第099話 十字砲火に晒されて
左翼の負傷者を癒し終えたフロレアルは、イビルボア討伐に関する相談とやらの話を聞く為に、ライジンたちの元へと向かっていた。
その途中で見つけたシトロールの槍を片手に戻ってきたフロレアルが目にしたモノ──
それは、アーネとカテジナから交互に罵倒されているシトロールの惨めな姿であった。
だが、死亡
──アーネはシトロールの告白に、少なからず無い胸様なその胸をときめかせていた。
それには危機的な状況における〝吊り橋効果〟も含まれていたかもしれない。
だが、その告白から僅か一〇分も経たぬうちに告ってきた男が他の女──しかも己が望んでも得られなかった〝たわわなお胸様〟を揉んでいるのを目撃した。
その事実に対し、アーネは怒りに震えながら、一方的に怒鳴り散らす。
「──ちょっと!アンタちゃんと聞いてるの?!さっきから下ばっかり向いて!アンタは叱られてる子供なの?!話してる相手の顔を見ろって教えられなかったの?!こんなの常識でしょ!この変態駄犬!!アンタは卑劣なクズ野郎なのよ!何が『スキルの影響だったから仕方がない』ですって?!ホント信じられないっ!あんなたわわなお胸様を執拗に揉み続けていたくせに⋯⋯、こともあろうか変態痴漢行為を覚えていないなんて、との口がほざいてんのよ!そんなの信じられる訳ないでしょ!アンタの言葉なんてぜーんぶ嘘!何が〝好きだった〟よ⋯⋯。結局は大きなお胸の女の方がいいんでしょ?そうなのよ⋯⋯結局男なんて胸の大きな女の方が好みなんでしょ⋯⋯」
怒りに震え叫ぶように立て続けに放たれていたアーネの罵声。
その声のトーンは途中から急激に衰え、やがて呟くような大きさへと変わり、最後には消え入ってしまい、それに併せるようにアーネは泣き出してしまう。
──少なからずアーネの心は傷ついており、二年かけて
フロレアルには、アーネが泣き始め口撃の放火が止んだ事から、
──だが、新たな口撃がカテジナから放たれ始める。
恐ろしいことにアーネとカテジナからの十字砲火にシトロールは晒され続けていたのである。
そんな口撃に晒され続けているシトロールのメンタルは、狂戦士スキルの影響もあって〝責めるのは得意〟であっても、責められる事は殆ど無く〝打たれ弱かった〟──いわゆる紙装甲、良くてダンボール装甲程度であった。
そんな脆いメンタルは、二人からの十字砲火によりズタボロに射抜かれ、いとも容易く削られたSAN値は既に底をついて残っていなかった。
巨獣へと命を賭して襲いかかった痩躯の猛犬──それが今ではその身を小さく縮こませている。
地べたへと正座させられ、折り曲げている己の膝に両手を乗せ、背を丸めて
そんな震える駄犬をカテジナは、正に汚物を眺めるが如く、
アーネが速射砲の如く口撃を立て続けに浴びせるのに対し、カテジナは大口径砲が如く単発砲撃と装填を順次繰り返すように、淡々と口撃を放つ──
「──シトロール、アナタが犯した罪は許し難いものですわ。御使い様に対して、あの様な下劣でハレンチな羨ましい行為をするなんて⋯⋯アナタは一体何を考えて生きているのですか?どうしてそんなことができるのですか?」
カテジナは、怒りや嫉妬で荒れ狂う心を抑えながら、シトロールに向かって静かに厳しく語りかける。
その声は冷たく、その口調は厳しいモノであり、駄犬へと向けられる眼差しは氷のナイフの様に冷たく鋭いモノであり、まるでシトロールの心を刺し貫くようであった。
「──アナタの行動は信じられませんわ⋯⋯。命の恩人であられる御使い様に対して、その高貴なる御身体、お胸様に触れただけでも許し難い行為ですのに⋯⋯それだけでは飽き足らず、アナタは揉みしだくなんて、実に羨ま──許されざる蛮行にまで及びましたわ⋯⋯。アナタは一体何をお考えになられてるのですか?先程は、『そんなの知らない、スキルの影響下で覚えていない』と
カテジナの声には怒りと失望が混じり合っており、その言葉はシトロールの心に追い打ちを加えるのだった。
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今回は前回と同様のアーネのキャライメージがリンク先画像となっております。
本編含めて楽しんで頂ければ幸いです。
https://kakuyomu.jp/users/kunnecup1103/news/16818093077612052104
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