第31話 夕方ようやくLAINEに集合②
----------(タウロ視点)----------
窓の外は相変わらず薄暗く、いつ日が沈んだのか、まだ沈んでいないのか分からないまま18時を迎えた。
LAINEを開くと既にカンさんが待機していた。
カンタ]カンタです。茨城の自宅にいます。
タウロ]カンさん、お疲れ様です
カンタ]タウさんお疲れ様です。そちらはどんな様子ですか?
タウロ]現在はまだワイ浜のデスティニーホテルの18階です
タウロ]こちらは水が引かないままで身動きが取れません。救助もない状況です。
ミレイユ]カンさん、タウさんお疲れさまです
ミレイユ]なかなかメール返せなくてすまん
ミレイユ]自宅が浸水したので近くの市役所の5階に避難した
タウロ]ミレさん、ご家族は無事ですか?
ミレイユ]ああ、妹と姪も一緒に避難している
カンタ]埼玉まで津波が?
ミレイユ]いや、河川が氾濫したのか下水が逆流したのか、海からの津波じゃないようだ
ゆうご]皆さんお疲れさまです
ゆうご]電波が通じる場所へやっと移動出来ました
ミレイユ]おう!ゆうご、無事だったか。婆ちゃんも無事か?
ゆうご]はい、無事です
タウロ]ミレさんとゆうご君の無事を確認出来て良かったです
タウロ]電波が不安定なので必要な事を先に話します
タウロ]現在安否確認が出来ているのは、今ここに居るカン、ミレ、ゆうご、私の4名です
タウロ]カオとアネとは連絡が取れていません
タウロ]カンさんの茨城の自宅が浸水を免れているとの事で、当座、私達家族はそこに避難させていただこうと思っています
カンタ]はい。ただ、茨城から千葉東京方面はかなり浸水の被害を受けているようです。内陸側から移動の方が良いかと思います
タウロ]そうですね、家族を連れての移動になります、だがホテルからの移動手段が無い
タウロ]仮に自分だけテレポートで、としても、ブックマークが無い状態です
ミレイユ]頼りになるのはカオるんのエリアテレポートか
カンタ]でもそれもカオるんには自力で移動してブックマークをしてもらわないとですね
タウロ]それ以前にカオるんとまず連絡がとれない事には
ミレイユ]そうなんだよな
タウロ]皆さんはこの先をどう考えていますか?
ゆうご]皆と合流したい気持ちはあるけど、うちは北海道だし
ゆうご]婆ちゃん連れて本土上陸は難しいです
タウロ]そうですね。ゆうご君は兎に角安全第一でそちらで動いた方が良さそうです
タウロ]こちらが動ける状態になった時点で考えましょう。ただそれまでは連絡を密に取り合いましょう
ゆうご]はい
タウロ]ミレさんはどうなさいますか?
ミレイユ]俺も合流したい、カンさんいいかな?
カンタ]ええ、もちろんです。古い家ですが部屋は沢山あります
タウロ]では私とミレさんは茨城のカンさんの家を目指す、ゆうご君は北海道で待機で
タウロ]ゆうご君は北海道は函館でしたか?そっちは隕石の被害は大丈夫でしたか?
ゆうご]はい、函館です
ゆうご]うちは山の上の方なので大丈夫でした。下は津波が街を
ゆうご]水が通りすぎる感じのが何回か。暗くなってからはわかりませんが、今はだいぶ水が引いてる感じです
タウロ]そうですか。無理せず安全そうな場所に居るようにしてください。水や食べ物は大丈夫ですよね?
ゆうご]ダンジョンB2で買ったのがあるので
ミレイユ]カオるんさまさまだよな。あの死霊の森ダンジョンの地下2階
ミレイユ]異世界でセボンやマツチヨの店で買い物が出来るだけでもラッキーなのに、地球に帰還前の10日間で店舗の商品の全買いが出来るなんてな
タウロ]ええ、本当にカオるんのおかげです。全買いに必要な資金もいただきましたからね。
タウロ]さて、私とミレさんはどう動くか
タウロ]水の問題は兎も角として、早急にカオるんをキャッチしたいですね。彼の事だから放っておくと何に巻き込まれているか
ミレイユ]まさかもう巻き込まれているんじゃないだろうな。カオるんから全く連絡が無いんだよな?
ゆうご]カオさんのスマホ、zuが職場で繋がらないって前に言ってましたね。都内でスマホが繋がらないなんてあるんですか?
ミレイユ]いや、普通はないんだが、俺はSOKOMOだからなぁ
タウロ]私もSOKOMOなんです。ワイ浜では普通に繋がりましたね。あ、隕石落下直後の障害以外はですが
ミレイユ]だよなー。カオるんのスマホの機種か、通信パックが安いやつなのかもな
タウロ]スマホは殆ど使わないと言っていましたから、そうなのかも知れませんね
タウロ]カオるんの元に向かうのは、先にミレさんと何処かで落ち合ってからにさせてください。私は関東の地理に詳しくない
ミレイユ]そっか、タウさん愛知の人だっけ
タウロ]15年前までは都内在住でしたが最近の15年でかなり変わってましたから
ゆうご]その上、この災害で全く変わってるんじゃないかな
タウロ]ええ、まさに
ミレイユ]ふむ。だとしたら東京駅で落ち合うか。駅と言うか東京駅近辺なら高層ビル群が頭を突き出しているだろう。ワイ浜から見てそっちを目指してもらえばいいはずだ
タウロ]となるとまずは船。水上を移動する為に船の入手が必要ですね
ミレイユ]ああ、タウさんがいるワイ浜は沿岸なんで流されて来てそうだな
ミレイユ]俺も東京目指して南下するわ
ミレイユ]今のところこっちの浸水は船よりもゴムボートが欲しいな
ゆうご]さすがにゴムボートは流れて来ないんじゃないですか?
ミレイユ]ああ、だからどこかのショップかホムセで探す……あ
ミレイユ]ちょっと待った、電話
LAINEにミレさんが戻るのに15分程待った。何か良くない事が起きたのではないと良いのだが。
だがLAINEに戻ってきたミレさんの言葉はその場にいた全員を驚愕させた。
ミレイユ]悪い、今の電話マルクからだった
タウロ]聞き違い、いえ、書き間違えですか?マルクから電話?
ゆうご]ムゥナの街と電話が繋がってるんですか?
ミレイユ]いや、こっちに来たらしい。ゲートに飛び込んだと。やりそうっちゃあ、やりそうだったな。
タウロ]ああ、まぁ、そうですね。マルク君ですから
ゆうご]異世界人もこっちに来れるんだ
ゆうご]僕らが行けたんだからあっちが来れても不思議じゃないか
タウロ]それでマルク君は今何処に?カオるんと一緒ですか?
ミレイユ]カオるんとは別だそうだ。丸の内にいるらしい。東京駅から近くの高層ビルのひとつ、ホテルMAMAN東京にいるそうだ
タウロ]東京駅の近く
ミレイユ]そう。俺らが落ち合う予定の場所だ
『運命』は誰かに書かれた筋書き通りに進んでいるのか、と思いたくなる。
異世界からカオを追って少年が転移のゲートを潜った。俺らが10年前向こうの世界に転移した時、パラさんやリンさんは家族も転移したが、到着した場所はバラバラだったと聞いた。
今回カオの転移で恐らくカオは日比谷の職場へ戻ったはず。そして彼の息子であるマルクは、日比谷からそう遠くない東京丸の内に。
俺とミレさんがこれから向かう予定の丸の内にマルクは転移していた。誰が用意した『運命』なのだろう。
カオるんならきっとこう答える。
「神さまだろ?」
カンタ]マルク君、よくスマホ持ってましたね。近くにいた人に借りたとしてもミレさんの電話番号をどうやって調べたんでしょう
ミレイユ]それな、どうやら菊田さんのスマホのようだ。そのスマホの電話帳に俺の番号があった
タウロ]菊田さんの。ミレさんの番号はどうやって?ミレさん、菊田さんと地球で親交があったのですか?
ミレイユ]いや。DE(ダークエルフ)同士だからたまに情報を交換していた。あ、あっちでな。
タウロ]ですが、あちらの世界ではスマホは使わないでしょう?連絡はステータスのフレンド登録のメールや念話ですよね?
ミレイユ]そうなんだが、実はあっちでカオるんと合流した頃、菊田さんから紹介を頼まれたカオが教えたらしい
ゆうご]菊田さんからミレさんの紹介を頼まれたカオさんが、ミレさんのスマホの電話番号を教えたんですか?
タウロ]カオるんはミレさんの電話番号を知ってたんですか?日本でカオるんと個人的な付き合いが?
ミレイユ]いや、説明がむずかしいな
ミレイユ]カオるんがキックから俺との繋ぎを頼まれて
ミレイユ]DEの事で色々聞きたいと言われて、じゃあ直接聞いた方が早いと
ミレイユ]ここでカオるんのうっかりなんだが、直接話すなら電話かと思ったらしくて、俺にテレ番を教えていいか聞いてきたんだ
ミレイユ]いきなり、ミレさん電話番号教えてくれ、それとキックに教えていいか?と言われて、何のこっちゃと思ったが、いいよと教えた
ミレイユ]そんでテレ番教えた翌日、カオるんがキックを連れて王都へ来た。その時紹介された。
ミレイユ]その時にキックから聞いたんだが、スマホのテレ番ではなくてフレンド登録したいから紹介をして欲しいと、カオるんに説明し直したそうだ
ミレイユ]で、折角いただいた番号なのでスマホに登録しました。とも言われた。多分電話帳に載ってたのはそれだな
タウロ]なるほど、そういう事ですか
ゆうご]ビックリしました。カオさんの事だから異世界でもスマホが使えたのかとw
タウロ]仮に異世界で使えたとしても、日本で使えないのではね。そこら辺がカオるんですね
ミレイユ]タウさんw
タウロ]しかし早急に東京へ行き、マルク君と合流する必要がありますね
ミレイユ]そうだな。10年前の俺たち同様、マルクは今、知らない土地でひとりっきりだからな
カンタ]それにしても驚くでしょうね、マルク君がこちらに来てると知ったら
ゆうご]カオさん、飛んで来そうですね
ミレイユ]それだけは避けないと!カオるんはこっちに向かっているつもりでも、どこに行くかわからないからな。気がついたらハワイとかに行ってそうだ
タウロ]一応念のため
タウロ]カオるん!このLAINEを読んでも、絶対にその場所を動かないでください
タウロ]もう一度言います。絶対にその場所を動かない事!こちらから向かいます!
ゆうご]カオさん、LAINEの友達登録の仕方解らないって言ってましたよ。大丈夫では?
ミレイユ]いや、誰かに聞いてやってもらう事もありえる。あのカオだからな
タウロ]ええ、あのカオるんですから
カンタ]ですね。カオるんですから。あ、ミレさん、マルク君にLAINEを繋げるように言ってみては?周りの誰かがやってくれるでしょう?
ミレイユ]おう、そうだな。電話しとくわ。俺のID教えてLAINE繋がったらグループの方に引っ張るからタウさん承認よろ
タウロ]ええ。わかりました
タウロ]僕とミレさんは東京駅へ移動する足の確保ですね。お互い気をつけて行動しましょう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます