第7話沼地の墓船

塔をくぐり抜けて歩を進め、たどり着いたのは薄暗い湿地帯である

大きな沼があり、その沼の真ん中辺りに巨大な船が斜めになってその半身を緑色の沼の中に沈めている

「どうしてこの内陸の沼に船なんか沈んでいるんだろうね?」

「さて、解りかねますね、前戦争の遺物でしょうか?」

かつて大陸の主導権を賭けた人類と魔族、竜族ドラゴン吸血鬼ヴァンパイアの大戦争があった

その時代は多くの漂流者プレイヤーが現れて、有り得ざる伝説級の道具レジェンドアイテムや魔術を駆使して争ったと伝わる

「人類と他種族の大戦争ねぇ、空飛ぶ船の話しは聞いた事があったけど・・・」

まさか目の前の船がその空飛ぶ船なのだろうか?

「見てくださいマキエ、緑光蛍ランピリンスですよ」

「本当だね、きれいな光だよ!」

緑光蛍ランピリンスは全身から淡い緑色ライトグリーンの光を纏って飛ぶ甲虫の一種だ、蛍のような輝きを発する事から名付けられたが、どちらかと言うと天道虫テントウムシの仲間である

それが沼に半身を沈めた船の周りに集まって、船を淡い緑色ライトグリーンの光で包み込んでいる

「まるで船を飾っているみたいですね」

「蛍は魂が虫に転じた存在モノだと聞くよ?もしかしたらこの船の戦死者の魂が自分達の居場所に集まっているのかもね」

そう言って二人はしばしの間、その淡い光を見つめながら思いを馳せるのであった

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