第098話 背負わされた者の叫び
──シトロール⋯⋯、人に告白したくせに⋯⋯。その直後に告った相手である私の目の前で別の女の胸を⋯⋯、それもあんなに大きなお胸様を揉みしだくなんて⋯⋯。
──絶対に⋯⋯絶対に許さないわよ⋯⋯。そんな手癖の悪い〝駄犬〟にはお仕置きが必要だわ──
そんなことを考え青筋を額に浮かべ引き
そんなアーネらシトロールから託された金貨入りの革袋を収納鞄から取り出すとフロレアルへと差し出して口を開く。
「──お胸様⋯⋯いえ、御使い様。コチラで手打ちにして貰えませんか?サヘランと駄犬の治療費、そしてカテジナが騒いでる〝その無駄にデカお胸様を揉んだこと〟への慰謝料です。
それだけ〝デカいお胸様〟をもってらっしゃるのなら、
アーネは無い胸様である自分への当て付けのような、フロレアルのたわわなお胸様を睨んだだけで人を殺せそうな目付きで眺めている。
そんなお胸様をシトロールが揉みしだく光景を目にした事から、アーネも完全にブチ切れていたのである。
それを見聞きしていたライジンが思わず
「──ッ!アーネ、ソレはシトロールから預かった金貨じゃないか?!
「──ライジンは黙ってて!」
アーネは叫ぶようにライジンを拒絶する。
そんなことは今までに一度もなかったことからライジンは面食らって黙ってしまう。
そしてアーネは一転して静かに語り始めるのだが、徐々にその後気が強まってゆく。
「──これはね、躾なの⋯⋯。そもそも預けただの、後で返せだの、その上告った事を忘れろなんてのは、シトロールが勝手に言ったことでしょ!それにライジンは男としてシトロールの気持ちを理解できるから、男側の立場で意見してるだけなの!色んなモノを押し付けられた私の気持ちを全然理解できてないじゃない!」
アーネが真っ平ら様なその胸の内を叫ぶも、そのやり取りを退屈そうに眺めていたカテジナが横槍を入れる。
「痴話喧嘩なら後でゆっくりと好きなだけなさってくださいな。それに対価が過剰か否かを判断する権利は御使い様にしかございませんわ。御使い様、如何なさいますか?」
「──そうね⋯⋯。革袋に金貨が幾ら入ってるかは知らないけど、お金が多い分には困らないから
アタシからの返答にライジンは何やら気落ちした様子で答えてくる。
「──好きにしてくれ。俺には意見する資格は無いみたいだしな⋯⋯。その代わり、他の負傷者の治療が終わった後で、イビルボアの討伐に関して相談したい事がある。構わないかな?」
「話を聞く分には構わないけど、その相談とやらに応じるかどうかは、話の内容次第としか言えないわね。それじゃ、交渉成立って事で
そう言ってフロレアルはアーネからシトロールの全財産を受け取ると中身を確かめることなく魔法鞄に触れつつ収納する。
そして左翼側の負傷者たちの治療へと赴くのであった。
フロレアルは左翼へ赴くと魔法士達へとライジンを介して負傷者の治療に当たることになった旨を伝える。
そして左翼で未だ倒れ伏せていた負傷者たちの状態を確認する。
未だに倒れてる負傷者は誰もが骨折などの重傷を負っており、それに対する魔法士達は初級上位クラスの治療魔法までしか扱えなかった。
そのことから思うように負傷者の治療が進まず、前衛の戦線復帰が叶わなかったのだった。
そこへフがフロレアル駆け付けて治療を施したことで速やかに負傷者の治療を終える。
こうして、チェーネ近郊におけるイビルボア討伐戦は、奇跡的に討伐隊全員が生き残るという結末を迎える。
──だが、巨獣討伐における全ての問題が解決した訳ではなかった。
~なぜなにシリエル先生~
幸いにも死者を出さずに済んだ巨獣討伐参加者たちでした。
この世界にも一応は治癒ポーションはあるのですが、使われることは殆どありません。
ポーションは治療魔法と違って、あくまでも〝治癒〟なので傷の自然治癒が早まるものでしかありません。
傷が癒えるまでは治療魔法と比べると段違いに時間を要してしまいます。
それに骨折などは折れた骨の繋ぎ合わせや正しい位置に戻し固定するなどの処置が必要不可欠で、それを怠ると、傷が癒えた時に折れ曲がったり、骨同士が接合しないなんてことが起きてしまいます。
その上、値が張るので、資金的に余裕がある冒険者が
因みにライジン、サヘラン、シトロールの三人だけは討伐隊の中で事前に服用していたんですよ。
だからこそ、サヘランやシトロールは命を繋ぎ止めることが出来たとも考えられます。
何事も備えあれば憂いなしということなのかも知れませんね。
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今回は出番が多かったアーネのキャライメージリンク先画像となっております。
本編含めて楽しんで頂ければ幸いです。
https://kakuyomu.jp/users/kunnecup1103/news/16818093077612052104
ご愛読頂きありがとうございました。
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