追っかけの扱い
聖女の追っかけが一人住むことになってしまったが、メインキャラ達みたいな暴走はせずに案外領地内の他種族たちと仲良く暮らしているらしい。
性格としてはこの子の方が聖女に向いていそうな気はするが、残念ながらあまり強い聖魔法の適性をもっていないようだった。
一応この領地に来たということで新しい聖女という可能性も考えたが、それはなさそうだ。
少なくとも聖女である以上、魔族や魔王と戦うことを想定しているはず。
そうでなくても他国に回ったりも必要だろうし、ある程度の実力が必要になる。
いくらなんでも幼女にそれがこなせるとは思えないし、もしこの子が聖女に任命されるようなことがあるなら傀儡にしようとしている節が見えてしまう。
ただ、主人公を傀儡にしたらどうなるか……。
もちろんバッドエンド直行である。
いや、そもそも主人公を降板させたわけなので、アルムガルド王国はそのまま破滅の道に進んでいくのは確定的なのだろうが、そのことにも気づいてなさそうだ。
それとあれだけダメだと思っていた聖女も一人考えさせる時間を与えていたら色々と思うところが出てきたようだ。
元々周囲の面々の身分が高いこともあり、されるがままに流されていたのだろう。
思い切って一人で旅をさせて見聞を広めさせればちゃんとした聖女にはなりそうである。
まずは聖女としての自分の信念を持たせるところから始めさせてもいいかもしれない。
そう考えると案外あの追っかけの子と行動を共にさせるのも良いように思える。
あの子は聖女好きながらもやりたいことはしっかり見据えているようにみえる。
だからこその昨日の問いかけになるわけで。
聖女自身もそんな彼女に対してしっかりと答えを、自分で考えて出していた。
案外いいペアになるかもしれない。
「そちらも検討しておくか。あのちびっ子が安全だとわかってからだが」
この世界、見た目と年齢が一致しないことが多々ある。
少女に見えて実は俺よりも年上、という可能性はあるのだが……。
「まぁ、あの喋り方だと見た目通りの年齢だよな……」
とにかく今日はリフィルについてもらってる。
彼女からの報告で何かわかるだろう。
◇◇◇◇◇◇
「あの子……、リナちゃんっていうらしいですけど、いたって普通の……いえ、まじめすぎる子でしたね」
夜、リフィルが俺の部屋にやってきて今日あったことを話してくれた。
まず追っかけ幼女リナは困ってる人がいると絶対に手を差し伸べる性格をしているらしい。
聖女にあこがれているのだから、おそらくは聖女らしくいたい、聖女のようになりたい、って考えの下で動いているようだ。
ただその際に自分の身を顧みない点がすごく気になったみたいだ。
「あまりにも献身的すぎるんですよね。せめてもう少し自分のことを考えられるようにならないと簡単に命を落としちゃうかも……」
思えばこの領地にきたときも空腹で門のところに倒れていたらしいし、おそらくはその時も飢えている人に食べ物を配ってしまい、その代わりに自分が空腹になってしまった……とかなのだろう。
「こちらはこちらで歪だな……」
思わず頭を悩ませる。
本当に民衆が思う聖女像、を体現したような子である。
まだまだ小さいから仕方ないだろうけど……。
「でも、そういった行動をしたい時期でもあるよな」
あこがれを踏襲して、それが黒歴史となって人は成長していくものだ。うんうん。
「さすがにそれはちょっと……」
リフィルが苦笑いをしていた。
「一応しばらくの間、俺もちびっ子と行動してみるよ。あとは聖女、彼女もちょっと連れまわしてみる。上手くいけばいい結果になるかもしれないからな」
おそらく間もなくアルムガルドが崩壊する。
そのあと、かの国の中心に立てるような……。
指標となるべき人間はだれかと考えるとやはり原作でも未来であの国をまとめている聖女が一番なのだろう。
もちろんまともになるのなら……だけど。
他の王子たちメインキャラに比べるとまだ自分の我が弱い分なんとかなりそうだ。
ふらふらと周りに左右されやすい傀儡にしやすい人物であるともいえなくもないが。
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【新作を始めました!】
タイトル
『転生勇者は破滅回避のために黒幕として君臨する』
URL
『https://kakuyomu.jp/works/16818093079155755838』
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タイトル
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URL
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