第57話 体育祭 13
休憩時間も終わりを告げ、次の種目に移る。
『お次は”借り物競争”です! ふぅ!やった!萌が此処に!! …おほん、失礼しました。出場する選手はお並び下さい。順番は自由ですので早い者勝ちですよ』
本年ダダ漏れだなぁ。
にしても借り物競争…か。
今年はナニが出るんだろうな…もうカオスの予感しかしないよ。
昨年に至っては借り”物”じゃなくて人間率がやけに高かった。
中には恋人や家族、好きな人、鬘持ってる人などなどオレには到底達成出来そうにない種目である。
鬘ならちょうど今日転校生の髪が鬘だったという事実が名実共に明かされて周知の事実だから分かりやすいのだが。
そうして借り物競争が始まった。
『さぁさぁ始まりました第5種目め! どんなラブロマンスを魅せてくれるのでしょうか!?』
なんかテンション高いな…?
何か思い入れでもあるのだろうか。
因みに此方の組からは身近な存在だと葬が出場する事になっている。
先ほどまで死んだ魚の目で
覚悟を決めた漢の横顔であった。そして何故かこれから行くのだろうという時にオレの頭を撫でて行った。
(謎博士:結の頭を撫でると精神安定効果があるとかないとか…)
そうして去っていった葬を見送り、選手たちが並ぶのを見守った。中には葬以外にも風紀委員長の
可哀相に…この競技に参加する事になるとはな。南無。
『”借り物競争”一組目、スタート!』
パァンッ!‥空砲の音が響くとともに生徒たちが駆け出した。
葬達は後ろの方に並んでいるようで、出番は最後の方みたいだ。
続々と駆け出して行き三分ほど経過すると次の組みもスタートする。全員ゴールするまで一々待っていたら時間が足りないのでどんどんスタートをきっていく。
中にはゴールさせるつもりが無いのではと言いたくなるものもある。例えば…
「え?【5日間放置した脱ぎ捨ての靴下一足】??なんでこんなピンポイントなの?」
「ぐぁぁぁああああ!!」
「田中ぁ!?」
「なになに…【失恋した相手】…? え、ツラ…」バタンッ
「【鍋にこびり付いた焦げカス】…? この学園にそんなものあるのか…?」
などなど人の精神に多大な負荷をかけるお題もあり、大変危険な種目だ。日常系のお題が複数あったのが気になるが、まぁいい。倒れた生徒は風紀ではなく保険委員が責任を持って担架で運び、保健室直行。
それはそれとして先ほども田中という苗字を聞いた気がするのだが気のせいか? そして何を見たのだ田中くん。
田中は意識はあるがダメージを受けているようだった。
『おっとー! 第一走者目から難題なお題を引いたようですね! さて此処でプチ情報です! お互いの合意があればお題を交換しても構いません。ですが! 脅しや恐喝などがあれば直ちに風紀が取り締まり全校生徒の前で吊し上げますのでくれぐれも問題は起こさないでくださいまし! あ、なんか噛んじゃった』
お嬢様が出る本でも読んでいたのだろうか?
最後ので笑いが起きていた。
読まれた内容は笑えないものだったのだがな…。
そうしてあっという間に最後尾がスタートし、駆けていき、お題箱に手を入れた。
あれ…赤史も居るな…?
最後尾にはこの学園でも整った顔と人望のある生徒たちが並んでおり、大変生徒たちは盛り上がっている。
風紀委員長に生徒会長。葬に赤史、副会長、後は…っ!?。
大国先輩も居た。
え、誰だよアレセッティングしたの…え?誰でもない偶然?
偶然って怖いね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます