幕間(1)
私たちはきなこちゃんのお父さんが経営している温泉施設と遊べる場所が融合している施設に遊びに来た。
きなこちゃんはチケットを折って手首に巻き付けてリストバンドみたいにする。
「これに着いてるバーコードを読み取って入場するからなくさないでね。」
きなこちゃんから渡されたチケットをみんな手首に巻いた。
「まずはどこに行く?」
「私ここ行きたい!」
興奮した様子で美玖ちゃんが選んだのはトランポリンがあるところだ。今は二階にいてトランポリンの施設があるのは6階なのでエレベーターを使って移動する。
「うわー高いね。」
エレベーターはスケルトンタイプで外の景色が見える。高所恐怖症ではないはずだけど普通に怖いからドアの近くに立つ。
「屋上はレストランになってるのでお昼はそこで食べましょう!」
ドアが開いてエレベーターから降りる。降りると目の前に受付があったので機械にバーコードをスキャンして入る。するとスタッフさんから
「皆様運動しやすい格好にお着換えください。更衣室はこちらです。今日はその格好で過ごされても構いません。」
と更衣室まで案内されて服を渡された。この建物のロゴが入ったTシャツと無地の黒いパンツだ。伸縮性があって動きやすい。またバーコードをスキャンしてロッカーを開けた。
着替えが終わった私たちは更衣室から出て軽くストレッチをした。
美玖ちゃんはストレッチを終えると一目散にトランポリンに乗り高く飛び跳ねると空中で一回転してブロック状になったクッションに落ちて行った。
「楽しい!!!」
クッションに埋もれたままそう言う美玖ちゃん。クッションから抜けてこっちに走ってきた。
「これ楽しいよ!」
「美玖ちゃんは体操やってたの?すごい動きしてたけど。」
「うん!」
美玖ちゃんは一言だけ答えるとまたクッションに飛び込みに行った。
「私たちも行こ!」
私も美玖ちゃんがやってたトランポリンに乗って跳ねる。高さをつけるとそのままクッションにダイブした。
「楽しい!!!!」
やばい癖になりそう。落下する感覚が楽しい。そのあときなこちゃんも紗雪ちゃんも続いてとんだ。
「少し怖いけど楽しいね!」
「これは...悪くないわね....」
そのあと私たちはバスケットボールを持ってトランポリンで跳ねてダンクシュートをしたり斜め向きになったトランポリンでパルクールみたいな動きをして遊んだりした。
1時間くらいしかたってないが体が疲れてきた。
「これは意外と疲れるね.....」
「全身動かしたせいかしら。」
紗雪ちゃんも今日は全力で楽しんでいた。何枚か写真も撮れた。
「そろそろ別のエリア行く?」
そう言ってきなこちゃんが地図を広げる。
何か楽しそうなところないかなと探していたら一つ目に引っかかった。
「これは?」
そう私が指さしたのは『VR館』と書かれた施設だった。
そうして私たちはVR館へとやってきた。またバーコードを機械にかざして入る。
「ようこそいらっしゃいました。我がVR館へ!」
元気のよい男性の声が響いた。でも周りを見渡しても人の気配はしない。
「こっちこっち!」
そう声のする方へ歩いていくとモニターが一枚あった。そのモニターを見るとアニメ調の人がいた。
「えっと...?」
「お、やっと会えた。我はここの管理人だ。わからないことがあれば何でも聞くと良い。」
なんか強烈な人だなぁ。
「えっとじゃあ管理人さんここはどうやって遊ぶの?」
「そうだなまずはそこのゴーグルとヘッドフォンをつけると良い。」
私たちは棚に置いてあるゴーグルとヘッドフォンを装着した。するとさっきの男の人が映る。
「改めまして、皆さん。我の名前はエリオ。」
そういうとエリオさんの着ている服が変わる。エリオさんが指を鳴らすたびにタキシード、和服、ピエロの格好と変わっていく。
「さぁ、これがVRの世界だ。お分かりいただけたかな?」そう言ってエリオさんは被っているシルクハットを指でクイっと上げる。
「VR空間ではなんでもできる。そうだなおすすめは.....うむこれがいい。君たちは遊園地は好きかな?」
「大好きです!」
ときなこちゃんが返す。
「結構。では楽しんでくれたまえ。」
エリオさんが手を振る。すると一瞬で遊園地の景色に変わる。
「ではここからは声だけで説明させてもらう。この遊園地にあるアトラクションは待ち時間はない。好きなだけ乗ってくれたまえ。では操作方法を説明しよう。―」
エリオさんからアトラクションの選び方やその他の行動を教えてもらった。
「ではまずはジェットコースターに乗ってもらおうか。」
さっき教えてもらった方法でジェットコースターを選ぶ。すると選択画面に絶叫度と書かれた欄がある。
「おっと忘れていた。絶叫度はその名の通りどれだけスリリングなVRにするかを決めれる。5段階に分かれているから選んでくれたまえ。」
「じゃあせっかくだし一番怖いのにしよー。」
と美玖ちゃん。
「いいわね。」
そう紗雪ちゃんも同意する。覚悟を決めるしかないか。
「ほう?絶叫度5か。面白い。では行ってらっしゃいませ。」
エリオさんが言うと私たちはジェットコースターに乗るところまで飛んだ。VRと現実がリンクしていてちゃんと椅子の感触がある。VRでシートベルトをされると現実の方でもシートベルトをする感覚があった。
ジェットコースターが動き出す。すると体が斜めになる感覚がした。
「えっ。」
声が漏れる。これリアルの方も動くの?驚く私をそのままにジェットコースターはどんどん高度を上げていく。横を向いたりするとちゃんと視界も動く。下を見ると私たちがいた乗り場が小さく見えた。頂上でジェットコースターが止まった。これから下っていくのかと思ったら椅子が後ろに傾いた。そのまま後ろに落ちて行く。
「------」
叫ぼうとするが声が出ない。風を感じながらジェットコースターはどんどんスピードをつけその分風が強くなる。そしてそのままジェットコースターは後ろ向きのまま一回転した。ちゃんと重力を感じる。シートベルトをもっと強くつかんだ。そのあとはよく覚えてないが横にも一回転したと思ったら空を飛んでいきなり急降下したりした。私はジェットコースターが止まるまでずっと叫んでいた。
「どうだったかな。空の旅は。ジェットコースターと言うよりいろんな絶叫マシーンの融合版だが。」
「すっごい楽しかったです!」
と美玖ちゃんは興奮して言う。
私は腰が抜けて少しの間立つことができなかった。
そのあとは深海に旅するVRや襲ってくる敵を倒すガンゲームをした。どれも楽しくて時間を忘れて楽しんだ。
次は何をやろうかとみんなでVR空間で話しているとエリオさんがやってきて、
「おや、皆さんそろそろお別れの時間だ。名残惜しいがもう昼なのでな。楽しんでいただけたかな?」
「「「「はい!」」」」
「ハーハッハー。それはそれは。では。」
そう言ってエリオさんが後ろを向いたまま手を振って歩いていく。エリオさんが見えなくなるとVRが切れて真っ暗になった。VRゴーグルとヘッドフォンを外して元の場所に置く。帰り際にモニターを見るとエリオさんがいた。
「おや。さっきぶり。」
「楽しかったです!」
「ふふ、嬉しいよ。さぁお昼ご飯を食べてくるといい。ここのご飯は美味しいんだ。」
「はい!」
エリオさんに別れを告げて私たちは屋上に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます