定期テスト編(2)
勉強会の日になった。
朝学校に行くと話しかけられた。
「唯ちゃんおはよー。今日はよろしくね。」
「うん。特に何が苦手なの?」
「数学だよ。」
「私は英語ー。」
「じゃあ数学と英語をメインでやろっか。」
「そうしよ!」
「あ、聞くの忘れてたんだけど来るのは
「そうだよー。ほかに誘いたい人いる?」
「聞いただけ。」
「じゃあまた放課後にねー。」
数学と英語か、まずは2人がどれくらいできるのか確かめるためにいくつか解いてもらおうかな。
なんて勉強会をどう進めるか考えながら授業を受けた。
帰りの会が終わり私は由乃ちゃんと芽衣ちゃんのところへ行く。
「準備できた?」
「うん!」
「しゅっぱーつ!」
三人で並んで喋りながらファミレスまで行く。話す内容は勉強のことばかりだが。
ファミレスに着くとまずドリンクバーを頼んでジュースを取ってから勉強道具を机に広げる。
「じゃあまずはワークの章末問題を解いてもらおうかな。どれだけ取れたかで指導内容を決めます!」
「「ハイ!唯ちゃん先生。」」
「じゃあ制限時間は10分。はじめ!」
ふたりとも真剣な様子でペンを進めていく。勉強を教えてほしいと頼まれたがこの学校にいる時点でそこそこは勉強ができるはずだから全くできないってわけじゃなさそうだ。
10分が立った。
「おしまい。お疲れ様。」
「うへぇ.....」
「疲れた.....」
ふたりとも机に突っ伏す。その間に採点をする。苦手というわりに5割くらいの正答率だった。
「なんだ全然苦手じゃないじゃん。」
「まあ少しは勉強してるからね。」
「もっと取りたいじゃん。」
じゃあ教えていくね。まずは数学から―。
ゆのちゃんは基礎問題は取れているので応用問題の時に基礎をどう使うのかを解説する。
「この問題の時はこの公式を使うんだけど、こっちの問題だと違う公式を使うの。違い分かる?」
「あーそういうこと!じゃあこの問題だったらこっちの公式を使うわけだ!」
「正解!じゃあ次の単元のこの問題をやってね。」
「次は芽衣ちゃん、長文はまず本文を読んでると時間がかかっちゃうから最初に文章の題名と最初の文と問題から読んだほうがいいかも。」
「それだと頭がごちゃごちゃになっちゃうの。」
「そっか....なら文章を一発で読めるようにしよっか。こっちの方が難しいかもだけどいい?」
「頑張る。」
「じゃあまずは読みながら線を引いていこう。特に大事なのは題名に関わることとかあとは主人公の心情の変化だからそれを読み取って線を引こう。」
「わかった。」
「それをやったら次は問題を見て答えよう。」
「うん。」
そのあと私は二人に教えながら私の勉強も並列して行った。
「疲れたー。」
「集中力が持たないー。」
流石に二人の集中力が切れだした。
「私も疲れてきたから一回休憩にしよっか。パフェでも注文する?」
「ああ、甘いものが私を呼んでいる....」
「たべる。」
由乃ちゃんはもう限界だし、芽衣ちゃんは語彙力を失っている。机にあるタブレットで3つ注文する。しばらくすると
「お待たせしました。パフェでございます。」
「ありがとうございます。」
店員さんからパフェを受け取って食べる。
「あー頭に染みわたる。」
「おいしいー!」
感動している二人を見ながら私も食べる。アイスの上に乗ったストロベリーソースが酸味があって美味しい。疲れた脳に糖分が届いている気がした。
「そういえば唯ちゃん、噂で聞いたんだけど本当?」
由乃ちゃんがパフェを食べながら言う。
「噂?何のこと?」
「え?唯ちゃんが三宅君に告白されたこと。」
一瞬思考が停止した。
なんでそれを由乃ちゃんが知ってるの?芽衣ちゃんも知ってるような表情してるし。
「なんで知ってるの?」
「やっぱり本当なんだ。で付き合ってるの?」
「いや、断ったけど.....」
「えー三宅君かっこいいのに。」
「私は三宅君のことあんまり知らないっていうか、まずなんでそれ知ってるの?」
「誰かが話してるのを聞いたんだよ。」
まさか三宅君が漏らした?いやさすがに振られたんだから自分から言いふらしたりしないだろう。てなると誰かキャンプファイヤーのところにいたのか?
「唯ちゃん、なんか怖い顔してるよ?」
「私が変なコト聞いたからだ。」
「あっいや怒ってるわけじゃなくて、告白したのをばらされるって良くない事じゃん。三宅君も嫌だろうしなぁって。」
「たしかに、変なこと言ってごめんね?」
「ううん、私はその噂知らなかったから知れてよかったよ。さ、勉強の続きしよう。」
すこしもやもやして落ち込んだ雰囲気のなか私たちはまた勉強を再開した。
日が沈むまで勉強をして私たちはファミレスから出た。
「唯ちゃん今日はありがとね。」
「テストも大丈夫そう。」
「それならよかった。また来週。」
「ばいばいー。」
「またねー。」
二人と別れて自分の家へと向かう。なんだかもやもやして気分が落ち込む。
料理をしても、お風呂に入っても気分が晴れない。テストが終わったら見ようと思っていたアニメを見ても全く内容が頭に入ってこない。すると知らない番号から電話がかかってきた。
「もしもし。」
「もしもし。三宅です。瀬名さんのスマホで間違いないですか?」
「三宅君。」
「....その感じ瀬名さんも噂を聞いたのですね?」
「うん。由乃ちゃんから。」
「
「ごめんなさい。」
「瀬名さんが謝る必要はないですよ。噂を広めた人が悪いのですから。」
「だけど....」
「この件は俺が責任を取って解決します。そしたらまた友達になりましょう。では失礼します。」
「私にできることがあったら手伝うから!」
電話はそこで切れた。三宅君に全責任を取らせるわけにはいかない。私にできることはどんどん行動していこうと思った。三宅君からの電話で少し心が軽くなった気がした。
―月曜日―
土日はずっと勉強をしていたせいで眠い。目を擦りながらマンションを出るとちょうど紗雪ちゃんが歩いていた。
「紗雪ちゃん!」
そう言って後ろから抱き着く。
「重い.....」
「ごめん!おはよう!」
「なんで朝からそんなに元気なの....」
「それは朝から紗雪ちゃんに会えたからに決まってるでしょ!」
「....そう」
そのまま並んで登校する。昇降口で靴のロッカーを開けると紙が1枚落ちてきた。
それを紗雪ちゃんが拾って見る。紗雪ちゃんは顔を歪めた後その紙をびりびりに破いた。
「ちょ、ちょっと紗雪ちゃん?」
「貴方は見なくていいものよ。」
「?」
「ほら早く教室に行くわよ。」
そう言って紗雪ちゃんは歩き出した。
次回:解決
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