幕間(2)
屋上に行くときなこちゃんのお父さんがいた。
「お昼を一緒していいかな?」
そうダンディーに笑いながら言う。
「もちろん!」
ときなこちゃんが返す。
私たちは上にパラソル状の屋根があるテーブル席に座った。
「メニューから好きなものを選んでくれ。」
私たちはメニューをのぞき込む和洋だけじゃなくて中華やフランス料理まである。結局私ハンバーガーにした。それぞれの注文をウエイトレスさんに伝えるときなこちゃんのお父さんが口を開いた。
「午前中は楽しめたかい?」
「はい。とっても。」
私が答える
「何に行ったんだい?」
「トランポリン場とVR館!」
きなこちゃんが答える。
「トランポリン場とVR館か。VR館のエリオ君には会ったかい?彼は面白い人だろう。」
「はい。とっても。」
そう美玖ちゃんが答える。
「午後はどこに行こうか決めているかい?」
「プラネタリウムに行きたいなと。」
紗雪ちゃんが答えた。
「プラネタリウムか!あれはこの施設で一番こだわったものだからね。楽しめると思うよ。」
話していると料理が来たので食べることにする。ハンバーガーはバンズもおいしくてお肉もとってもジューシーだった。
「じゃあ午後も楽しんでくれ。帰り際にもう一度会おう。」
そう言ってきなこちゃんのお父さんはスタッフと歩いて行った。
「じゃあ私たちも行きましょうか!」
席を立つ。
「あれ、食事代はどこで払うの?」
「チケットに食事券がついてるので一回は無料だよ。」
「そうなんだ。」
腕のチケットを見るとバーコードがもう一つ着いている。それを出口でスキャンする。プラネタリムに行くためにまたエレベーターに乗る。
「お腹いっぱい~。」
紗雪ちゃんに寄りかかる。
「重い...」
沙雪ちゃんは嫌そうな顔をするが寄りかかったままでいるときなこちゃんにパシャっと写真を撮られた。
「あとで送っとくねー。」
そんなやり取りをしながらプラネタリウムに到着した。入り口でバーコードのスキャンとともに毛布を一枚渡された。
プラネタリウム場に入ると寒さを感じた。確かに毛布がないときついかも。
「どこに座る?」
「えっとね...」
きなこちゃんはあたりを見回すと指をさした。
「あれ!」
きなこちゃんの指の先には人が寝れるほどのクッションが置いてあった。あれはcmでやってる人をだめにするクッションではないか!そこに行き座る。ビーズが体にフィットして体を包む。
「これは最高だねー。」
「うん。」
しばらくすると明かりが消えて真っ暗になった。
「ただいまからプラネタリウム上演を開始します。」
女の人の声がした。次の瞬間天井中に星が映った。
「いまから星の説明を始めます。」
壮大な音楽と共に空に浮かぶ星が拡大され説明が始まった。落ち着いた声のナレーターさんが星の説明をしていく。さながら宇宙旅行だ。最初は面白くて見ていたけど次第にテスト勉強の疲れが出てきて、ナレーターさんのいい声も相まって寝てしまった。
起きたのは終わりかけの時だった。
「ご清聴ありがとうございました。」
そのナレーターさんの声で起きたのだ。部屋が明るくなる。目が慣れなくて開けれない。なんとか目が慣れてから起き上がる。
「唯ちゃん寝てたよね。」
ジト目なきなこちゃんに言われる。
「え。」
「だって途中から一切動かなくなったんだもん。」
「だってナレーターの人の声が心地よくてー。」
「まあテスト終わりで疲れてるしね。」
「そうそう!」
「じゃああそこ行っちゃう?」
きなこちゃんが言う。
「どこ?」
そう聞くときなこちゃんが振り返って言う。
「温泉だよ!」
そうかここ温泉施設もあるんだっけ。そう言われると午前中のボルダリングとかの疲れがたまってきたきがする。
「いこ!」
そういうことで私たちは1階にやってきた。バーコードを機会に通すとスタッフさんがやってきた。
「いらっしゃいませ。何かご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。」
スタッフさんは恭しくお辞儀をする。私たちはタオルをもらうと脱衣所へと向かった。
「このチケットって外した方がいい?」
「チケットは防水加工されてるらしいから外さなくていいと思うよー。」
「りょーかい。」
私たちは服を脱いでチケットとタオルだけもってドアを開ける。
大量の蒸気が私たちを襲う。いろんなお風呂があっていたるところからもこもこと白い湯気が立ち上っている。兎にも角にも体を洗わないとお風呂に入れないので私たちは体と頭を洗った。ボディソープもシャンプーもよく泡が立って気持ちよかった。
私たちはまず一番大きいお風呂に入った。この温泉は近くの源泉から引っ張ってきている本物の温泉らしい。長時間入らないようにとの注意書きがあったので少しだけ入った。すぐに出たはずなのに体がポカポカする気がする。そのあとは炭酸ぶろや炭のお風呂にも入った。するともうのぼせそうになった。
「私先に上がるねー。」
「私も上がろうかしら。」
と紗雪ちゃんも続いた。
「はーい。」
「私たちはもう少しいるね。」
きなこちゃんと美玖ちゃんはまだお風呂にいるらしい。
紗雪ちゃんとお風呂を上がってラウンジで涼んでいるとスタッフの人がやってきてジュースが入ったコップを私たちが座っている椅子のそばにあるテーブルに置いてくれた。
「ジュースのサービスです。おかわりは受付の横にあるドリンクバーからお願い申しあげます。」
「ありがとうございます。」
お礼を言ってストローに口をつける。キンキンに冷えたオレンジジュースが体をめぐって冷やしてくれる感覚がする。紗雪ちゃんの方を見るともう飲み干して空になったコップが紗雪ちゃんの手に握られていた。
「おかわりいる?持ってこようか?」
「お願いしていいかしら。」
紗雪ちゃんの分のコップを持ってドリンクバーに行く。私にはグレープフルーツジュース。紗雪ちゃんにはパインアップルジュースを持っていく。
元の場所に行くと紗雪ちゃんはおでこにタオルを乗せていた。
「なにそれー。」
「冷たいタオルらしいわ。」
「ちょっと貸して。」
紗雪ちゃんのおでこからタオルを取ると手がひんやりしてきた。このタオルは凍ってるらしい。
「ありがと」
そう言ってまた横になっている紗雪ちゃんのおでこに戻す。私も椅子に座ると椅子の角度を変えて鈍角にする。
たまにジュースを飲んだり、紗雪ちゃんと話しているときなこちゃんたちが戻ってきた。
「お待たせ、ジュースおいしそう!」
「あそこのドリンクバーでもらえるよー。」
そういうと二人ともジュースを持って帰ってきた。
「つい長風呂しちゃったー。」
「のぼせる一歩手前まで浸かってたから喉がカラカラだよー。」
体のほてりが収まるまでお話しながら過ごした。
「どうしよっか。あと行きたいところある?」
また地図を広げる。
「まだまだ一割も行ってないよー。」
「運動系じゃないところでお願いしたいわ。」
「だったら....ここじゃない?」
私たちはエレベーターに乗って地下にやってきた。エレベーターのドアが開くとけたたましい音が鳴っている。
私たちがやってきたのはゲームセンターだ。この耳がおかしくなりそうな感覚何年振りだろうか。といっても今日はゲームよりもビリヤードやダーツ系をやる予定だ。
「なにやるー?」
「何があるんだろう。」
悩んでいると店員さんが来てくれてこのゲームセンターにあるものを教えてくれた。
「私おとげーをやってみたい。」
きなこちゃんがそういうので音ゲーをやることにした。いろんなタイプのがあって私が昔やったのもあった。
きなこちゃんは丸い形の音ゲー機器を選んだ。バーコードをスキャンしてゲームを開始する。二人で対戦できるそうなので美玖ちゃんと対戦するそうだ。二人は最近流行っているアーティストの曲を入れる。最初はおぼつかなかったが徐々にコツを掴んで一番簡単な難易度だが二人ともフルコンボだった。そのあとは私と紗雪ちゃんもやった。私は一番難しいモードにしてやったが何とかフルコンボできた。みんなからは驚かれたけど。私たちは続けてダーツやボウリングも一ゲームだけやった。
「疲れたわね。」
「もう腕上がらないよー。」
そう言いながらゲームセンターを後にしようとするときなこちゃんに呼び止められた。
「あの、プリクラ撮らない?」
私たちはプリクラの箱の中に入る。
「私初めて!名前は聞いたことあったけど。」
「私もよ。」
「私も。」
「え、みんな撮ったことないの?私もないよ。」
なんとみんなプリクラ初挑戦だった。とりあえず加工を決めて音声の言うとおりに進んでいく。ポーズを取ったり、表情を変えたりして取っていく。最後に落書きをしてプリントする。
私はスマホのケースを外してスマホに着けた。
「みてみてー。」
「あっ、スマホに貼ったんだー。」
「私は手帳に貼ろうかな。」
「どこに貼るか迷うー。」
「紗雪ちゃんはどこに貼る?」
「貼るのが少しもったいないわね.....」
少し悩んだ表情をする。
「また撮りにくればいいよ!」
「そうね。私もスマホに貼ろうかしら。」
そう言って紗雪ちゃんもスマホに貼って少し笑ってスマホを眺めていた。
次回 幕間最終話
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