第67話 体育祭 22 障害物競争
跳び箱を乗り越えた先には緑色のネットが敷かれていた。
恐らく下を潜っていくのだろう。
これは
次に待ち受けていたのは平均台。
これも渡ればいいだけなのですぐに終わった。
問題は最後。
共に並んだ一瀬という生徒も此処で行き詰まっていた。
最後の難関は足ツボ&パン食い競争。
足ツボマットの敷かれた上で吊されたパンを口で取るという課題である。
取り敢えず進むしかないため両足を乗せた。
「ッ~~?!」
痛い。
待ってコレは痛い。心なしか足裏だけじゃなく心臓も痛くなってきた気がする。…いやこれは息切れで心臓バクバクしているだけか。
どうやらオレは健康的では無かったようで、物凄く痛かった。
オマケに枷が無駄に重いせいで負荷が余計にかかっている。
隣に並ぶ生徒もプルプルしながら進んでいる。
警官姿をしているだけに頼りない警官だと勝手に思ってしまう。
しかしオレも負けるわけにはいかないので気合いを入れて進む。
「…ぅ……はぁ…」
やっとの思いでパンの下に辿り着く。
観客の生徒達も息をのんで見守ってくれている。←多分違う目で観ている生徒多数
一回だ。
一回でキメる。
(というかパンまでの道のりが無駄に長い。数十メートルはあった)
隣の生徒を見ると、ちょうど彼もこちらを伺っていたようで、互いに同時に頷き、どちらからともなくジャンプした。
結果は無事2人揃って採ることが出来た。
そして互いに感動に打ちひしがれ顔を合わすことなく進んだ。ただひたすらにゴールに向かって行った。
着地した時の痛みは今は忘れよう。でなければオレは此処から動けなくなる。派手に倒れる。
だから進むのだ。
その時の進む二人の横顔はまるで映画で出てくる覚悟を決めた戦士のようであったと、後に話題になり、写真が出回ったという。
そしてそんな未来を知る由もない二人はひたすらに進み、やっとの思いでゴールした。
オレからすればゾンビのように歪な動きで歩いていた気がするが、ゴールできたので良しとする。
ただ思っていたよりもハードな競技だったな…。
パタリと力尽きオレは…否、オレ達は倒れ拳をコツンと合わせた。
「いい戦いだった…な…」
「そぅ…だね…」
名も知らぬ彼と新たに一つ友情が芽生えた気がする。
戦いを通すと絆が出来るのかもしれない。
というか本当に誰だろうこの人。
苗字しか知らないな。
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