体育祭編(2)

体育の時間になったので体操着に着替えてからグラウンドへ行く。体育祭まで残り二週間を切って練習はより大変になっていく。準備体操をした後にそれぞれの出る競技に別れて練習をしていく。私はまずクラス対抗リレーの練習に出ることになった。バトンの受け渡しの練習を十回ほどしてから一度通しでやっていく。男女交互にトラックを半周していく。男女それぞれの最後は一周走らなければならない。半周が100mなので200m走る。考えてるうちにどんどんバトンはつながれていき私の番になった。反対側にバトンが渡ったタイミングでトラックに出て準備をする。背を向けて走る準備をする。

「瀬名さん!」

声をかけられたタイミングで手を伸ばしながら加速する。手にバトンがふれたタイミングでバトンをしっかりつかみスピードを上げていく。フォームを保ちながら腕を振って走る。200mなら全力で走ってもギリギリ体力は持つかな。そう思って走ってみると残り20mくらいで一気に足が重くなった。なんとかスピードを落とさずにアンカーに渡して地面に座り込んだ。

「瀬名さんお疲れ。」

「速かったよ。」

「あり.....がと。」

呼吸を整えていたらアンカーが帰ってきた。

「いいんじゃないか?」

体育の先生がストップウォッチを持ちながら近づいてきた。

「今のところ学年1位だな。」

「ほんとっすか?」

「本番も勝てるんじゃね⁉」

「本番の前にまずは練習戦で勝たないとな。」

先生はそう言った。本番の前に体育祭の流れを確認するために競技は行わないで全校がグラウンドに集合するのだがクラス対抗リレーだけ行うらしい。練習戦は三日後に控えているため少し緊張してきた。200mの感覚が少し掴みづらいが今ので大体わかったから次は修正したい。

「少し休憩して授業の最後にもう一度走るぞ。」

「はい。」

一度リレーの練習は終わりになって二人三脚や障害物競走の練習が始まった。私は日陰に座ってそれを眺めていた。汗が首筋を伝っている感覚がする。タオルで拭こうと手をタオルに延ばそうとしたら首に冷たいものが当たって私は跳ね起きた。

「なに!?」

後ろを見るとスポーツ飲料のペットボトルを持った紗雪ちゃんがいた。

「驚きすぎよ。私が驚いたわ。」

「びっくりしたー。」

紗雪ちゃんは私の隣に座るとキャップを開けて飲み始めた。ごくごくと喉を通りすぎる音がした。

「私にはないの?」

「買ってこなかったわ。」

「私も飲みたいー。」

「飲みかけでよければ。」

紗雪ちゃんが差し出してきたペットボトルを受け取ると私はそれを飲み干した。

「あなた全部飲んだの?」

「瀬名さーん。走るよー。」

「はーい。じゃあ紗雪ちゃん。呼ばれたから。またね。」

「あとで何かおごりなさいよ。」

トラックの方に小走りで行く。さっきまで日陰にいたからかまぶしく感じる。

「じゃあこれで今日はラストだ。各々反省点があると思うからそこを意識して走れ。」

「「はい!」」

位置について今日二回目のリレーがスタートした。声を掛け合ってバトンをつないでいく。私の番になったので手を後ろに出して準備をする。

「はい!」

走り出すタイミングをわかりやすくするために名前呼びじゃなくて声をかけることになった。声が聞こえたタイミングで足を前に運ぶ。バトンを受け取りまずはしっかりスピードに乗る。8割くらいをキープして最後にラストスパートをかけることにした。さっきよりは余裕もあっては文くなった気がする。

「はい!」

アンカーに声をかけてバトンがつながった。足が限界でついその場にへたりこむ。アンカーはすさまじいスピードで走っていきトラックを一周して帰ってきた。

「お疲れー。」

「ナイスラン!」

「さっきより早くなったかな。」

先生がまたストップウォッチを持ちながらやってきた。

「すごいじゃないか!記録更新だ!」

先生は満面の笑みで褒めてくれた。

「よっしゃー!」

「本当に一位とれんじゃね⁉」

「アンカーのかいが速いわ。」

「いや俺なんかより瀬名さんがすごいよ。」

「瀬名さん確かに鬼早えよな。」

「あはは、ありがと。」

トラックで話していたら学校のチャイムが鳴った。

「やば。少しオーバーした。おーいみんな。挨拶はいいから解散で!体調不良やけがはないか?」

先生は慌てて大声でそう言った。



三日後体育祭練習の日になった。

「暑い....」

紗雪ちゃんが帽子を深くかぶって言う。それもそうで今日は雲一つない快晴だった。今日は朝学校に来た人から着替えてグラウンドに集合なのでグラウンドのクラスの応援場所で固まっている。うちのクラスは私と紗雪ちゃんときなこちゃんとあと数人しか来ていない

「まさに体育祭日和だねー。」

「練習だけどね。」

「唯ちゃんリレー頑張ってね。」

「頑張るよー。きなこちゃんは何にでるんだっけ?」

「私は二人三脚と玉入れだよ。」

「二人三脚は美玖ちゃんと?」

「そうよ。」

「あ、おはよ美玖ちゃん。」

「おはよう。」

体操着に着替えて鉢巻きを巻いて美玖ちゃんがやってきた。

「やる気があるね~。」

「?どうして?」

「だって今日は鉢巻きいらないよ?」

「そうなの⁉じゃあ取る。」

美玖ちゃんは鉢巻きを外してしまった。

「つけててもいいのに。」

「流石になんか恥ずかしい。」

そのあとぞろぞろと校舎から生徒があるいてきてチャイムが鳴るころには全員集合していた。

「皆さんおはようございます。今日も暑いので水分補給はこまめにしてくださいね。」

「はい!」

先生はそう言うと点呼をとってからまた教師席の方に戻っていった。




「次は一年生のクラス対抗リレーです。」

「行くぞ!」

「「おーーーー」」

快君を先頭にならんでトラックへと入場して並ぶ。トップランナーがトラックに出て走る構えを取った。

「パン!」

スタートを告げる銃声が鳴り響いて一斉に走り出した。同時にグラウンド中から応援の声がする。

スムーズにバトンをつないでいき、一位で私のところまでバトンが渡ってきた。練習通りに走ることを意識して足を進めていく。そのまま一位でバトンを快くんに渡して後ろを見ると大差がついていた。快くんはそのままぶっちぎりで走り切った。

「ナイス!」

「ぶっちぎりじゃん。」

笑顔で応援場所に戻るとクラスのみんなからいっぱい褒められた。その間に放送が入り次は二年生がトラックに入場していた。




「これで体育祭練習を終わります。本番まであと一週間ほどですが怪我や体調不良にならないように心がけましょう。」

体育の先生が最後に話をして終わりになった。

更衣室に行きながらみんなと喋る。

「瀬名さんほんとに足早いよね。」

「ありがと。」

「学年対抗も頑張ってね。」

「二三年生は早いけどねー。」

「瀬名さんならいけるよ。」

「頑張るよ。応援してね!」

「もち!」

体育祭で話せる人がさらに増えた気がする。体育祭本番も頑張るぞ。


少し短めです。次回 体育祭本番。

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