臨海学校編(2)
ついに臨海学校の日になった!友達とお泊りができるの楽しみだー。朝学校に行ってからまずは班ごとに集まってバスに乗る。学校に着くともうきなこちゃんと美玖ちゃんがいた。
「おはー美玖ちゃん、きなこちゃん。」
「おはよ!唯ちゃん。」
「おはよー。」
あとは紗雪ちゃんを待つだけだと思っていたら、きなこちゃんがあくびをした。
「もしかして、きなこちゃん寝れなかった?」
「実は3時間くらいしか寝てないのー。」
「バスで酔わないでね。」
「バスの中で寝るよー。」
そう笑い合っていると紗雪ちゃんがやってきた。
「おーい紗雪ちゃん!こっち!」
遠くにいる紗雪ちゃんを呼ぶ。それに気づいた紗雪ちゃんが早足で駆け寄ってきた。
「名前呼びは学校ではしないで、って言ったじゃない。」
「あ、そうだった。」
「唯ちゃんと九条さんってどんな関係なんですか?」
「それは言えない。秘密の関係だよ。」
そう少し意味ありげに言うと
「変な事言わないで、私たちは普通の友達でしょ。」
「そ、すこし縁があって仲良くなったの。」
「そうなんだ!私もこの旅行で仲良くなりたいです!」
「え、えぇよろしく。」
きなこちゃんの天使パワーの前にはさすがの紗雪ちゃんもお姫様の仮面が外れかけていた。
全員集まったので先生に健康チェック表を班員分もらって熱や体調を書いて提出して荷物をバスのトランクに入れてからバスに乗り込む。
バスに乗ると小中学校で乗ったバスよりもゆったりしていて座り心地のいい椅子だった。
「いいバスだねー。さすが私立。」
「唯ちゃんは中学は公立だったんだっけ。」
「うん。やっぱお金の力って偉大だなー。きなこちゃんと美玖ちゃんは内部進学だもんね。」
「そうだよ。九条さんも中学は公立?」
「いや、私も私立だった。」
紗雪ちゃんの発言はともかく行動からは気品があふれてるからどこかのお嬢様学校だったのだろう。そのあとも喋っていると、先生が話し出した。
「そろそろ出発します。万が一体調が悪くなったら声をかけてくださいね。」
バスが発信した。最初はバス中から話し声が聞こえたが、徐々に聞こえなくなっていく。静かに本を読む人や眠る人もいた。
私はというと、持ってきたタブレットでアニメを見ていた。タブレットにイヤホンをつなげて、片耳だけつけている。もう一方は紗雪ちゃんがつけている。
今日見てるのは、最近続編が決まったキャンプ系のアニメだ。聞いてるだけで面白いので、目が疲れたら目を閉じても楽しめる。
4話ほど見終わったころにバスが停まった。サービスエリアで一度休憩するらしい。このタイミングでお手洗いに行ってから自動販売機でジュースを買った。バスの閉塞した空気にいたので、空気がおいしく感じる。またバスに乗ってからアニメを見始めた。
バスがまた泊まり、私たちが泊まる海沿いのホテルに到着した。もう梅雨も明けたので、日差しがまぶしい。バスのトランクから荷物を取り出して先生から部屋のキーカードをもらう。紗雪ちゃんと一緒に部屋に向かう。カードをドアに当てて中に入る。
「あれ、こんなに豪華だっけ。写真で見たのと違う気がする。」
「本当ね。」
紗雪ちゃんがしおりを見て言う。さらに部屋を見てみると
「あれ、ベッド一個しかない。」
「先生に聞いてみよう。」
「大変申し訳ございません。」
ホテルの支配人に謝られた。なにやら不手際があったっぽくて、私たちは違うグレードの部屋になっていたようだ。
「空き部屋もございますがどうされますか?そちらの部屋は二人用のお部屋となっておりますのでそこに泊まられてもよろしいですが。」
せっかくだから泊まらせてもらったら、という先生の言葉に従って、私たちはその部屋に泊まることになった。スマホで調べてみるとスイートルームらしく、みんなが泊まる部屋と倍くらい金額に差がある。
部屋に戻ってから荷物を置いて、きなこちゃんと美玖ちゃんを部屋に呼んだ。本格的な課外授業が始まるのは明日からだ。
「うわーいいお部屋ですね。」
「ホテル側のミスだけど、うらやましい。」
「いいでしょ!ベッドもふかふかだよ。」
「あれ、ベッドは1つなんだね。」
「もしかして、添い寝ですか!九条さんファンクラブに消されますよ....。」
「そんなのあるの⁉怖っ。」
「この後はどうする?ホテルのプールにでも行く?」
「せっかくだし行こっか。」
更衣室で水着に着替えてプールに向かう。あまり人はいなかったが同じくらいの年の人がいたので、おそらく別のクラスの人だろう。
「唯ちゃんの水着かわいいですね!」
「ありがと、きなこちゃんも似合ってるよ。」
「きなこのは私が選んだからね!」
と美玖ちゃんがドやる。九条さんはしっかりライフガードを着て肌が見えないようにしていた。
軽く準備運動をした後水に入った。まだ夏本番ではないものの今日も暑いので、ひんやりとした水が気持ちいい。ぷかぷか浮いているときなこちゃんに水をかけられた。
「やったなー」
「水の中なら私は負けません!」
きなこちゃんにやり返そうとするが、きなこちゃんはすいすいと泳いでいき逃げていく。すると
「きなこは陸の運動は苦手だけど水泳だけは昔からできるのよね。」
と美玖ちゃんが言った。
「私だってスイミングスクール言ってたから!」
と言いゴーグルをつけてきなこちゃんを追いかける。全力で追えば追いつけると思ったがきなこちゃんはそれでも私の先を行く。結局追いつけたのは疲れ果てた後だった。
「やるねきなこちゃん。」
「唯ちゃんこそ。」
私たちは握手をしてよくわからない絆が芽生えた。ちなみに私たちが不毛な追いかけっこをしている間、美玖ちゃんと紗雪ちゃんは流れるプールで浮き輪の上に乗って流されていたらしい。
疲れ果てて更衣室に戻り、シャワーを浴びてから部屋に戻る。そのまま少し、ベッドに突っ伏していると、紗雪ちゃんが
「そろそろ食事の時間らしいわ。三浦さんと加藤さんのところへ行きましょう。」
「おっけーい」
ふたりと合流して食堂に向かう。
食堂の前で先生がいたので、健康チェック表を渡して中に入る。今日の夜ご飯はバイキング形式で好きなものを取れる。
私はビーフシチューとフライドポテトと野菜とデザートにプリンを取った。
席に着くと
「貴方、もうすこしバランスよくとりなさいよ。野菜はそれだけ?」
と紗雪ちゃんに小言をもらった。紗雪ちゃんの取ったものを見ると、肉や野菜がバランスよく取られている。でも私は見落とさなかった。
「でも紗雪ちゃん。デザート取りすぎじゃない?モンブランにプリンにショートケーキもあるじゃん。」
「私は普段から気を付けているからいいの。」
「ずる!!」
そんな私たちの会話を聞いてきなこちゃんと美玖ちゃんが笑った。
「二人は本当に仲良しですね。」
「この数週間で何があったのやら。」
そのあとは明日のことだったり、自由時間何をするかとか話しながら食べ、私たちのスウィートルームに二人を招待した。
ベッドの上に私たち、クッションにきなこちゃんと美玖ちゃんがすわり、トランプをすることになった。種目は大富豪。少し人が足りないのでスマホにアプリを入れ、コンピューターを合わせた5人でやることにした。
きなこちゃんが
「面白くするために罰ゲームをしましょう!一位は負けた人になんでも一つ命令ができます!」
と言った。
「面白いわね。後悔させてあげるわ!」
とテンションが上がっている美玖ちゃんが乗ったので、そのルールでやることになった。
次回、大富豪バトル。
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