第77話 赤い
コレは完全な作者の私情なので読まなくてもOK!
いつかは消すと思います。(多分。記憶に残っていれば。)
↓
これはイチャついて…るよね?…え、まだまだいけるだろって?
無理無理。これでも進歩したんじゃ!←誰
他者視点書くのもムズいし!
そもそも主人公の口調がぶれぶれだしィ!
とりま結は早よ幸せな老後目指せるよう頑張れよ!
by作者
□ □ □ □ □
手を合わせたままジッとひょっとこ面の生徒が立っていた場所を見つめる。だがそこには元から何も居なかったかのように気配は無かった。なんだか狐に化かされた気分だ。
失ったものなど、あのやけに高級感漂う和紙ぐらいで、そもそもそれは射的で手に入れた景品なので特にダメージは無い。
何を思って和紙を賽銭箱に入れさせたのかが分からない。けれど何かしらの意味はありそうだと確信を持って言える。
恐らくあのひょっとこ面は噂で聞く生徒や店主に紛れ込む妖怪だろう。気配がなんとなく違った。
もしくは幽霊。見たこと無いけど。
「結」
後ろから聞こえた声に合わせていた手のひらを離し振り返る。
「なに」
どこか焦った雰囲気の漂う赤史にそっと尋ねる。
「いや…」
きょろきょろと辺りを見渡した赤史は「何でもない」と続けた。
何でもない雰囲気ではないのは一目瞭然だが…尋ねても答えてくれるか定かじゃないので、オレは短く「そう」と答えた。
「あっ。待って待って何でもないことなかったわ。一緒に回れないか聞きに来たんやった」
「それでわざわざ走ってまで来たの?」
「!! なんで分かった…?」
顔にでも書かれているのかと汗をかき赤い顔で言う赤史に自身の冷えているらしい手を頬に添えてみる。
すると此方が驚く反応が返ってきて、「ピョッ」と奇妙な声を上げる赤史に目を丸くした。そして添えている手から伝わる熱は見る見る上がっていき、こちらが先に音を上げた。
「熱っ」
添えていた手をパッと離し、自身の手に冷えた息吹を吹きかける。
すぐに指先は元の常人には冷たいらしい温度に戻った。
赤い顔で抗議するように此方を無言で睨む赤史に思わずちょっかいを出したくなった。オレにも悪戯心というものがあったらしい。
再び手を伸ばそうとするとパシリと掴まれた。
悪戯は無事失敗した。
「ハァ~ホント弄ばんでくれ…」
掴まれた手は先ほど触った頬よりも熱く感じた。けれど不思議と離そうとは思わない。何故だ。そんな思いで掴まれている手をジッと見ていると、何をどう受け取ったのか、赤史は謝りながら手を放した。それに習ってオレも手を下ろす。赤史が謝った理由はよく分からなかった。怒ったかと思ったら謝るとは…取り敢えず――
「ごめん…苺飴奢るから許して」
「何故に苺飴??」
親衛隊たちだけじゃなく、赤史やクラスメイトにも最近では普通に話せるようになってきた。
…それに結は苺飴を気に入ったようだ。
「…そうと決まったら早速行こう」
「あれ、もう決定事項なん?」
赤史の質問に答えることなく手を引っ張って歩き出した。
問答無用である。
そうして合法的(?)に二人は手を繋いで(?)苺飴を買いに行ったのだった。
◇
~
”パリ‥ガリッ‥シャクシャク‥”
「( ゚Д゚)」
”パリパリ‥シャクシャク‥”
「( ゚Д゚)」
「?」
結は足りなかったかと結を唖然と見る赤史にまだ口を付けていない新しい苺飴を目だけで要るかと訴えた。それに赤史は首を横に何回も振り否定を示した。
結は現在何本目かも分からない串を平らげた。
言わずもがな苺飴…だけでなく、小さくカットされたフルーツ類に飴をコーティングした食べ物を結は食べ終わった串の入ったカップを持ちながらもう片方の手で何度目かも分からない苺飴を口に含んでいた。
赤史はこれまで激辛マーボー豆腐を食べていた結の姿が脳裏に焼き付いていたために、甘いものまで好きだったという事実と、途轍もない量を食べているという事実に脳をバグらせていた。
もはや大食い大会に出ても文句は言われないだろう量を食べているのを赤史は見た。
「(もう何でもアリじゃん……好き…)」
数歩程引く(ドン引きをオブラートに包んだ)気持ちと愛が両立していた。赤史の男心は複雑だった。←(言うほど複雑じゃない)
赤史は結の言ったとおりに苺飴を奢ってもらい――と言っても一銭も払ってはいない――既に食べ終えていた。
そして珍しく見ることが出来た食事姿をこっそり拝んだ。
結との食事は貴重なのである。
なにぶん生徒会役員というこの学園では特別な立場に加えて、本人が一人気質という部分があるので自分から誘わなければまず来ない。もし結から誘ってきた場合はそれこそ天変地異でも起きるのだろうと当然のように思う。
そして赤史は一度誘うのにも途轍もない勇気を必要とする。
まぁ表には絶対に出さないプライドと意地を保ち、軽いノリで誘っているように周囲の目には無事映っているのだが…。
そんなわけで赤史は絶賛幸せを噛みしめていた。
正直腐男子としての赤史と恋する男としての赤史は今回協定を結び現在脳内ではシャッター音が止まらないでいる。多分知られたら引かれるのではと我ながら思う。
ここ数ヶ月じゃ生徒会の仕事にかかりきりで、結の自由時間が削りに削られ、赤史と会うのは授業中や運が良ければ登校時だけで、帰りはもっぱら生徒会室に向かう後ろ姿を見ているばかりだった。
王道とか非王道とか滾ってる場合じゃないやんけとは思った。むしろ憎いとすら思ってきた。まぁそれで【結メリーさん】を発案したのだが。
恋する男の時間を取った腹いせである。
因みに腐男子がBLの供給源に恨みを募らすとはかなり深刻だということは、本人に自覚は無かった。
隣を盗み見る。
からん‥からん‥と下駄を鳴らせて歩く結はそれはもう絵になっている。…手に持ったカップに入っている串の数を見なければ。
いや例え見えていてもそれは幻覚なのではとすら思ってしまうのは末期だろうか。
それに噂には聞いていたが、何気に結の妖怪姿は初めて目にしたように思う。
真っ黒な髪に真っ白な着物。
つい数十分前に神社の前に一人手を合わせ佇んでいたのを見たときは、いろんな意味の動悸で心臓が一瞬止まった気がする。
腐男子としての赤史はその時、五体投置でぶっ倒れて鼻血を出して死んだ。←(比喩である)
恋する赤史はあまりの供給に吐血して死んだ。←(比喩…?)
もちろん前述の事は赤史の心の中での出来事である。
それに体育祭の時の前髪そのままなのも忘れているのだと思うとそこもまた可愛く思ってしまうのが惚れた者の宿命だろうか。
正直何故全く姿の違う結の後ろ姿を見て本人だと分かったのかは分からない。
人混みの中。誰かの手に引かれる後ろ姿を見て結だと確信した訳じゃなかった。
元々結が一人だったら一緒に回らないか誘うつもりではあった。
ただ妙にその後ろ姿が気になり自然と後を追った。
思い違いであったらあったで腐男子の本領発揮をすればいいと思いながら――。
そうして駆け出した先で赤史は手を合わせる結と対面した。
結が誰かに手を引かれていたと思って焦って…焦って?
…まぁ、走って来たわけだが、そこには結一人しか見あたらなかった。
見間違いだったのだろうか。
…と、そんな事があったのが、今は自分の隣でパクパク…いや、そんな可愛いもんじゃない。バクバク食べている姿を見れているのだからそれでいいじゃないか。
周りの嫉妬にまみれた視線も気にならない。
結の親衛隊たちが対象に害が無ければ穏和な人たちでよかった。それにカップルも多く、薄い本も厚くなる…いや、ちゃんと許可取ってるよ? だから蔑んだ目で見んといて!
いつか嫉妬で知り合ったことのない奴にでも刺されそうな気もするけど別にいい。(←よくない)
今の幸せを喜んで甘受しようと思う。
しかし…
「(とりあえず目下の目標は身長を伸ばすことやな…)」
赤史は下駄を履いたことで何時もより身長の高くなった結を少し見上げながら思うのだった。
□□□□□
補足
因みに前話(第76話)で結の名前を呼んでいたのは赤史では無い。(ぶっちゃけ転校生が呼んでいた)この夏祭りで問題を起こすようなら神社の神様が制裁を与える。どんな制裁が下るかは人によって変わるらしい。
黒い和紙に関しては新入生歓迎会の景品で出てきたヤツと同じ物。実際に御利益があり、色によって聞いてくれるレベルも変わる。それでいうと黒はとても高いレベル。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます