第10話 雑談もしてみたいな あるいは。

「どうもイアでーす。雑談配信しまーす」

僕が唐突に始めたのは雑談配信。書いて字の如く雑談をする配信の事で、喋るネタが少ないとくそみたいな内容になるしライバー自体のトークスキルが試される。

『唐突枠立て』とかいうくそみたいな枠でも見てくれている人はいるようで、意外にも60人程度の同接が確保されていた。


「あ、どうも暇人眷属。こんな平日ひるっぱらから見ている君たちはニートか何かかな?あ、クロおばあちゃんは浴びせ売りして一時的に株価を押し下げては再び大量購入して株価を急騰させるとかいう悪徳株取引しているのは分かっているから除くけど」

『ニートじゃない、自宅警備員と呼べ!』

「はいはいニート乙。しっかりと働きなよ?」

『こうやって配信しているイアもニートでは?』

「...何を言っているのか。僕は今配信してるんだよ?ニートとよく言えるもんだねぇ」


そう、僕はニートじゃないはず。ニートと言うのは、

『Emilia:もう、何してるんだか。仕事してよみんな』

「お姉ちゃん、お前じゃい!」

自分の部屋が僕の部屋と同じ防音室になっているおかげで周りへの音の影響を気にせずに二つのステレオスピーカーと6個のディスプレイでこの配信を見ているのだろうお姉ちゃんのことを指すだろう。



『シロ:あ、イア様やっとるやん。ちーっす』

「あ、シロさんどーも。お勤めご苦労様です」

暇人ニート眷属たちと言葉で殴り合っていることおよそ二時間半、5時くらいになった今になってやっとシロさんが見に来た。因みにお姉ちゃんは次回の某ビッグサ○トで開かれるアレ用の同人誌を描き終わっていないからと4時くらいに去った。同接は大幅に増えて200ほど。うんうん、うちの眷属はニートばっかり。まあ学生がいるかもだけどね。

『シロ:お勤めと言うか、此処じゃないところを旅していたと言うか...』

シロさんは変なことをコメントした。此処じゃないところを旅していたって言う中二病発言は謎。もしかしたら学校の事をここじゃないところって言っていて、それで寝ぼけたとか?中二病を理解しようとするのは難しい。


『ちょっと前は魔法使ってきた』

「???」

思わず僕は首を傾げてしまう。魔法を使える場所なんてない筈...あ、もしかしたらMMO?でも、人が多くなってくるこの時間で切り上げるとは考えにくいし、化学実験でもしてたのかな?それだったら凄い言葉の使い方だけど。

『シロ:龍王クラスに爆裂魔法撃つのは最高に楽しい。特に陰龍王は実態ある陰が凄く固いからそれを殴るのが楽しい』

「???シロさん、大丈夫?」

『???????大丈夫だが?』

シロさん、本当にどうしたのだろうか。



雑談配信はその後6時にクロおばあちゃんがご飯の宣告をしたのでお開きとなった。シロさんが『もっと見たかったのに...』と不満そうに言ったけど、僕もお婆ちゃんの言う事を聞かないでご飯抜きになるのは勘弁なのでね。

その後に『よし、今回の雑談配信を五感でアーカイブを感じよう』とか言っていたのは―――気のせいかな?


―――


「ああああああああああ!配信見損ねたああああああああ!」

私は、現在イアの配信があったのに気づいて非常に荒れております。

優希君が中身であるイア イア。今日突発的に配信するのだと気付いていたならば、私はリィンレイズで龍王殴りなんてせずに配信を見ていたのに...!

え?私がVオタ?そんなことないですよ。...いや、あるかも?

荒れていたせいで変なコメントしちゃったけど、優希君はあんなに心配してくれたんだし、優希君もきっと気にしていないはず!

私のことは一眷属としてしか見ていないのが残念だけど―――私は、君のことがずっと好きだから。


今の所、ヴァーチャルライバーが増える兆しはない。ヴァーチャルライバーが大好きで大好きでたまらない優希君にとって、今の状態はきっととっても辛いよね。なら、私がヴァーチャルライバーになればいいんじゃないかな?幸いにも時間は無限にも等しいくらいあるし、インターネットに接続されているすべての端末情報は私が理解している。優希君の可愛いロリ衣装も大好きだけど、私はキリっとかっこかわいいを目指してみよう!

優希君のことだし、私のカッコ可愛いライバー姿に脳を焼かれて推してくれること間違いなし♪


ああ、優希君、待っててね?私が優希君のこと幸せにしてあげるからね。いぃっぱい幸せにして、愛してあげるから、優希君の推し感情もコラボ配信も夢の中も楽しみも悲しみも喜びも痛みも苦しみも楽しみも全部ぜんぶぜぇんぶ、私に捧げてね?

一つの体に宿っているのに、だからこそ触れ合えない遠い遠い月のような君。本当に本当に、大好き。



大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き






だから、私を捨てたりしないでね?

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