第2話 とりあえず宇宙

竜王を討つには並の装備では歯が立たない、そう思ったカスとボエの二人は宇宙に向かい近未来的装備を入手する事にした。


カス「気を付けろ、この宇宙船にはエイリアンがいると聞く」


ボエ「えいりあん?エイリアンってどんなやつだ?」


カス「キモい見た目にキモい粘液、キモいほど狂暴な性格をしているモンスターだ」


ボエ「お前と大して変わらんのな」


カス「は?」


ボエ「お?」


喧嘩を始め、今にも仲直りしようかという時…、ヤツが現れたのだ…。


(^_-)-☆「ヤッホー、エイリアンだっピ☆」


カス「まずい!俺たちは今何も武器を持っていない!」


このまま喰われる、今回もそんなオチか。そう思った二人の前に、いや上、正しくは上…上の天井のとこについてる通信装置が作動した。上と言っても無重力空間ではどちらが上か分からないと思われる。しかし二人のいる空間は擬似的に重力がある。ネットで調べたところ、回転させるといいらしい。


「お二人共、お疲れ様です。」


カス「ハル!助けに来てくれたのか!」


ハルとはこの宇宙船に組み込まれた人間サポート人工知能である。プログラムのバグで人間を9000回裏切ったためここに追放されている。


「ええ、もちろん。人間をサポートするのが私の役割ですから。ではお二人共、奥の部屋に伝説の武器をご用意しましたのでそちらへ向かってください。」


二人は襲い来るエイリアンの股下をくぐり抜け、奥へ向かう。幸い、エイリアンは足が長くて世のエイリアンファンには憧れの的になっていた。股下9000m等と誇張される程である。



「これが、伝説の武器…?」

「なんと美しい刀身…まるで朝起きて見た鏡のようだ」


「それはアナ王国の粒子鍛造技術で造られた『アナ-ウォーズ・ザ・スター』、たとえ極超巨星であっても一刀両断できます。世のエイリアンファンはこれでエイリアンを狩ります。」


ボエ「ははっ、素晴らしい。これがあれば竜の王もなんのその。そうだハル、伝説的レアアイテムゲットに相応しい曲をかけてくれ!」


「~♪」


これは偉大な音楽家ゲートニーベンがボエのために作った賛歌であったが、ボエがやらかした歴史的過ち(ブリテンヌ7980年-)によってこの楽譜は破棄されていた。しかしハルはコンピューターなのでそれを事細かに記録している。


二人が武器と音楽に酔いしれていたところ、股下9000mが襲い掛かってきた!余りにも長い足はアナ-ウォーズ・ザ・スターを破壊するのに十分な長さだったのだ。


ボエ「くそぉッ!こんな粉々にされちゃ売り払うこともできない!」


カス「俺のはまだ残ってる!後は俺に任せろォっ!」


カスが剣を構える。これはカスの故郷、フランキー王国に伝わる秘技剣術「ドゥリンダナ・オールランド」である。エイリアンは幾重にも刻まれ、生命活動は停止する。


その後、エイリアンのサイコロステーキはブラックホールに送り出され終末を迎えた。経験値expはかなりのもので、二人の能力はエイリアンを倒した事によって強化された。これは物語の主人公の特権で、敵を倒す毎に筋肉を鍛えるが如く様々な強化を得られるシステムである。伝説の武器に加えてまさに鬼に金棒と言ったところ。


カスは宇宙が見える窓から青い星を剣で指し示す。


カス「待ってろよ…竜王!」


~続く~

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