第44話 驚愕の事件、隕石落下よりカオ驚く

 俺は廊下に出て、タウさんへと連絡を入れた。もちろんショートメールだ。いや、ショートメールと言うのかよく判らん。スマホの電話帳に登録したタウさんのとこをポチリと押す。


 電話の受話器マークがあった、その横にメッセージと書かれたコメントマークがあった。そのコメントマークを押すとメールが書ける画面になる。


『タウさん、遅くなってすまん。アンテナ立ったのでこれ、これメールか?わからんがとにかく送る。あとLAINEの登録は俺には難しすぎる』


 とりあえず、送信っと。

 おっ?緑に白地のアイコンに赤い数字が付いてる。『83』?何だこりゃ。そこをクリックすると今送った画面が開いた。

 スマホの電話帳と繋がってるのか?ちょっと前までガラケーだったからなぁ。使い方がイマイチわからん。


 職場でスマホに変えるよう言われて機種変したのだ。高かったぞ。

何でも出張費とか交通費が入るアプリをスマホにインストールしろとか言われて無理矢理変えさせられた。だが俺は社員ではないので結局出張費も交通費も無いのだが。

 スマホの機種代と月々の料金が爆上がりになっただけだった。


 LAINEのアプリも、通勤時の電車遅延の連絡用にと入れさせられたが、そうだ!あの時のうちの係長が俺をLAINEグループに入れなかったから、結局電話連絡をする事になったんだった。


 だもんだから、友人もいない俺はほぼLAINEを使った事がない。総務の立山さんがアプリを入れてくれた時に、お試しで友達登録をしてくれただけだ。


 うん。LAINEを開くとホーム画面に『友達 1』…………。

 そう言えば、立山さんも今回こっちに帰還してたな。無事だといいが。



ホロリロ ホロリロ ホロリロ


 突然スマホが鳴り出してスマホを落としそうになった。

タウさんだ!



「もしもし!もしもし!」


『カオるん? 良かった、通じました』


「もしもし、タウさんか?」


『ええ、そうです。何度かかけたのですが繋がらなくて。メールも送ったのですがそれも届いたばかりでしょうか?』


「すまん、きてたみたいだが気が付かなかった」



 スマホからタウさんの鼻息のようなものが聞こえた。



『カオるんは今職場ですか?』


「いや、あそこは電波が通じなくてちょっと外に出た」


『そうですか、ブックマークはしてありますよね?』


「ああ、大丈夫、してある」


『ではこの電話の後は職場に戻って待機していてください。私とミレさんでそちらへ向かいますから。カオるんは絶対に動かないでください』


「お、おう。わかった」


『それと、カオるんに伝えないといけない事があります』



そんな畏まって言われると怖いんだが。何だろう、悪い話か?



『落ち着いて聞いてください。マルク君がこちらに来ています』



 ん?

 …………聞き違い、か?



『カオるん?聞こえましたか? マルク君がこちらに来ています』



 ……………?

ふぁあっ⁉︎



「マルクがぁああああっ?」


『うわっ、声が大きい……、はい。マルク君が。地球に来ています』



「ちちちち地球にぃ? 地球って何処どこだ? あ、ここか、俺が今いるのが地球か? 何で? マジか? どうして? 何処に?」


『落ち着いてください、マルク君はカオるんを追ってゲートに飛び込んだそうです』



 驚いた。こんなに驚いた事はない。10年前に異世界に行った時もこれほどは驚かなかった。

 地球へ戻れると聞いた時も、「へぇ〜」くらいだった。地球に隕石が落ちると聞いた時も、「そりゃ大変だ」くらいだった。


 だが、マルクがこっちの世界に来た?俺の通ったゲートから?はあああああ?



『……るん、カオるん、聞いていますか?今日はもう日が暮れたので明日の朝、そちらへ向かいます。職場に居てくださいね。こちらから向かうので、カオるんは絶対に動かないでください』



 ボーゼンとしている間にタウさんからの電話は切れた。


 あれ、何を話したっけか?

 そこを動くなとか言われたような?いや、ここは警察庁だった。

 慌てて職場ビル屋上へテレポートで帰還した。




「なんで?」

「どうして?」

「いつきた?」

「隕石をちゃんとけれただろうか?」

「小さいのでも当たれば痛いからな」(←痛いですむか!)

「怪我してないか?」

「ご飯食べたか?」

「歯ぁ磨いたか!」

「風呂入ったか!」


「マルクゥゥゥ!」


 屋上で遠吠えをしてみた。屋上に居た社員さんがビックリしていた。慌てて中へ入り、40階の偉い人用謎ルーム内をウロウロ歩き回った。



 再度電話をしようにも職場ビルはzuが繋がりにくい、相変わらずアンテナは立っていない。災害のせいではない。


「うわあああああ、俺のバカヤロウ!警察庁で待つと伝えればよかったぁぁ」





----------(その頃、タウさん達)----------



「失敗しました。もう電話は通じません」


「カオるん、どこで電波をキャッチしたんだ?職場の外って言ってたな。もう中に戻ったんか」


「職場を動くなと言ったので、直ぐに戻ってしまったんでしょうね。連絡方法を伝え忘れるとは……」




-------------(翌朝)-------------


 タウ達はホテルを出発、とりあえずカオから昔に聞いた話を元に、やまと商事を探す。



「富士山に向かい、手前左側に警視庁ビルがあってよくヘリが飛んでたって言ってたな、すぐ近くにMTTビルと東京都電気本部ビルがあるとか」



 MAMANで手に入れた都内の地図を元にタウとミレがあーでもないこーでもないと頭を突き合わせている。



「目の前が日比谷公園とか言ってたな」

「するとこのあたりでしょうか、と言っても公園は見えませんが周りのビルからここらが公園っぽいですね。ここを真っ直ぐ進みましょう」

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