第17回 俳句の型についての備忘録


最近、俳句が詠めていないのでなかなか基本を忘れてしまいがちです。


そこで、『ここが知りたい!俳句入門~上達のための18条』(小川軽舟著 角川学芸出版)より、取り合わせの俳句を作る際の4つの型について自戒を込めてメモを残します。

なお、この取り合わせの俳句を作る「型」の初出は、小川軽舟の師である藤田湘子が著した『20週俳句入門』(KADOKAWA)になります。



◆型その一

・上五に季語を置き、切字の「や」で切る。

・中七と下五はひと続きのフレーズとして名詞で止める。

・上五の季語と中七下五との関連はない。あるいは関連は薄い。

・俳句の最も基本的な型。


 蛍火や山のやうなる百姓家 富安風生

 冬薔薇や賞与劣りし一詩人 草間時彦



◆型その二

・ひとつながりのフレーズの上五中七を「や」で切る。

・下五に季語を置く。

・上五中七と下五の季語との関連はない。あるいは関連は薄い。


 ぞんざいに拭かれし卓やかき氷 佐藤郁良

 缶詰の蓋に油や冬の滝 高柳克弘

 


◆型その三

・上五中七がひと続きのフレーズ。

・中七を連体形とし、下五を季語+「かな」で切る。

・上五中七と下五の季語との関連はない。あるいは関連は薄い。


 手をつけて海のつめたき桜かな 岸本尚毅

 思ふことかがやいてきし小鳥かな 石田郷子



◆型その四

・上五に季語を置く。

・中七下五をひと続きのフレーズとし、下五は「けり」で切る。

・上五の季語と中七下五の関連はない。あるいは関連は薄い。


 油蝉醤油を丸くかけにけり 中原道夫

 桐の花子役たちまち老いにけり 小澤實

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