮権は預かりました。
ララさまマヤさまへと告げると自分の身体の向きを変え、私のことを見詰めると。
「シルフィーヌさま~、いつものように敵艦隊の旗艦へと開幕の魔法攻撃ブリザードをお願いしますね」と嘆願してきた。
「はい、ララさま~。私頑張りますね~!」
私はララさまへと鼻息荒く! やってやるぞ~! と言った気分上昇で告げれば。我が方の突撃隊の支援を兼ねて、敵の船団への氷の魔法攻撃と氷の橋を架けるための仕事をするために艦の側方へと向かって歩き始める。
◇◇◇
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