幻想領域

第4話碧き水晶の湖面

古びた遺跡を後に進めば、そこには大きな橋が架かっていた

その先には水色の大きな水晶クリスタルが所々から突き出ていた

この場所は水晶渓谷クリスタルバレーと呼ばれている水晶の谷である

【死霊候】はおもむろに谷へと飛び降りた、巨体が飛び降りた衝撃で渓谷の水晶クリスタルが大きく振動する

遅れてギアも[無重力魔法アンチグラビティ]を発動して空中を緩やかに下って行く

「この辺りの水晶クリスタル魔法道具マジックアイテムの作成に役に立つんだよ」

【死霊候】は死霊使いネクロマンサーである、それ故に魔法の道具マジックアイテムの事には詳しい

「まるで青空を凝縮したような美しい光景ですね」

渓谷中に群生する水色の水晶クリスタルを見渡しながらギアが言う、かつて聞いた話だと夜になるとここの水晶クリスタルは夜の闇の中で水色に輝き橋を通った旅人がその谷底全体が美しい水色の光を放っていた事から川と勘違いしたと云う逸話がある

「ここの水晶は膨大な魔力マナを貯め込んでいてそれが水色の湖面のような光を放つんだよ」

【死霊候】が逸話の由来を語ってくれた、万年城[ミレニア]も半透明の硝子のような美しい城であった、しかしこの谷もまた違う優美さがあった

「あれをご覧よ」

【死霊候】が指さす場所に眼を向けると、そこは崖全体が水晶クリスタルに包まれたまるで切り立った水晶の崖であった、それが太陽の光を反射してキラキラと水色に煌めいていた

「別名水晶の滝だよ」

「これが見れただけでもこの場所に来た甲斐はありましたね」

二人は日がくれて夜になってもその場所を眺めていた、夜にはまるで湖面の中にいるような錯覚すら覚える程に辺りを水色の輝きが覆っていた

此処は水晶渓谷クリスタルバレー、またの名を碧き水晶の湖面サファイアレイク

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