第3話幻想放浪

死霊使いネクロマンサー【死霊候】と共に架空の悪魔パラファラピヌ達は各地を巡る旅に出る

鬱蒼とした森を抜ければそこは古びた遺跡が湖の中にポツンと存在していた

「数百年前は此処に湖なんてなかったのにねぇ」

【死霊候】は陽気な調子で誰に聞かせるでもなく呟く、この場所はかつて漂流者プレイヤーが拠点にしていたところである、しかしそれも数百年前の話

漂流者プレイヤー人間ヒューマンが多く存在してましたからね」

ギアはこの場所にまだ漂流者プレイヤーが存在した時代からその興亡を見続けていた

人間種以外も勿論いたが、漂流者プレイヤーは人間種、中でも人間ヒューマンの割合が多かったのを覚えている

かつてはこの地にギルド拠点を持ち隆盛りゅうせいを誇っていたが、漂流者プレイヤー達は寿命を迎えてその全てが消え失せた

今は窪んだ大地に雨が降り、水が溜まって湖のようになっていた

遺跡ギルドはうず高い場所に築かれていたおかげで水没は免れたものの、最早誰も住まず、手入れもされていない為に荒れ放題になっていた

漂流者プレイヤー拠点ギルド全てに必ず同胞NPCが存在する分けでもないという事ですね」

「確かに、何が違うのかな~?」

「さて、漂流者プレイヤーについては漂流の仕組みも含めてまだまだたくさんわからない事がありますからね」

湖の水面に遺跡が映り、幻想的な風景を醸し出していた

「強者共が夢の後、だったかな?」

「何ですそれ?」

【死霊候】の言葉にギアは不思議そうに聞き返す

「むかし、そう少し昔にどこかの流れ者プレイヤーから聞いた言葉、美しい滅びの唄だよ」

「滅びの唄ですか、確かに、キレイ」

既に滅んだ拠点ギルドを眺めながら、滅びの後の静寂に思いを馳せていた

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