第13話紅蓮の吸血鬼

真紅の長い髪と漆黒のドレスを着た吸血鬼ヴァンパイアが、多数の兵士の前に立っていた

彼女は【紅蓮候】と呼ばれる紅蓮の炎を操る死徒階悌の吸血鬼ヴァンパイアである

西の廃都に居を構え、時折気紛れに人里に現れては人を襲う為、付近の住人からは恐れられている

そんな彼女を討伐するために西の王国であるフランクリン神聖王国は大規模な討伐部隊を派遣した、その数なんと四十万の大軍である

そんな大軍勢を前にしても怯む事もなく、その面には余裕の笑みさえ浮かべていた

大軍を前に不適な笑みを浮かべる吸血鬼ヴァンパイアに指揮官が全軍に攻撃命令を下し、全部隊が油断無く構え突撃する、しかし

時間停止タイムストップ

それは第十階悌の魔法である時間停止タイムストップ、周囲の時間を一定時間停止するという英雄の領域を逸脱した存在である逸脱者すら超えた超越者の魔法である

時間が停止している間は停止している存在に干渉する事は出来ない、従って時間停止タイムストップ中に相手を攻撃する事も不可能である

遅延魔法ディレイマジック紅蓮の絨毯プロミネンスフロア

紅蓮の絨毯プロミネンスフロアは広範囲に紅蓮の炎プロミネンス領域フロアを展開する魔法でありこちらは第八階悌の魔法、それでも人類の魔法を遥かに超越した領域の魔法である

それを魔法の発動を遅くする遅延魔法ディレイマジックと組み合わせる事により時間停止タイムストップが解除された瞬間に遅延ディレイされた紅蓮の絨毯プロミネンスフロアが発動して全てを焼き尽くすと云う戦術である

彼女の目論み通り、時間が動き出した瞬間に魔法が発動して理由わけも分からぬまま十五万の兵士が燃え尽きた

どよめきが恐怖と動揺となって全軍を駆け巡る、か弱き人類の前で超越者はその脆弱さをせせら笑っていた

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