第9話40Fのボス部屋に居るはずのないポイズンドラゴンがいた。

急いで、次のボス部屋に向かって進む。

出てくる魔物は最低ランクの魔物の為、直ぐに20F手前の休憩が出来る部屋に入るが、ワルの4人組はいない為、ボス部屋に行ってみる。

ボス部屋には、魔物討伐ランクFのダブルヘッドフォースソードカマキリが既に倒されている。

それを自分のアイテムボックスに収納しておく。

休憩所を利用して晩飯の休憩をする事になった。

尚、ボスキャラは1日で復活するゲームみたいな仕掛けになっている。

休憩所に入ると、ローラ姫が俺にあたる。

「貴方が、前の人達や護衛の騎士達が倒した魔物の素材や魔石とかを拾うから、こんな所で休憩って事になったのよ。もう」

「仕方ないだろ、素材や魔石は金になるんだぞ。」

「馬鹿じゃないの、そんな低ランクの魔物の素材や魔石は二束三文でたいしたお金にならないでしょう。最後まで全部拾っても、金貨10枚位でしょ。

依頼は金貨100枚なの!金貨90枚の大損なのよ。分かった。」

言うことは最もなので、反論せず

「分かったよ」と言っておくが、本当はワルの4人組と離れていたくて、ワザと素材や魔石を集めていたのは内緒だ。

「じゃ、さっさと食事の準備をして、その後はキャンプの準備よ、さっさとして!」

さすが王女様、全部俺にさせるつもりの様だ。

今後の事を考えて1言、言っておこうと思う。

「いや、自分の事は自分でやるようにしよう。」

「ああ〜ん、何か言った。」

ヤンキー女見たいな言い方。とても王女には見えない。

「いえ、何でも無いです。準備します。」

すると、薪や水を汲みに行っていたヴァルキリー女騎士の方が戻って来て、

「休憩の準備とか、キャンプの準備、食事の準備とかは私達がやりますので休んでて下さい。」

ローラ姫の護衛の為に女性だけの騎士隊から選ばれたヴァルキリー騎士団の女の人、4人が言う。

「有難うございます。でも何かしてないと居心地が悪いので手伝わせて下さい。ローラ姫も怖いし」

ローラ姫が怖い為、素直に従う事にした。まあ、俺の命を救うらしいから、逆らわない事にした。

食後の片付け、皿洗い等をヴァルキリー騎士の方と分けて片付けるがローラ姫は何にもしない。テントもローラ姫の分まで用意したのである。

そこでふっと思い出す。ワルの4人組は前回の討伐の時二手に分かれた際、魔法を使える女性の魔術士を2人づつ連れていたそうだ。

異世界の魔術士を手足の様にこき使ったせいで今回の討伐には、拒否されたそうだ。

今回手伝いをしてくれる人を連れてない。ワルの4人はそういった雑用はしないはずである。

異世界人は全員がアイテムボックス(小)2m×2mの大きさを持っているから、自分達の食事やキャンプも自分達でやらねばならず四苦八苦しているのが目に浮かぶ。互いに仕事のなすり合いか、子分の合間と今木に押し付けていると考えられる。

朝になり、当然の如く朝ご飯の準備と片付けも俺とヴァルキリー騎士の方とでやる。

晩御飯と朝御飯等は、王城のキッチンから出来た熱々の物を鍋ごとアイテムボックスに入れたので皿に装うだけで良いのである。

逆木達からはお酒を詰めるだけ詰めと命令されていたが、信用出来ないから朝早くから王城のキッチンに行き、事情を話しお願いして、貴族や騎士や兵士の料理が出来上がった物をアイテムボックスに詰めさせてもらったのだった。

20Fのボス部屋に行き、先行して俺がボス部屋のドアを除くと3m程の大きさの復活したダブルヘッドフォースソードカマキリが30畳程の広さの中央に鎌を構えてこちらを向いている。

作戦をローラ姫と護衛の騎士が話しながらこちらにやって来るので、俺が倒すことにした。

部屋に入る前に、魔力操作を最大にして、自分に時空魔法LV2スピード(ランク3•自分の速さを2倍にして、30秒継続)を掛けて、入ると同時にカマキリの魔物に時空魔法LV2スロー(ランク3•相手の動きを遅く、半分にして30秒継続)を掛けるが魔力操作を最大にした為、30秒ではなく300秒になり、相手のスローと自分のスピードが長く続いた為、カマキリの動きがノロマな亀の様で、更にスローモーションで止まっているかのような動きの為、カマキリに攻撃をさせる前にあっと言う間にカマキリの首を落としたのであった。

直ぐ様カマキリをアイテムボックスに収納する。奥の方には宝箱があり、開けると只の鉄剣が入っていたのでそれもアイテムボックスに収納する。

そして、ボス部屋の外へ出てローラ姫と、護衛騎士達を待つとやって来た騎士達がボス部屋を除く。

ボス部屋にボスがいない為、ローラ姫にそう報告すると、

「今回はまだ復活する前だったのかしら」

と勝手に思い込んだので、説明するのが面倒なのと”能ある鷹は爪を隠す“と言うし、異世界で生き残る為にも自分の力をバラしたくないから黙っておく。人間不信の自分には例え相手が王女でパートナーでも、言うつもりは無かった。

多分だがローラ姫が知ったら根掘り葉掘り問い詰められてしまいそうだと感じたのだった。

「調度いいわ、ボスが復活する前にさっさと下に降りましょう。」

そう言って勝手に下の階段を降りて行く。

階段を降りてドンドン進むが、魔物の残骸しか無く魔物自体にも遭遇しなかったので、直ぐに30Fのボス部屋に着くが、30Fのボス部屋にボスキャラの魔物討伐ランクFのグリーンカメレオン5mの大きさのが倒されたままになっているので、今朝倒したのであろう。

ワルの4人組に近付いているのを感じる。

昼御飯を食べた後、40Fへと向かう。

大した魔物とも出会わずに、40Fに着くとボス部屋前の休憩が出来る部屋にワルの4人組が居て、食事を取っていた。

硬い黒パンと干物の肉を食べながら、俺等を見て

逆木が「チッ、もう来やがったかクソ!」

中村が「護衛の力のお陰だろうな」

合間が「チッ、弱いんだから死んだと思ったのに」

今木が「能無しのくせして、早く死ね」

すると、いつの間にか女性の魔道士が2人いた。

国の魔道士隊の様で逆木達に金で雇われたようだ。

その2人には見覚えがある。確かこの異世界に来た時に王様にステータスを報告する際に側に居た鑑定士の2人だった。その2人が食事の準備や片付けをやらされていた。

「早く片付けろ、役に立たないようなら金は払わんぞ、お金が必要なんだろ、さっさとやれ」

女性とはいえ容赦なくこき使っているようだ。そして、俺等を睨み付けている。

やっぱり自分らは、歓迎はされて無いようだ。

ヴァルキリー騎士団の騎士がワルの4人組に同行している魔道士の女性を知っている様で情報を言う。

「あの魔道士の女性2人は親が貴族から借金をしていて、よく貴族と揉めていました。」

ローラ姫が「あんた達ね、少々ズルくない、王様は全員に金貨100枚を払うと言ったのよ!あなた達で依頼を達成しても、私達にも金貨100枚づつは入るのよ。私達に入らないわけでは無いの。」

逆木と中村と合間と今木がコソコソと話しをしている。どうせ良からぬ企みであろう。

俺をチラチラ見ながら話をしているから、俺のアイテムボックスに収納してある金貨をどうやって物にしてやろうかとか考えているんだろうなと思う。

「すまんすまん、お前達が来るまで、弱い魔物を片付けて早く来れる様にしておいたのさ。今度はお前達が先頭に立ってくれ。」

そう言って、一歩横へそれて道をつくり、どうぞと先頭を譲る。

ローラ姫が「有り難う」そう言って前に行くから、自分も前に行かざるを得ないのだが、ワルの4人組に後ろを任せるのは危険だと自分の感が言っているが仕方なかった。

40Fのボス部屋前で以前聞いた冒険者ギルドからの情報を整理して皆に話す。

40F迄は冒険者が何回か来ていて中の魔物は全て武器を持つ魔物討伐ランクFのゴブリンリーダー1匹と魔物討伐ランクFのゴブリンソーサラー3匹、討伐ランクFのゴブリンファイター3匹、魔物討伐ランクGのゴブリン10匹の団体と言う情報を仕入れていた。

全て魔法で倒すことが出来る。

と言っても前に兵士としての実戦訓練の時の話を皆にしたのだった。

それを聞いた逆木と中村が

「そんな低ランクの魔物の情報何て、約にも立たない話をするんじゃねえ。」

ワルの4人組達は既に倒した経験がある為、イラ付いているのが分かる。

魔法でも、楽に倒せるとの事だ。ビビリながらゆっくりと扉を開けると、中が真っ暗で何も見えない。

ゆっくり、ゆっくり〜と足を忍ばせて入っていくと逆木が後ろから

「早く、とっとと入らねーか」とケリを入れて来たので前のめりに転んでしまった。中に皆が入って来るが俺ヒロト、ローラ姫、逆木、中村、合間、今木と魔術士の2人とローラ姫の護衛の2人が入った途端に入口が”バタン“と締まり、残りのローラ姫の護衛の2人が外へと取り残されてしまった。

どうやら、10名入った所で自動的に閉まるようだ。

10名が入った所で真っ暗だった中が明るくなる。200m×200mの広さの中にいた魔物は、魔物討伐ランクCの30m級の黒いサイクロプス1匹と、魔物討伐ランクCの10m級のロックゴーレム3匹、ボスと思われる魔物討伐ランクB相当の30m級の黒紫の地竜がいた。

「ギャーなんだコイツ等は、魔物討伐ランクC以上の魔物ばかりじゃないか。こんな話聞いてないよ」と皆パニックて戦闘を放棄して、入って来た入口の扉を開けようと必死で、逃げの体勢に入っているが入口は開かない。

ならば出口はと見ると、地竜の下に魔法陣が浮かんでいる。倒した後に使えるであろう1Fへの転送の魔法陣らしかった。

更に地竜の後ろ奥には1.5m程の扉が見える。多分ダンジョン核がある部屋だと思われる。

サイクロプスとロックゴーレムと地竜を倒すか、隙を見て、後ろのドアに逃げ込むしか無いが、入口と同じで開かない可能性があると思う。

他の人達は逃げ回り、戦う意志が無いらしいので魔力操作を最大限にして、自分に時空魔法LV2のスピードを掛け、敵の魔物にスローの時空魔法を掛ける。更にエクストラスキルの神眼のバフを味方に掛け、敵にはデバフを掛けて置く。

すると、皆は気付いてないのか味方が薄っすら金色に光り、敵の魔物は薄っすらと黒い霧をまとっていた。

そして時空魔法LV2の転送ですべての敵を上空へと転送するが、天井が50mと低い為、落ちて来ても大したダメージは受けていないようだ。

そこで盾に細工して内側に貼り付けてある魔法の杖、兵士用小型の杖30cmを左手を伸ばして杖を掴み、盾を持つ左手で握りしめ新たに覚えた火魔法LV2のファイアアローを出してサイクロプスに放つ。

ファイアアローは通常弓矢サイズの1m程だが今の俺は魔力操作を最大にしている為、俺のは3m程のファイアランスよりも大きな矢が出来上がっていた。

サイクロプスに放つとお腹に大きな穴を開けてファイアアローが突き抜けて飛んでいく。

続けてファイアアローを放ち、左側にいるロックゴーレム1匹にも放ち、頭を吹っ飛ばして2匹とも一片に倒してしまった。

ランクの高い魔物だったせいか火魔法がLV3に上がっている。

行き成り魔物達が上空へと転送して、落下して火魔法で俺がサイクロプスとロックゴーレムを一瞬で倒したので、皆は何が起きたんだとやっと冷静になり、やっと皆も攻撃に参加する。

ヴァルキリーのローラの護衛がローラと魔物の間に立ち、武器を持ち自分の使命を守る。

逆木達が連れている魔術士2人が火魔法LV3の火炎放射を2人して放つが、5m程の距離しか火炎放射は出て無く魔物に当たっていない。

何度目かの火魔法LV3の火炎放射の詠唱を聞き、俺も復唱して放つと、30m程の火炎放射となり、残りのロックゴーレム2体と地竜に放つと火だるまとなり、地竜はその場でうずくまるが、ロックゴーレムは火魔法が効いて無いようで、こちらに向かって来る。

皆は火が効かないようならと、1体に集中しロックゴーレムの弱点の水魔法で戦う。

俺も残りのロックゴーレムに、水魔法LV2の水刃を放つと皆とは明らかに勢いと刃の大きさが異なり、1体のロックゴーレムが縦に半分から裂かれて倒れる。

もう1体のロックゴーレムを見ると、残りの人で戦って魔法を放ったり、剣や槍でバンバン切り裂いていく。俺の味方へのバフや敵へのデバフが効いているようだ。でなければ、ロックゴーレムを剣で切り裂くことは難しい。

残りのロックゴーレムに手こずっている頃、ローラ姫が口を開けポカーンと俺を見ているのに気が付いたので

「何、どうかしたの」

「嘘、ヒロト君はMPが33と聞いているけど、今の戦いではどう見てもMPは300はないとそんなに沢山魔法は打てないはずよ。

しかも、ヒロト君の魔法は他の人の5倍いや10倍以上は威力があるわ。どうやったの?」

「今はそんな話している暇は無いだろ」と魔法は不味いので剣を抜き誤魔化してまだ息のあるロックゴーレムへと向かう。

皆はロックゴーレムの正面から攻撃を仕掛けているので後ろに周り、足の関節部分を集中して、切り裂いて行くと、ロックゴーレムが倒れ、ワルの4人組は4人で滅多切り、滅多打ちしたら暫くして動かなくなった。

安心していると、紫色の煙が周囲を充満していて囲まれているのを知り、紫色の煙の出どころを見ると倒したと思っていた地竜が口から、紫色の霧を吐いていた。どうやらポイズンドラゴンのようだ。

麻痺と毒の効果がある様で自分以外の9人が地面に倒れてしまうが、自分には全異常耐性を持っているので、フラフラしながらも何とか立っていた。耐性であって無効ではないので俺も厳しい。

クラクラしながら、急いでアイテムボックスから毒消しと麻痺消しを出して、皆に手渡して飲むように言って配る。

ワルの4人組は気絶してないが、他の特に女性には厳しいようで5人は知識がない。

ローラ姫も意識がないようなので、口移しで飲ませているとポイズンドラゴンが向かって来て尻尾を振り回して、自分とローラ姫を壁まで吹っ飛ばしてしまう。

何とかローラ姫が傷付かないように俺がクッションとなって壁にぶち当たるが”ガハッ“と血を吐き倒れる。

自分らを目掛けて、ポイズンドラゴンが向かって来る。ローラ姫が意識を取り戻して俺にヒールを掛ける。

直ぐ様、効果が切れている魔法をポイズンドラゴンに時空魔法LV2スローを放ち、自分にはスピードを掛ける。

ローラ姫を抱えて皆の所へ戻った時、激毒の粉薬を逆木が俺に投げつけて来た。

咄嗟にローラ姫に掛からないように、布でローラ姫の顔を覆い、身体で防ぐと右脇腹に激痛の痛みを感じて見ると、激毒が塗られたナイフが刺さっていた。

全異常耐性を持っているが、それを超す毒には対処出来ないのでもんどり打って苦しむ俺に

「アイテムボックスの金貨全部で毒消しと交換してやるぜ。グフグフグフッ」と笑っているがそこで俺は意識を失った。

「チッ、クソが金貨を出してから気絶しろってーの」

中村が「今が、外へ逃げるチャンスだ。1Fへ行く転送魔法陣が見える。気絶している女性を担いでそこに行くんだ。」

「女等、ほっとけ」

「王様と大臣への言い訳になるし、金にもなるから連れて行くんだ。」

そう言って担いで魔法陣まで行き、魔法陣が発動すると、逆木が捨てゼリフを吐く。

「俺等が逃げる迄、地竜の囮をやってくれや」

そして、8人は光りに包まれ、消えてしまった。

激毒のナイフを抜きローラ姫が毒消しのキュアを俺に唱えると少し毒が弱まるが、色んな猛毒が仕込まれていたらしく、激痛は続いたままである。

意識が少し戻ったが、と同時に転送の魔法陣が消えてしまう。

転送の魔法陣が消えてしまったので、激痛に苦しむ俺にローラ姫が肩を貸して壁の奥のドアまで行き、開けて中に入ると、小部屋になっており、ドアをすぐに閉める。

チラッとポイズンドラゴンを見たが、”ニヤッ“と笑い追っかけてくる様子は無く、ワザと逃がしてやって遊んでいる感じがする。

小部屋の中には、ダンジョン核があると思われたが、何処にもない。

ダンジョン核を壊したら、或いはポイズンドラゴンが消えるのではと、期待をしたのが徒労に終わる。

そこで俺の脇腹が物凄く熱を持ち、激痛で意識が落ちてしまう。

ローラ姫が何かを叫んでいるが、声がドンドン小さくなり、激痛も熱も感じなくなった時に背中を何かに引っ張られる感じがした。









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