第17話硝子の森を抜けて
硝子の森の中には生き物らしい生き物は存在しなかった、当然である
木の実も生らない、冬は冷たく脆い硝子の木が生い茂る森に好んで棲む生物はいない、それはこの森が自然に出来た産物ではない事を物語っていた
「しかし静かですね、私達の足音以外の音は何もない、まるで無音の世界のようです」
「生き物がいないからねー、そういう点じゃあ零氷渓谷に似てるかもね」
確かに、生物の棲めない絶死の環境という点で見れば同じかもしれない
しかしこちらは氷と違い人工物である
「この森は
「さあどうなんだろうね~」
しばらく行くと大きな水溜まりがあった、この森は地面まで硝子で出来ている為に大地が水を吸収する事なく自然に蒸発するまで残り続けるのだ
水溜まりを覗き込むとどこまでも底の無い暗黒が見えた、海と同じように底が深すぎて光があまり反射しないが故に顔が映らない、この大地を浸食する硝子はどれだけ深くこの地域に食い込んでいるのか
「もうすぐ森を抜けるよ、この先は青銅で出来た廃棄都市だよ」
【死霊候】の声に顔を上げ、森の終わりを直視する
その先には、錆びで鈍色に彩られた都市があった
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