第50話 体育祭 6
チーム分けが完了した。
チーム分けの基準は以下の基準らしい。
一つ、まず本人の選んだチーム、親衛隊チームか台風の目チームか罠に嵌められたチーム(笑)に分ける。
これは主に本人の意志を尊重した結果のようだ。
だが今回の場合親衛隊の数が多すぎるため、罠に嵌められたチームの殆どが台風の目のチームに入ることになった。
因みに赤史は敵になってしまったようだ。本人はそんなことよりも罠に嵌められた事が屈辱過ぎてそれどころではない様子だったが。まぁいい。
(正直地べたに這いつくばってギリギリ口から歯軋りが鳴っていたアイツに話しかけたくないなと思ったのもある)
二つ、出場種目が均等に割り振られるように元から決まっていた種目に出場する。
これは偶然なのか親衛隊があらかじめそういう風に仕向けたのかは分からないが、罠に嵌められたチームを上手く分けてちょうど決まっていた種目に出場することができるらしい。
これには体育祭練習の時間を無駄にしないという思惑もあるのだと思う。
そんなこんなでチーム分けは終わり、涙する者、笑うもの、不安そうな顔をする者。
到底体育祭が始まる前とは思えない光景が広がっていた。
普通なら終わった後にする反応である。
『えーチーム分けが済んだところでハチマキ渡しますので並んでください。座席順はそのままで結構ですのでハチマキは見えるところに着けてくださーい』
なんか既に司会する事に飽きていないか…?
オレの杞憂なのだろうか。
因みに結は紅組であった。
『ぇ…?閣下も出場…する…? え?文句? ないですないです。……。皆朗報だ! 閣下が出場するらしいデスヨ! ヨカッタネ!?』
焦りすぎだろ。
ピリピリとしだしていた校庭も少し緩んだ空気になった。
因みに閣下は白組らしい。
ヤバい……。
あの人の敵になると非常にヤバい…。
どうヤバいのかというとあの人の敵になって録な目に遭っている人を見たことがないぐらいだ……。今回の場合敵というのが合っているのか正直判断がつかないが、ヤバいかもしれないというのは分かる。
い、いやでも種目が被らなければ?大丈夫な気がする。
あの人は運動神経抜群なので、恐らく長距離走だろう。
その他は知らんけど…。
…え? どんな目に遭うのかって?
そうだな…。
去年のことだ。
オレはその時から書記だったのだが、それは大国先輩が勝手にそうしたからだ。何を思ってそうしたのかは知らない。
まぁその頃…いや今もか。
その頃から口が悪めの会長であった為か、坊ちゃん生徒の多くは心の底に反感を抱いていた。
そこからはとんとん拍子で坊ちゃん生徒たちは大国先輩に喧嘩を売り、返り討ちにあい、そして翌日全ての髪の毛が刈り尽くされた坊ちゃんたちの頭をオレは見てしまった。
えげつない。
髪の毛ふっさふっさで如何にも手入れを欠かさずにしていそうな感じだったのに…。
だが風紀から特にお咎めは無かったようであった。
もうオレは何も見なかった事にした。
風紀が犯人が明らかにあの人だと分かって何もしていないのならそれなりに理由は有るのだろう。
触らぬ神に祟り無し。
オレは現実から目を背けたのだった。
…というのが一つ目。
他にも将棋やチェスなどの勝負事で負ければ罰ゲームで際どい格好や女装などの服を着せられて一生の恥を味わうなど…。
どこから持ってきたと聞きたくなる服のパレードが地獄の前で待っている。ボードゲームに負けただけで…。
何が彼をそうさせるのか…オレは当然疑問を持った。だが、聞けない。聞けばボードゲームに参加させられることは目に見えているからだ。
分かってて突っ込んで行くなど愚かな真似はしないのだ。
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