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 12月24日を迎えた。今日はクリスマス・イブだ。今日は子供たちがクリスマスプレゼントをもらう日だ。そして、あらゆる観光スポットではクリスマスイベントが行われている。


 虎次郎は自宅にいた。今日は亜希子と凛空と一緒に東京ディズニーリゾートに行く日だ。以前から亜希子と計画していたが、虎次郎には別の意味で重要な日だ。今日、亜希子に全ての想いをぶつけて、告白するんだ。そして、結婚するんだ。もう迷いはない。この日に決めよう。


「いよいよクリスマスイブか」


 虎次郎はスマホを見た。スマホは12月24日を表示している。いよいよ来たんだなと思うと、緊張してくる。だけど、頑張らなければ。


「今日は会う約束だな」


 虎次郎はそわそわしていた。


「うーん・・・。今日こそ告白しないと」


 虎次郎は時計を見た。そろそろ時間だ。東京駅に向かおう。


「さて、行こうか」


 虎次郎は家を出て、自宅から最寄りの駅まで歩いていた。今日は車ではなく、地下鉄とJRを乗り継いで向かう。


 虎次郎は地下鉄の駅にやって来た。その地下鉄は大手町まで通じている。大手町駅は東京駅と地下通路でつながっている。東京メトロの丸ノ内線にも東京駅があるものの、大手町駅もいわば東京駅みたいなものだ。


 地下鉄の車内で、虎次郎は考えていた。いつか亜希子と一緒になりたいと思っていた。今日、それがかなうかどうか決まるんだ。着任してからいろいろあったけど、今日、全ての想いを話すんだ。


 虎次郎は大手町駅にやって来た。大手町駅は多くの東京メトロ、都営地下鉄の路線が集まる、東京の地下鉄の一大ターミナルみたいな駅だ。ここから東京駅まで行くには、地下通路を歩いていく。虎次郎には、その長い道のりが、戦力外になってから、教員になり、亜希子に告白するまでの長い道のりのように見えた。その先に、きっと明るい未来が待っている。きっと3人一緒に暮らせる日々が来るだろう。


 虎次郎は東京駅にやって来た。東京駅は今日も多くの人で賑わっている。通勤客の他に、今日は観光客も目立つ。今日はクリスマスイブだし、冬休みなので、多くの観光客が行きかっているようだ。


 虎次郎は中央口にやって来た。ここで亜希子と待ち合わせをする予定だ。虎次郎は緊張していた。


「もうすぐだったな」

「お待たせ!」


 虎次郎は振り向いた。そこには亜希子がいる。亜希子は笑みを浮かべている。凛空も笑顔だ。今日は東京ディズニーリゾートに行くと知って、嬉しいようだ。


「亜希子ちゃん!」


 虎次郎も笑みを浮かべた。今日は結婚指輪を用意しているが、まだ見せないようにしよう。その時になったら、見せて告白するつもりだ。


「今日はディズニーリゾートに行く約束だね」

「うん」


 虎次郎は凛空に目線をやった。今日、東京ディズニーリゾートに行くのを、凛空は楽しみにしているんだろうか?


「楽しみ?」

「うん!」


 3人は京葉線のホームまでの通路を歩き始めた。東京駅の京葉線のホームは中央口からかなり離れていて、よく話題になる事がある。そこまでの道のりを歩いているのは、家族連れが多い。彼らは東京ディズニーリゾートに行く人々と思われる。その中には、ディズニーのグッズを持っている人もいる。見るからに、この人たちも東京ディズニーリゾートに行くと思われる。


「ここまでの通路長いね」

「それが京葉線だよ」


 3人は疲れていた。だが、虎次郎と明子は慣れていた。これが東京駅の京葉線のホームなんだ。新幹線から京葉線へ行く人々は大体ここを通っている。この長い通路を歩いていけば、東京ディズニーリゾートはすぐそこだ。そう考えると、長い通路でも楽しくなってくる。


「使うたびにいつもそう思うのよね」

「なんでこんな構造になったのか」


 虎次郎はつくづく思う。どうしてこんなに道のりが長くなったんだろう。もっと近くに作れなかったんだろうか?


「大変だよな」


 3人はやっと京葉線のホームにやって来た。ホームにはワインレッドの京葉線の電車の他に、オレンジの武蔵野線の電車も停まっている。ホームには多くの家族連れがいる。みんな、東京ディズニーリゾートに行くのを楽しみにしていると思われる。


「さて、乗ろうか」

「うん」


 3人は京葉線の電車に乗った。車内は混雑している。ディズニーのグッズを持っている乗客の多くは、舞浜で降りると思われる。


「今日も多くの人が来てるね」

「うん」


 3人とも、子供のころからディズニーの映画を見てきた。そして、ディズニーリゾートに行きたいと思い、ディズニーリゾートに行った。だけど、今日のディズニーリゾートは特別だ。


「やっぱりディズニーリゾートはいつも大人気だね」

「ああ。いつの時代も変わらない人気だ」


 2人は思った。いつの時代になってもディズニーは人気だな。世代を超えて愛されている。


「本当ね」


 電車は東京駅を出発した。ここから越中島の先までは地下を走る。この種別、京葉快速は東京を出たら、次の八丁堀、新木場に停まって、舞浜に停まる。武蔵野快速もそうだが、武蔵野快速は市川塩浜から武蔵野線に入る。


 と、亜希子は考えた。まだ何に乗るのか、決めていないのだ。東京ディズニーリゾートの下調べを全くしていなかった。


「今日は何に乗ろう。全く考えてないよ」

「僕もだよ」


 どうやら虎次郎も考えていなかったようだ。舞浜について、チケットを購入待ちする時に考えよう。


「凛空は?」

「うーん・・・」


 どうやら凛空も考えていないようだ。来てから考えよう。


「凛空も考えてない?」

「うん。考えてない」


 電車は八丁堀駅に停まった。だが、ほとんど乗り降りする人はいない。電車はすぐに出発した。


「そっか。あっちに行ってから考えよう」

「そうだね」


 電車は越中島を通過すると、その先で地上に上がった。人々は右の光景に見とれた。その先には海が広がる。そしてその前には、まだ見えないが東京ディズニーリゾートがある。そう思うと、なぜか気持ちが高ぶってくる。


「いよいよ地上に上がってきた」

「本当だ」


 3人も気持ちが高ぶってきた。ようやくだんだん近づいてきたのがわかる。


 電車は新木場駅に着いた。有楽町線、りんかい線の終点で、ここから多くの乗客が乗ってきた。彼らも東京ディズニーリゾートに向かうようだ。みんな、楽しそうだ。


 電車は新木場駅を発車した。次は舞浜だ。いよいよ次は東京ディズニーリゾートの最寄り駅だ。


「近づいてきたね」

「ああ」


 葛西臨海公園を通過すると、電車は長い鉄橋を渡る。江戸川橋梁だ。そしてその先には、東京ディズニーリゾートがはっきりと見える。


「江戸川だ!」

「大きいね」

「うん」


 と、亜希子は目の前に観覧車を見つけた。あれが東京ディズニーリゾートだ。東京ディズニーリゾートはすぐそこだ。


「見えてきた! あれがディズニーリゾート!」

「本当だ!」


 それを見て、凛空は興奮した。ついに、東京ディズニーリゾートにやって来たんだ。


「わーい! ディズニーリゾートだー!」

「嬉しい?」

「うん」


 どうやら凛空もうれしそうだ。今日やって来た甲斐があるな。電車は江戸川を渡り、舞浜駅に近づいてきた。

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