第10話冥府の闇ババァが俺を引っ張って連れてきた所に俺に呪いを掛けた奴がいた。

激痛の痛みに耐えていたが、極限の痛みから開放された時に目覚めた所は、暗闇の中に無限とも思えるローソクの火が揺らめく所に居た。

見渡す限りの平地なのに数十億程のローソクが三段の棚の階段の所にビッシリと並べられている。

それが燃えているのだが風が一切無くローソクの炎の火が灯り、それが偶に揺らめいている不思議な場所だ。ここはどこだと周りを見回すと側には5m程の巨大なバァさんがいて、自分を睨み付けていた。

「私は闇ババァ、これでも神の1人だ。此処は人の生死を管理する所、冥府とも言う。現世とあの世との間の冥府だ。

本当ならお前はとうに死んでいる筈なのだがな。

でもお前も後1時間程もすれば、死ぬ事になるだろう。死ぬ筈なのだがカレコレ2時間程近く生き延びている。

あの子がお前を死なせまいと、自分の生を削って魔法のヒールとキュアをお前に掛けているからだ。

だが、今のままではあの子ももうすぐ死ぬ。」

そう言うと空間に画面が出て来て、そこに自分を膝に抱えて看病しているローラ姫が見える。

激毒を少し吸ったのだろう顔色が悪い。フラフラして今にも倒れそうである。

涙を流しながら俺を看病している。その涙が気絶している俺の頬に落ちる。

今迄俺に対して、こんなに優しく接してくれた人は今迄いなかった。俺に対して涙まで流してくれている胸がなぜだかキューンとなって来るが冥府にいる自分には、今から死ぬ自分には何も出来ないのが悔しい。

「こう言うことは稀にあるから、ホットクんだが気になる事があるから、死ぬ間際のお前を此処へ連れて来た。何故にお前はあ奴と同じ顔をして、同じ精神波、魔導波、生命波を放っているんだ。」

そう言って沢山の鎖に繋がれた、1つの石像を指差す。何の事だろうとその石像の所に行くと、ニキビや吹き出物の無い、痩せた背の高い、格好良い自分をハンサムにしたかのような石像があった。

同じ顔の為、ついエクストラスキルの神眼の鑑定で見てみると、

堕天使 ルシガー 男 ∞才 LV=9千億 職業=? 状態=石化呪いの封印中、神気鎖で封印中

称号=光と闇の天使。(善なる部分自分の弱点、無能を切り離しそれを自分の分身に押し付けて呪いの輪廻転生を掛けて異世界に送り出した者=呪いの輪廻転生を受けている者の現在の名は渡辺ヒロト) 悪魔の親分だが反乱に合い呪いと封印を掛けられて冥府に飛ばされた者。HP=9999億 MP=9999億 力=99億 魔力=99億 知力=9億 敏捷=5億 防御力=9億 運=∞

スキル=∞呪いの封印中

固有スキル=?不明(✮✬☆★✻✺❀✸✶❊❄カウンター返し、)呪いの封印中、限界突破、抵抗

ユニークスキル=?不明(✪★❀✶❊✪分身、魔眼、神の祝福、魔法無効、悪魔の誘惑、死靈召喚)呪いの封印中、ステータス制御

エクストラスキル=?不明(✡☆★❄✮✪❀❊不老不死、ブラックホール、万能力、不変の力、転生、)呪いの封印中、魔法倉庫、神聖魔法LV=MAX、召喚魔法LV=MAX、呪いの輪廻転生(親)

とあり、やばい奴だと分かるが、称号の中の俺の事が書かれているのを見て”カッ“ときて、

「俺の惨めな今迄の人生はコイツのせいか!!!」

涙を流しながら、無意識に殴りかかってしまったが、煙を殴っているかの様に俺の拳がすり抜けてしまい、勢いがあった為に足が絡まり倒れてしまう。

倒れた先には沢山の、ぶ太くて長ーいローソクが火を勢い良く灯しているのが目に入る。

つい、名前が目に入るそこには、逆木ベルトの文字が見え、隣には同じ様なローソクの中村コウジ、合間ジュンジ、今木オサム等の名前まで見える。

ならば、俺のは?と周囲を見ると今にも消えそうな既にローソクが根本まで来ている細ーいローソクがあった。側にはローラ姫や、王様やらの同じ様に消えそうなローソクが並んでいる。

これにも怒りが納まらなくつい、逆木達のローソクを消そうとして、息や手で消そうとするが、やはりすり抜けてしまう。

「無駄じゃよ、我以外に触れること叶わずじゃ、話を戻すとあの石像、本来なら掛らない石化の呪い受けてしまったようだがな。」

そう言われ、肩を落としてどうにもならない事を改めて知った。

「自分には、分かりません。ローラ姫何も出来なくて御免なさい。助けたくてもどうにもなりません、御免なさい。スミマセンウッウッウッ。」

涙が止まらずに止め処無く流れていく、無能な自分に嫌気がしてくる。今程自分が悔しい事はない。

「耐性を持つのに、余程相手の恨みの力が強かったのだろうな、神から此処で預かってくれと3千年前からここにある。

それが、抵抗のスキルのせいで、徐々に呪いや封印が解けてきている。

後少しで、今掛けられている石化も解けるじゃろ。

誰も知らないのさ。

お主の魂も余程長く転生を繰り返していると見える。」

そう言って自分のローソクを指差す。

確かに他のローソクは真っ白なのに、俺にだけは白と黒が年輪の様な物が入り、灰色に見える。

細いローソクで残り5mm位しかない。どうやらこれが無くなると死ぬ様だ。特に死ぬ事には怖くは無かったので、

「仕方ありませんね。後どれくらいで死ぬんですか?」

「大体今の所、あの女の子次第だが1時間位だね。言っとくが幽体のお前では特別な神聖なローソクには触れられないから無駄だぞ。」

そう言われローソクの側に行き、ローソクを持ち上げようとしたが、スリ抜けて触れなかった。

「仕方無いですよね」

自分のスキルを見ると、アイテムボックスの中の沢山の酒が気になったので、

「死んだら、アイテムボックスの中の物はどうなるのでしょうか?」と聞くと

「無に変えるのさ」

「じゃ、どうせ勿体ないしローソクの火が消えるまで、やけ酒にでも付き合って下さいよ」

と酒全部とツマミも色々を出すと、闇ババアは興奮して

「おお、おおおー、よもや酒が飲めるとは2千年前からいや、3千年前辺りから飲んで無いぞ。早うせえ、早うよこせ。」ヨダレを垂らして俺に言う。

コップに入れて渡すと、まるで水を飲むかのように”グイッ“と一気に飲み、

「クハーッ、これだよ早くもっとよこせ。」

4、5回はコップで飲んだが面倒くさいので瓶ごと渡すとこれも一気に飲む。自分が飲めない為、樽ごと渡すと樽を抱えて飲みだす。

30分もすると、樽を7樽空にしてベロンベロンに酔っ払いぶっ倒れてしまった。

仕方ないなと、自分はコップのジュースを飲んでいる。飲みながら又物凄く太く長ーい逆木達のローソクを見ていると、怒りが込み上がり何とか出来ないかと考える。

でも、今のままでは手の出しようがない為、モヤモヤしていると、”フッ“と俺のエクストラスキル合体を思い出す。

せめて、ローラ姫だけでも助けてやれないかと考えて”合体“を闇ババアに使ってみる事にする。

異世界へ行くときは合体のLVが1しか無かったので5秒しか合体出来なかったならばと、魔力操作を最大にしてから使ってみる。

LVに合わせて合体LVも上がり、LV10だと50秒使えるようだが、魔力操作を最大にした事により、10分程に時間が伸びている。

闇ババアの右手の小指に自分の右手の小指を絡ませて”合体“と言うと俺の身体が闇ババアの身体に入っていく。

成功したみたいで、闇ババアの身体が自分の思い通りに動くと共に闇ババアの知識迄もが俺の中に流れ込んで来て、ローソクの仕組みが分かって来た。

それと同時に闇ババアのエクストラスキル吸収が自分の身体に入ってきた。それを指を使って戻そうとしたが直ぐに俺の中に入ってくる。

仕方ないのでそれに時間を取られたくないからほっとく事にした。

直ぐ様ワルの4人組のローソクを消そうと考えたが辞めて、細いローソクに火を移してから太いローソクの火を消し、燭台の太いローソクを取った後に火の付いた細いローソクを燭台に置いたのだった。

4人共太く長ーい人生が、細く短ーい人生になった訳である。

少しスッキリしたがこのままでは終わらせない。

その太く長ーいローソクにローラ姫の消えそうなローソクの火から移してから、ローラ姫の細く消えそうな、ローソクの火を消して燭台のローソクと入れ替える。

さらに王様のも太く長ーいローソクに入れ替えて、自分のも太く長ーいローソクに入れ替える。

すると自分のローソクを移し替えた途端に俺のローソクが年輪みたいにビッシリと縞模様になったのだった。

余った太いローソクを、藤波マナミちゃんにもプレゼントの意味で取り替えてあげたのであった。

まだ合体の時間に余裕がある為、俺ソックリの石像の所へ行く。

なんとかして、やり返したい。神気鎖をほどき闇ババアとの合体を解除して、石像と合体出来ないかをやってみる。

石像の右手の小指に自分の右手の小指を絡めて“合体”と言うと問題無く合体が成功したので、右手と左手の左右の指10本を使い、無限とも言える全ての呪いで封印されたスキルを自分のスキルに移す。

石像のスキルは殆どが呪いの封印中ではあるが、それが解けそうだと闇ババアが言っていたので全て俺のスキルへと移す。

呪いの封印が掛かった物は自分のスキルに入ってもやはり、呪いの封印が掛かったままである。

その際に石像のエクストラスキルに自分の【呪いの輪廻転生】を返そうとすると、石像の【呪いの輪廻転生(親)】というのが俺に入ってくる。要らないスキルの為に何度も2つとも石像に返そうとするがダメなので【呪いの輪廻転生(親)】を俺の中に入れたのだった。

まだまだ余裕がある為、ステータスを取れないだろうかと思うと、闇ババアの知識とスキルの吸収が役に立つ。

俺の左手の5本の指を石像のステータスのHP、MP、力、魔力、知力に置き俺の右手の5本の指を自分のステータスに置くと闇ババアのスキル吸収が発動する。

”ゴオーツ“という音と共に、物凄い速さで石像のステータスが俺の中に入って来る。

石像のステータスが無くなりそうになると、少しづつ遅くなって来たので異世界人の普通の人の一般人のステータスにした。

HP=20 MP=20 力=15 魔力=15 知力=12で止めて同じ様に次に敏捷、防御力、運も俺に移し替え、敏捷=7 防御力=5 運=1

にしてやったので、スッキリし合体を解除する。

勿論ルシガーのLV=9千億はそのままなので、高いLVが災いとなりルシガーはLV上げが今後、出来ないのである。

この石像のルシガーなる者のステータスを吸収している最中、ルシガーの記憶と知識が自分に流れる川のように入って来た。

その際、何故に石化の呪いの封印が付けられたのかを知った。

神様を裏切り、悪魔側に付き悪魔のリーダーとなり、9割方悪魔の勝利が決まった時に、利用していた悪魔側から

「もう、お前は用無しだ。お前の力、ステータス、スキル全てに呪いを掛け封印した。石化のまま風化して死ね!」その言葉を聞きながら記憶がなくなった。

悪魔側は、ルシガーの全ての力を特別な古代魔法で呪いの封印をし、その封印を全ての邪悪なる者たちで分散して掛け持ち、力持つもの達が受け持ち、俺、ルシガーの分身としての魂と呪いの封印を同化までさせたらしい。

ルシガーは無意識の内に自分の封印を解くために俺を異世界へ導くことを合作したらしい。

ここの異世界の神、聖白神ルンバ様はルシガーに利用されたに違いなかった。

石像が身に付けている物は、全てが神話級の魔導具であるために全て俺のアイテムボックスへと入れて行くが、下着のパンツだけは、抵抗があった為に無しにした。

達成感が半端なかったが取り入れたスキルを見ると呪いの封印が解かれて消えているのも幾つかある。

闇ババアが言っていた呪いの封印が解けたものがあるとの事で、どうやら限界突破、抵抗 、ステータス制御 、魔法倉庫、神聖魔法LV=MAX、召喚魔法LV=MAX、等がそうで俺とのダブりもある。

これら全てがチート能力なのは分かる。

そして、元の身体に戻る方法は、闇ババアの知識の中から知ることが出来た。

急いで、ローラ姫を救いたい為、実行へと移す。

簡単な事で先程闇ババアが出した画面に飛び込めば、元の身体に戻れるので、まだ消えてない画面に飛び込むのだった。

そこには、俺を膝に抱えて今にも死にそうなローラ姫が意識を失って居た。

どうにかして治さねばと思った時、頭に響く声がする。

(神聖魔法を使えば問題無く、治せます。)

ビツクリして問い正す。

「お前は誰だ、何者だ、何処に居る」

そう言って周囲を見るが誰も居ない。すると、

(私は貴方のエクストラスキル大賢者、主様のステータスが上がった為に使用解除され、使えるようになりました。)

「ローラ姫が助かるなら何だっていい、助けてやってくれ。」

(承知しました。では主様、神聖魔法を使う許可を下さい。)

「分かった。許可する」

(神聖魔法エクストラキュアヒール。)

そう言うと俺とローラ姫の2人にキラキラ輝く光が降ってきた。

すると俺とローラの怪我が完治し、激毒が綺麗に無くなったのだった。

ローラ姫を呼ぶと、目覚めて自分の身体が完治しているのに、驚いている。

つい、ローラ姫が愛おしくなって抱き締めてしまったら、すると「何するのよ」と頬を平手打ちされてしまった。

愛と思っていたのは、俺の勘違いのようだった。

立ち上がり、扉の方へと行き

「帰ろうか」と言うと、

「何言ってんのよ、外にはあのポイズンドラゴンが居るのよ。出られる訳ないでしよ、王城からの応援が来るまで待ちましょう。」

「大丈夫だよ、今の俺は無敵だからね。ちょっとポイズンドラゴンを倒してくるよ。」

ローラ姫も立って俺の側に来ると??俺の身長が大きくなっていて、顔のニキビや吹き出物が無くなっている。じ〜んと感動が沸き起こってくる。

因みに身長は以前はローラ姫より、頭1つ分俺の方が低かったのに、今は頭1つ分俺のほうが高くなっている。大体20cmちょい伸びたようだ。

「あれ、ヒロト君の身長が伸びた?、顔も少し良くなっているけど、気のせいよね。」と言う。

やっぱり愛と思っていたのは勘違いの様だ。

今迄一緒に居て、気付かれないとはローラ姫に相手にされてない様だ。

扉を少し開けて外を見ると、ポイズンドラゴンが部屋から出て来るのを待っていた。

”ニヤッ“と笑っているように見える。

そこで、ルシガーが持っていた聖剣神悪竜滅殺剣ルシガーをアイテムボックスから出す。

それの使い方もルシガーの記憶から力と能力を知っているので右手に持ち、出ていくと同時に駆け出すが一歩でポイズンドラゴンの首元まで一瞬で着く。

スキルの瞬歩をマスターした様だ。

直ぐ様、横へと刀を一振すると”シュンンー“と風鳴り音がしたと思ったら、“ドオーンン“とポイズンドラゴンの首が下に落ちて簡単に倒してしまった。

ルシガーの剣を見られたくないので、アイテムボックスに戻して、普通の兵士の剣を持った所、”バリバリバリ“という音がして、鉄の部分がまるでビニール袋のように柔らかい。

????何だろうと考えたらルシガーのステータスをそのままにしてある。

やばい、このままでは普通の生活が出来ないと思っていると大賢者の声が頭に響き俺に言う。

(大丈夫です。主様はステータス制御を持ってますのでステータスを作ることが出来ます。)

「なら、俺のステータスを冒険者ランクF相当のステータスフェイクしてあるやつしてくれ」

(分かりました。変更完了です。)

「因みに、スキルなのに会話が出来るのか?」

(?勇者様とは普通に話をしてましたが、念波ですので、外の人には聞こえてません。)

「分かった、これからも宜しくな」

大賢者の声はアナウンサーの様な綺麗な女性の声の為、聞き心地が良い。

ローラ姫が部屋から出てくるのと同時に入口のドアも開き、残されていたローラ姫の護衛の2人も入ってきて

「ローラ姫、大丈夫ですか」

「私は大丈夫よ、それよりヒロト君どうやってポイズンドラゴンを倒したのか詳しく、聞かせてほしいわ」

ポイズンドラゴンと、サイクロプスとロックゴーレムを俺のアイテムボックスに収納すると、転送の魔法陣が下から現れたので

ローラ姫なら信用出来るので全て話しても良いかなと思い

「戻ってから全てを話すよ。」

「分かったわ、約束よ。」

そう約束して、戻る事にしたのだった。

それと同じくして”ゴゴゴゴコオーン、ガコン“という何か重たい物が動く音が響いてきた。

先程出てきた小部屋の中からだった。

何だろうとそこへ行くと部屋には下へと続く階段が合った。多分ダンジョン核がある物と思われる。

ローラ姫に

「ダンジョン核は、どうする?壊したほうがいいか?決めてくれ。」

「そうね、壊して、起きましょう。あなた達ヴァルキリー2人の護衛は、今直ぐに王城へ戻り、逆木達4人を犯罪者として、拘束するように王様に伝えてください。」

「はっ、分かりました。ローラ姫は一緒には来ないのですか」

「ダンジョン核を壊すのを確認してから戻ります」

「いや、ローラ姫も一緒に戻ってくれ、あのワルの4人組は口が達者だから、誤魔化されることも考えられるし、階段の下から強力な力を持つ者の気配がしてるから、ローラ姫は居ない方がやりやすい。」

「分かったわ、ヒロト君の事は信じているから死なないでね。」

そう言われてから小部屋へ戻る。





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