定期テスト編(4)

土曜日。テスト二日前だが少し遅めに起きた私は昨日のうちに買っておいた菓子パンを食べることにする。最近ハマっているクロワッサンの中に板チョコが挟まっているパンだ。少し焼いてから食べる。カロリーの味がするがおいしい。食べながら一週間の献立を考える。今日と明日は紗雪ちゃんが泊まるのでなんとなくは決めてある。メモ帳に買うものを書いてから着替えてスーパーへと向かった。とりあえず水曜日くらいまでの分の食材を買って帰ってきた。紗雪ちゃんはお昼前に来るのでお昼ご飯の準備をしつつテスト勉強をした。


時計を見るといいころ合いだったので料理を中断して紗雪ちゃんを迎えに駅まで行く。

駅の前で立っていると駅から紗雪ちゃんが出てきた。白いワンピースを着ている。かわいい。そのまま見ていると目が合ったので紗雪ちゃんが私の方に歩いてくる。

「迎えに来なくてよかったのに。」

「えへへ。紗雪ちゃんが泊まりに来るのが楽しみだったから。そのワンピースにあってるね!」

「ありがとう。」

並んで家に向かう。

「テスト勉強はどう?」

「あと世界史の細かいところを覚えるだけかしら。」

「ちょっと漢文教えてほしいんだけどいいかな?。」

「いいわよ。」

「やった。私も英語と数学なら教えれるよ。」


家に着いてからはまずご飯を食べることにした。出かける前に作っておいたものを出す。

「おにぎり?」

「そう!なんか勉強会って感じしない?」

「そうかしら....」

「具はねーこれが鮭でこっちが昆布でこれには半熟の煮込み玉子が入ってるよ。」

「玉子?」

「うん、レシピのサイトに書いてあったから作ってみた。」

「じゃあ食べてみるわ....おいしい。」

「本当?よかった。」

初めて作るものだったからおにぎりを握るのも気を使ったがおいしいならよかった。私も食べてみる。

味付けされたご飯と玉子の黄身が少しとろけていて美味しい。

「おいしい....」

「でしょう?」


「「ごちそうさまでした。」」

手を合わせて言う。おにぎり食べるの久しぶりだったけど手間をかけたぶんだけ美味しくなるし、他の味は簡単にできるからいいな。

机の上を台拭きで拭いてから勉強が始まった。

「漢文のどこが分からないの?」

「何も分からない。」

「テスト二日前なのに何を言ってるの?」

「単語はわかるんだけど文法がごちゃごちゃになって問題演習になると全然解けないんだよね。」

「漢文は話の内容だけわかれば取れるからまずは単語だけで大体の話の流れをつかみなさい。そのは現代文と同じ要領で行けるわ。でも最低限の文法は覚えておきなさい。授業でやった文法だから参考書のこのページね。」

そう言って漢文の参考書を私に渡してきた。

「このページの漢文の例文を書き下すのを今と寝る前と明日の朝にやれば多分覚えられるわ。」

「ありがと。やってみる。」

例文を見ながら書き下し文にしていく。文法を確認しながらついでに単語の復習をする。

「それが終わったらこの問題をやってみなさい。」

そう言って紗雪ちゃんがバックから出したテキストを解く。まず文章の理解に努める。この話はことわざの文らしいな。あれこれ私でも知ってることわざだ。ならこの答えは.....それでこの文法だと反語だから......

「解けたよ。」

「採点するから貸してみなさい。」

私が答えを書いたルーズリーフを渡す。紗雪ちゃんは答えと見比べながら赤のペンで採点していく。

「驚いたわ。満点よ。」

そうルーズリーフを返してくれた。大きな花丸が書いてある。

「やったー!紗雪ちゃんのおかげだよー。」

私が喜んでいると紗雪ちゃんがテキストの表紙を見せてきた。ええと『大学入試の古典 発展編』と書いてある。

「紗雪ちゃんこれって。」

「ええ、大学入試の漢文よ。このテキストの一番簡単な文ではあるけど学校のテストよりは難しいわ。」

私は知らない間に大学入試の問題を解かされていたようだ。でも思ったより解けた。

「どう?思ったよりも簡単だったでしょう。」

「うん。」

「漢文なんてそんなに時間をかけるものじゃないわ。それよりも数学を教えてくれない?この解法以外の解法を先生が説明してた気がするのだけど.....」

「それはねーこの式を変形して―。」

たまに教え合いながら勉強をし続けた。


流石に集中が切れてきたなと思って時計を見るともう6時になりかけていた。

「うわもう6時じゃん。紗雪ちゃん休憩取らなくて平気なの?」

「さすがに集中切れてきたわね。」

と軽くストレッチを始める紗雪ちゃん。

その間に私は夜ご飯の準備を進める。午前中にやっておいたのであとは魚を切って....

テーブルの上を綺麗にして皿を置いていく。

「手巻き寿司?」

「正解!お昼となんか似てるけど。」

のりに酢飯を乗せて好きな具材を乗せていく。巻ききれない量の具をのせてしまったがそのまま口に入れる。頑張って噛んでいると写真を撮られた。噛む速度を早くして飲み込んでから言う。

「写真撮らないでよ、恥ずかしい。」

「リスみたいでかわいかったからつい。」

「別にいいけど。今度からは言ってよね。」

「”今度”からはそういうわ。」

なんか引っかかる言い方だったけど気にせずに次の巻きずしを作る。臨海学校からは鮮魚を選ぶときにこだわってるから美味しい。満腹になるまで食べ続けた。

「ごごちそうさま。」

「私もお腹いっぱいー。」

残ってしまった酢飯や具材は長い巻きずしにして明日の朝食べることにした。巻き寿司を作ってラップをかけて冷蔵庫に入れておく。

流石にお腹いっぱいだと勉強をする気が起きないので少しソファに座ってだらだらする。最近お気に入りの曲を流してリラックスする。するとイヤホンを片方取られた。

「何を聞いてるの?」

「最近知った洋楽の曲だよー。」

「聞いたことが無い曲ね。でもいい曲だわ。」

「でしょ!私のお勧めはね―」

そんな話をしているとお風呂が沸いた。

「先に入っていいよー。」

「ありがと。」

紗雪ちゃんがお風呂に入ってる間に食器を片づけたり、部屋の掃除をもう一度しておく。

紗雪ちゃんが出てくるとすぐに私も入った。


お風呂から出ると紗雪ちゃんはソファで世界史の教科書を読んでいた。

「教科書読んでるの?」

「ワークよりも私はこれの方が覚えられるわ。」

「私もやってみる!」

紗雪ちゃんの隣に座って教科書を読む。

世界史はワークを何周かやったから覚えてるのが大半だがたまに知らないことが説明欄に細かく書いてあったり年表がまとまったページがあったりしたのでそれを読み込んだ。

夜は暗記したいものをいつもやっているので今日は漢文と理科をやることにした。


しばらく勉強してると欠伸が出てくるようになった。

「そろそろ寝る?」

紗雪ちゃんが聞いてきた。

「うんー。そろそろ限界ー。」

そう目を擦りながら私の部屋のベッドに移動した。紗雪ちゃんも同じタイミングで寝ることに下らしく一緒にベッドに入った。部屋を暗くするとすぐに睡魔がやってきた。

「おやすみ。紗雪ちゃん。」

「おやすみなさい。」


次回:お泊り勉強会その2




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