第014話 試し斬り×爆発=失意
アタシは、自らが創り出した
そこには過去の英雄を凌駕する
──そんな伝説級の一撃に国の外れの村にあった単なるショートソードが耐えきれる筈は無かったのである。
バケモノによる全力☆全壊の一撃──〝ソレ〟は、先の素振りと同様の衝撃波と破裂音を生み出すと共に振り下ろされた。
バケモノの全ての力が込められた音速を超える一撃がカカシと激突した瞬間──双方が爆散した。
〝ドガンッ!〟との音と共に生じた粉塵と衝撃に、付近にいた人々から一斉に悲鳴が上がる。
だが、その騒ぎが長続きすることはなく、次いで静寂がその場を支配し始める。
静寂が支配する中、状況を包み隠していた粉塵が薄れ始める。
その中から現れたモノは、剣を振り下ろし終えた格好で固まっているフロレアルの姿であった。
その右手には、刀身が完全に失われた元ショートソードだった
二つの〝モノ〟を目にした人々は、試し斬りが失敗に終わったと察する。
──誰も声を発しない、非常に気まずい、微妙で生暖かい空気が広場に漂い始める。
暫くすると、固まったまま微動だにしない──目から光が失われ、瞳孔が開ききった状態で放心状態となっているフロレアルの元へ、一人の人物が歩み寄る。
それは先に試し斬りを披露した男、シーバルであった──その顔には哀れんだ表情が浮かんでおり、その口から慰めと共に死刑宣告が放たれる。
「──残念だが刃が付いてる得物は扱いが難しいからね。どうやら刃ではなく刀身の腹で叩いたのが失敗の原因だと考えられる。あの凄まじい勢いに刀身そのものが耐えられ無かったのだろう。この感じでは刃がある得物は、他のもの含めて難しそうだから、何か別の得物に変えた方が良さそうなのだが、それでも構わないかな?」
その問いに対して夢に敗れて腐った魚の様な目をしたフロレアルがポツリと呟く。
「──ショートソードが使えないのなら、別に何でも構わないわ⋯⋯。どうせなら扱いが簡単で壊れ難い得物を何か選んで頂戴──」
その結果、アタシに用意された得物、それはメイスだった。
長杖よりも遥かに短いことから折れることも歪む心配も少なく、耐久性や強度が遥かに高い。
剣や斧などと違って刃が無い事から、握りや刃の向き、振り下ろしなどを気にする必要は全く、刃が無いのだから刀剣の様な引き斬るといった技術も不要──ド素人が扱うには、正にピッタリの得物であった。
その厚くやや重い金属質な白みががった得物の特徴は、他の武器が比較にならないほどの頑丈さである。
後で知ったのだが提供者は神官で、神殿に属する一部の神官戦士が用いている得物らしく、村の教会で埃を被って放置されていたから提供したとの事であった。
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フロレアル(主人公)①
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