第5話 暫定悪役令嬢学園編
あの兄貴のアイデアを使う時が来ました。
そうです。
学園に行かないための方便を使い家庭教師を利用して家にこもりながら学業を学ぶのです。
実に素晴らしいアイデア。
いまさら女子大生が勉強を一から学習とは精神が持ちません。
……家庭教師なら精神が持つかは不明ですが子供しかいない世界よりは良い環境になるでしょう。
「お父様。王子様との新婚生活に備えて悪い虫がつかないように家庭教師から学びたいのです。……この家で」
泣き落としに甘い父上で助かりました。
私は簡単に悪役令嬢が苦労する学校生活を切り離すことに成功したのです。
ヒロインは悔し涙を流すでしょう。
それを考えただけでも満面の笑みがこぼれて……。
あぶないあぶない。
もう少しで完全に悪役令嬢の思考パターンに染まるところでした。
これからも自分を保ち悪役令嬢のどつぼにはまらないよう気をつけなければ。
この私が学園に通わず家庭教師から学ぶことで変化がありました。
それは王子様も我が家に住み込み一緒に家庭教師から学ぶことです。
確かに婚約者の関係。
仲良く家庭教師から学べば親密になるとの配慮なのでしょう。
悔しいですが正解のようです。
何しろ私は認めたくないですが婚約者の王子様に好意があるのは認めましょう。
もともと嫌悪感もありませんでしたが。
優しく向上心があり容姿端麗な王子様は、合コンにすら初めて参加しようとして嬉しさのあまり推定急死した私には眩しすぎたのです。
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