定期テスト編(3)

紗雪ちゃんに私のロッカーから出てきた紙を破られて2日たった。あれからはロッカーに紙が入っていることはなくなった。変わったことと言えば朝学校に行くと紗雪ちゃんが私より先に教室にいることくらいだ。

「おはよ。今日も早いね。」

「ええ、少し野暮用で。」

「そうなんだ。勉強の方はどう?」

「問題ないわ。貴方に何を命令するか考えてるところよ。」

そう怖い顔で笑う紗雪ちゃん。

「私だって勉強してるし。そうだ今度の土日どっちかで勉強会しない?」

「どちらも空いてるわ。」

「私の家に泊まってもいいけど。」

紗雪ちゃんは少し考えてから

「明日までには伝えるわ。」

とだけ言った。


紗雪ちゃんと話していると始業のチャイムが鳴って先生が教室に入ってきたので席に戻る。

朝の会が追わって授業が始まる。


今日の授業が終わった。テストの前の3日の学校は午前中だけなので楽でいい。

帰りの支度をしていると、紗雪ちゃんから声をかけられた。

「少し帰り残って欲しいのだけど。」

「いいけどどうしたの?」

紗雪ちゃんはそれ以上答えてくれなかった。とりあえず紗雪ちゃんと一緒に教室にいると三宅君と知らない女の子が教室に入ってきた。その女の子は私の顔を見ると

「ごめんなさい。」

と謝ってきた。いきなりで困惑する。

「どういうこと?」

隣にいる紗雪ちゃんに聞く。

「自分で説明しなさい。十崎とざきさん。」

そう紗雪ちゃんが言った。十崎さんと呼ばれた人は少し沈黙したのちに口を開いた。

「私があなたの噂を広めました。」

私は一瞬なんのことかわからなかったけどすぐに思い出した。

「それは私と三宅君のこと?」

十崎さんは何も言わず頷いた。

「私には別に被害受けてないから謝らなくてもいいんだけど。なんでこんなことしたの?」

十崎さんはうつむいて何も言わない。

「なんとなく理解したよ。でもどっちかというと三宅君の方が被害受けたんじゃない?」

「僕はもう謝罪は受けたよ。」

三宅君は疲れた表情でそう言った。

「よくわからないけど三宅君が納得してるならいいや。十崎さんもうこんなことしないでね。」

十崎さんはまた何も言わずに頷く。

「じゃあもう解散!テスト前なんだから早く帰るよ。」

そう言って私は教室から出る。

「昇降口で待ってて。」

そう紗雪ちゃんに言われた。


昇降口で待ちながら考える。十崎さんの様子から多分彼女は三宅君のことが好きなのだろう。それ以外にこんなくだらないことをする理由がないしね。三宅君が納得してれば別に私から言うことはないし。なんならくだらないことで時間を使わされたことの方がむかつく。

「怖い顔をしてるわよ。」

そう紗雪ちゃんの声がした。顔を上げると目の前にいた。少し考えこみ過ぎてしまったみたいだ。

「お腹すいたよー。どこか食べ行こー。」

「いいわよ。」

紗雪ちゃんからの同意が得られたのでファミレスに向かいながら喋る。

「あの子は三宅君のことが好きなんだよね?」

「ええ、好きというか元カノらしいわ。」

「うわぁ。どろどろだ。」

だから三宅君が解決するって電話で言ってたのか。あれ、ならどうして紗雪ちゃんが関わってるの?

ファミレスに着いて注文してから紗雪ちゃんに聞いてみる。

「なんで紗雪ちゃんがあの場所にいたの?」

「少し三宅さんに手を貸したから。」

「そうだったんだ。ありがと!」

「貸しは返すのが信条だから。」

「貸しなんてあったっけ?」

「......はぁ。勉強はできるのに記憶はできないのかしら。」

「しれっと罵倒された!?ひどいよー。」

「冗談よ。」

紗雪ちゃんの表情を読み取るのはまだまだ難しい。すると注文した料理が運ばれてきた。それを食べながら紗雪ちゃんが、

「勉強会しましょうか。貴方の家でいいの?」

「うん!お泊りはどうする?」

「泊まり込みの勉強も楽しそうね。お願いするわ。」

「わかった。じゃあ土日ね。」

「私の使ってる問題集も持っていくわ。」

「ありがとー。」


食べ終わってファミレスを出て家に向かって歩く。

「ほんとにありがとね。助かった。」

「そう何度も言わなくていいわ。」

「それでも。じゃあね。」

「また明日。」

紗雪ちゃんが見えなくなるまで後姿を見送った。


その日の夜いつも通り勉強してると三宅君から電話がかかってきた。

「もしもし。三宅君。」

「もしもし瀬名さん。今日は本当にごめんなさい。」

「謝らなくっていいよ。十崎さんも反省してそうだったし。」

「本当に申し訳ない。」

「ううん。私こそありがとうって言うべきだよ。解決してくれてありがとね。」

「いや、それは九条さんが...いや.....」

「なに?」

「いや何でもない。責任はとるって言っちゃったしね。」

「それでもありがと。胸のつかえがとれたよ。」

「それならよかったよ。今は勉強中だった?」

「うん。テストも来週だしねー。」

「そうだね。お互い頑張ろう。じゃあ。」

「バイバイ。また学校で。」

三宅君との電話を切った後、久々に勉強に集中できた気がした。


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<九条 紗雪side >

あれは瀬名さんと登校した日だった。なにやらいつもより早く目が覚めたから気まぐれで早めに学校に行こうとしたら途中で瀬名さんに出くわした。そのまま登校すると瀬名さんのロッカーから紙が一枚落ちてきた。私の足元に落ちてきたので拾って見ると

『三宅君に近寄るな。』

との文字といくつかの中傷が書いてあったのでその場で破りゴミ箱に投げ捨てた。

十中八区臨海学校の時のことだろうなと考えて三宅さんに聞くことにした。

それを聞いた彼は困惑したような顔をしていた。私は彼と話し、彼に解決させるために動いてもらった。私も少し身を削った。

その結果、何とか十崎さんに謝らせて、噂も解決できた。瀬名さんは気にしてないフリをしていたが何か引っかかっている様子はなんとなくだがわかったのでそれも解決できた。帰りに寄ったファミレスでは数日ぶりに彼女の笑顔を見ることができた。やはり瀬名さんは笑う顔がよく似合う。私なんかより.....


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<三宅>

瀬名さんへの告白がどこからか漏れて噂になってしまった。僕が責められる分にはいいが瀬名さんに迷惑が掛かるとなると話は別だ。対処に困っていると九条さんが話しかけてきた。九条さんが男に話しかけたことは見たことがない。困惑しながら話を聞くと瀬名さんのロッカーに手紙が入っていたとのことだった。心当たりがあったので問い詰めるとやはり僕の元カノの十崎だった。彼女とは良い別れ方をしていないのでできるだけ話したくはなかったが。結果残された課題は噂をどうするかになった。僕が噂を消して回ろうにも逆効果なので考えていると九条さんがとんでもない提案をした。さすがに最初は断ったのだが結果的にそれに乗ることになってしまった。僕は彼女に大きすぎる貸しを作ってしまった。僕に返済することはできるのだろうか。



次回 お泊り★勉強会!!!


どろどろな話作るの向いてないので二度と書きません。雑に終わらせたけど許してください・




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