Sid.21 受付嬢三人が訪れてくる

 アデラが論文を仕上げてくれれば、魔法学院の連中の効率もよくなるだろう。

 コツと言うか、何をすればいいのか、きちんと系統立てて示されるだろうからな。


「教本になるならば成功する道筋も見えるか」

「現状、口頭で説明しても理解できないだろ」

「まあ、頭の固い連中じゃな」


 クリッカを見て「そっちはどうなんだ? 抱いたのか?」なんて言ってるし。

 抱くわけ無いだろ。そろそろヤバいが。


「クリッカなんだが、できるならば冒険者として」

「お安い御用だ」

「え」

「来ると思ってたからな」


 正式な名前をと言われ「Krickaクリッカ Ståhlbergストールベリ」としておいた。

 一応、妹、としておくことに。


「妹扱いか?」

「説明が面倒だからな」

「そうか。妻でもいいんじゃないのか」

「あのなあ」


 冒険者ランクはどうするか聞かれ、上級一等でと言うと。


「そんなに能力があるのか?」

「あるぞ。風魔法は俺と同等だからな」

「凄いな」


 俺も驚いたけどな。しかも飛行速度は時速四百キロとか、凄まじいなんてもんじゃない。まあ、魔素が充分蓄えられていれば、だが。

 ただ、攻撃力はほぼ無い。高所から落とすだけだからな。ゆえにアヴァンシエラくらいでいい。


「リスベツ。プレートを用意してやれ」

「あ、はい」


 リッカルドの指示で即座にタグを用意するリスベツだ。


「少し待っててくれ」

「それは構わないがダンジョンは」

「明日以降で構わん。どうせ待たせてるわけだからな」


 明日にでも学院の方に使いを出すそうだ。ゆえに来るのは明後日になるだろうと。

 今日はゆっくりして、受付嬢でも抱いてりゃいい、だそうで。

 エステルとマルティナを見ると期待してるよなあ。俺の股間に休まる暇はないな。


「それでだ、気を利かせて来たわけじゃないんだろ」

「鉱物資源を入手したくてな」

「何が必要だ? 物によっては在庫があるぞ」

「タングステンとアルミニウム、それと雲母」


 なんだそれは、と言われてしまう。

 そりゃそうだ。この世界では発見されてないからな。


「ダイヤに次いで硬く重い金属と熱伝導率の高い軽い金属」

「意味が分からんが、重いだけの金属ってなら」


 金があるとか言うが、それは役に立たん。いや、導電性には優れてるが今回は要件を満たさない。柔らか過ぎて電機子の素材には不向きだ。

 ついでに銅も必要だというと、それなら倉庫に大量にあるそうで。

 ならばそれはあとで買えばいいか。いちいち選別して持って来るのも面倒だし。


 ああ、そうだ。アルミとマグネシウムに亜鉛の合金なら、ハンググライダーのフレームにいいかも。所謂、超々ジュラルミンと呼ばれる奴だ。

 そうなると亜鉛とマグネシウムも必要だな。まあマグネシウムの素は海に幾らでもあるし、ダンサンデトラーナで入手可能だ。電気分解すればだけどな。

 どうせアルミも電気が必要だし。電力は俺が供給すればいい。

 亜鉛は乾式法ならば製造は難しくないと思う。

 できるかどうかは試す必要があるけどな。そこはアデラに期待しよう。


「あの、プレートができました」

「おう。じゃあ渡してやれ」

「はい。トール様、どうぞ」


 受け取ったタグにはパーティー名が「liljaリーリャ jungfruユングフル」となっていて「Avanceradアヴァンシエラ förstaフェルシュタ klassクラス」となっている。

 そしてクリッカの名だ。

 これでどこに行っても冒険者として通じるな。

 まあ驚かれるだろうけどな。アヴァンシエラってことで。幼く愛らしい顔ながら、上級冒険者ともなればな。男からモテるかもしれん。化け物と知りさえしなければ、の条件付きだが。まあ、俺以外相手にされるわけもないが。

 ちょっとだけ優越感を得たぞ。元の世界じゃ味わえなかったことだな。


「入坑許可証は持ってるか?」


 俺は持ってない。忘れてたな。ミリヤムに預けっぱなしだ。俺が持っていると確実に無くなるからな。


「ミリヤムが持ってる」

「じゃあ手元にないのか」

「まあそうなるな」


 無茶なことをするからやむを得ないのだろうと。


「今回は特別だからな」

「あ、ああすまん」

「紛失消失したら一グルドだからな」


 笑いながら言ってるし。俺が持ってると消失する可能性大だ。例のあれと戦闘したら残す方が無理だからな。

 またもリスベツに入坑許可証を発行させ俺の手に。

 ついでに依頼書も渡された。


「明日は頼むぞ」


 依頼書には各化け物の魔石を十個と、ハーピーの卵を六個と記載されてる。

 ミリヤムが居ないから荷物は俺が持つしかないのか。そうなると大きなバックパックが必要だな。


「バックパックはあるか? それとギガントソードを預かって欲しい」

「背嚢ならあるが剣を預けて大丈夫なのか?」

「魔法があるし、この腕にはダガーも仕込まれてる」


 俺の義手を見てびっくり箱か、なんて言ってるし。

 化け物は全て魔法で倒せばいい。ダガーの出番なんて早々ないな。

 カウンターの奥にギガントソードは立て掛けておくことに。


「倒れたら大惨事だな」

「じゃあどこに?」

「倉庫に入れておいてくれ」


 と言うことでエステルが倉庫に案内してくれるようだ。


「こっちだから」


 カウンター横に扉があり、そこを開けると廊下があり扉が幾つか。

 少し進むと扉を開け「ここに適当に置いてくれれば」と言ってる。


「躓いたら」

「普段誰も入らないから」

「じゃあ転がしておく」


 背中から外し床に置いて振り向くと、眼前に迫る唇がある。


「おい」

「ちょっとだけ」


 我慢できないのかよ。

 結局、キスして乳を揉まされ股間を撫でさせられ、撫でられることに。

 もう溢れてやがる。


「これ、バレるだろ」

「いいってば。どうせ、もうすぐ業務終わるし」


 ここの受付嬢もまた性豪ばっかりだ。

 カウンターまで戻ると「何してたの?」とリスベツに詰め寄られるエステルだ。


「味見」


 ぶすっくれるリスベツだな。


「我慢できないの?」

「無理。だって久しぶりだし」

「ずるいなあ。あたしも遠慮しないぞ」

「あのねえ、まだ業務中だからね」


 調子のよいエステルに乗ろうとするマルティナだ。

 すでにリッカルドはこの場に居ない。もう責任者室に戻ったのか。


「トール様。終わったら」

「どこかの宿か?」

「私の家でも」

「いや、クリッカはどうする」


 結局、業務終了後、宿に集合することになった。

 先に宿を取っておき、またギルドに来ると言うと「寝て待ってて」だそうだ。


「準備して待っててくれれば、手間が無いよね」

「出して起てておけばね」


 こいつら。

 まあいいか。久しぶりだし、いつも同じメンバーだとな。どうしてもマンネリ化してくる。気分転換に丁度いいと言えばいい。味わいの異なる女性たちだし、リスベツは何気に気に入ってるし。

 ぺったんこなのになあ。それがなぜかそそる。


 ギルドをあとにし宿に向かい空き部屋を確認すると。


「見た顔だな。大部屋がいいのか?」

「いや、五人」

「何だ、少ないな」


 少ないって、前回の印象が強烈だったってことか。まあ総勢九人だったし。それだけ連れてくるような冒険者は居ないのだろう。

 じゃあ六人部屋を、となり鍵を預かり部屋で待つことに。


 ベッドに腰掛けるとクリッカも寄り添ってくる。

 ここでエロい行為に励むと、クリッカも影響を受けるんだよなあ。参加されたらどうするか。また手で慰めるしか無いのか。

 さすがにやる気には……なりそうだ。

 なんか期待してる。


「パパぁ」


 しな垂れてきてキスしようとするし、なんか知らんが溢れてきてるし。

 完全に発情してるだろ。どうすりゃいいんだよ。

 悶々とした気持ちを抑えながら、リスベツたちが来るのを待つ。その間も発情したクリッカに食われそうだし。

 開き直れば、なんて思いもするが、でも化け物なんだよ。


 見ると愛らしい。

 潤んだ黄色い瞳が俺を見つめてるし。

 不意にドアがノックされクリッカから離れドアを開けると、まあ三人揃って来てるわけで。


「トールお待たせぇ」

「じゃあやろうか」

「トール様、二人は無視で」

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