第111話 植物の活発化①
その後、
た。(疲れていたせいだ、俺の魔法のせいではない。多分だが)
不動産屋の
俺がアイテムボックスに入れて持ってきた家具(中身つき)は、もうひと部屋の方へ置いて生活をしている。
俺達はキヨカが組んだプランに沿い、救助や収集を続けた。
おっと、その前に、念願の
「ライト」
魔法で辺りを照らす。通路を進むとそこには12体の仏像が静かに佇んでいた。
「ほわぁ、凄いねぇ。王都の神殿みたいだね」
「そうだな」
「あちらの世界にもこんな感じの場所が?」
「うん、まぁ、あっちはもっと西洋風だったがな。神殿に女神像が10体並んでいたんだ」
ぐるりと仏像を見学して2階へと上がった。大仏の中とは思えないくらい広い。
2階は
「カオさん、階段もあるようですよ」
「ここは大仏様の胸のあたりなんですって」
「へぇぇ、凄いねぇ」
「こんな災害時じゃなかったら、緑や花が綺麗に見えるんだろうな」
「でも、遠くまで見えて凄いねぇ」
「そうだな。来れて良かった。ありがとうな」
災害救助をしているとどうしても心が
「ここを…、ブックマークしておこうか」
「うん!また来たい。何度も来たい!」
「そうですね」
それからまた救助活動を再開した。
実は
タウさんらに合わせると、その晩は『病院建設』の事で、タウさん、カンさん、棚橋ドクター、伊藤ドクターの4人で一晩中何かを話していた。
奥さんらふたりは、来客用の部屋で休んでもらおうとしたが、途中から棚橋妻も呼ばれて話は盛り上がっていた。
流石に伊藤妻は妊娠中なので先に休んもらったようだ。
現在ゲームでは4人とも俺の血盟員、リアルでも棚橋ドクターと伊藤ドクターは『ハケンの砂漠』の血盟員なのだが、伊藤ドクターと棚橋妻がゲームでの俺の血盟を抜ける事になった。
「今後の病院建築で同じ血盟の方がやり取りがしやすいと思いまして、伊藤先生はうちの『
翌朝、カンさんに頭を下げられた。
「いや、別に全然構わないぞ? タウさんにはとりあえずと言われていたしな。でも何で、棚橋妻と伊藤ドクターだけ?旦那と伊藤奥さんは?」
「ええ、どうしてもカオるんのエリアテレポートが必要になる時があると思うんです。それで棚橋家、伊藤家、
「おう、なるほど」
「彼らは病院が完成したら血盟を立ち上げるみたいですよ?」
そうか。…………病院の砂漠? いや、ドクター砂漠、内科砂漠、ウイルス砂漠……。うわぁ。
医療系と砂漠は何か合わないな。それとウイルス砂漠はちょっと嫌かもな。まぁ、俺の砂漠じゃないからな、彼らが考えれば良い。
棚橋ドクターも伊藤ドクターも洞窟のブックマークはした。定期的に洞窟内の診療所にも来てもらう約束で、タウさんはテレポートスクロールを渡したようだ。
ところで、『病院が完成』とは何だ?病院を造っているのか?洞窟内の診療室を拡大するのだろうか?
気になったので聞いてみた。
「洞窟拠点の他に、大きな総合病院を第二拠点として考えています。災害が中々収まらない、救助した者達も病人怪我人が増える一方です。我々だけでは手に余ります」
「そうです、カオるんに頼りすぎですね」
「今はちょっとした怪我でもいちいちカオるんを呼んでいますが、やはり病院は欲しいです。あると避難民も安心すると思います。カオるんも怪我は治せても病気までは無理でしょう?LAFに病気治癒はありませんでした」
「それで、拠点として使えそうな病院を皆さんに探してもらっていました」
タウさんらは、
そこに今回の棚橋ドクターらと言うステータス持ちの出現だ。しかも、彼らは大学病院からあの個人病院へ週一で派遣されていたそうだ。
よくわからない世界だが、派遣と言うか個人病院へバイトに行くのはよくある事だそうだ。
大学病院に勤める医者、と言うと物凄いエリートと思っていたが、意外と医者は安月給でこき使われているそうだ。……何か親近感。
それで、病院情報などを聞いていたところ、棚橋ドクターらの古巣である筑波大学附属病院が、地理的にも規模的にもこの洞窟拠点から最適なのが発覚した。
しかもその大病院は、あの災害時に多くの医者が患者と共に地下シェルターに移動したそうだ。
まさかと思うがその『患者』とは、個室に入ってた大金持ち患者……では、ないよな?そこまで腐ってるとは思いたくない。
セーフ。良かった。
残された医師、看護師らは頑張って残った患者を守っているそうだ。
たまたま個人病院に居た棚橋達はあの個人病院を去りがたく、結局妻達を呼び寄せた。その後に火山灰などもあり戻るに戻れずあの近所で医療活動を続けていたそうだ。
本格的に病院拠点造りが始まった。
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