第41話 締め技
新入生歓迎会が終わったら、次は体育祭が待っている。
そのため学園内は新入生歓迎会が終わって一旦落ち着いたかと思えば再び賑わいが戻ってきているのである。
それはオレのクラスも同じことだった。
「ふぅー!上がってキターー!!」
「お薬やってますか?」
「めっちゃ上品な言い方ww」
「ねぇ、これいいと思わない?」
「どれどれ…?」
「このシュシュ可愛くない?」
「かわいい!」
「でしょでしょ?」
「タイトン・ホールド!!!」
「ぐあぁぁ……!!」
「お、おいコイツ白目むいてるけど…」
「う…ぉぉ」
「こ、コイツ
「絞めるもなにも既に首を絞めてるけどな」
開いたままのドアをくぐり抜け自身の席に向かう。
ざわざわと賑わう教室で薬を疑われているのは赤史ではないクラスメイト。まぁ赤史と同じ趣味を持った同士?というやつの一人だ。そして丁寧な言葉で話す相手が副会長である。幼なじみであるらしい。
副会長…仕事はしているようだが最近生徒会で見ていないのが心配だ。責任感があるようなので、書類などは完璧に仕上げてきているので不満は何もないが、これまで生徒会に一番真面目に顔を出していた人でもあるので逆に心配になった。
いや、今までが来すぎなぐらいだったのだが…。
そして2グループめはというと、とても男子校とは思えない女子力カンストしていそうな会話がなされている。コレについてはスルーだ。オレには到底理解できそうになかった。無念。
次にプロレス技を叫んでいた人物はというと、何回か物語にも登場しているオレの親衛隊所属の
何故彼がプロレス技を行使しているのかはわからないが、ここ最近…というか新入生歓迎会が終わってからずっと同じ相手――
オレが聞いても二人して”何でもない”と答えるのだ。ならそうなのだろう。…だがそれはそれとして何でもないのに絞め技をクラスメイトに使うのはヤバいな、と冷静な頭の部分のオレは思った。
だがされている本人が何でもないと答えるならオレがとやかく言うまい。
最早日常と化しているこの状況にツッコミを入れる者は居なかった。精々茶化す輩が居るぐらいである。
カバンから教科書類を出して次の授業の準備をしておく。机の中には何も入れていないため空っぽだ。ロッカーにも物は入っておらず、どことなく物悲しい。
まぁ物が無くなるから仕方の無いことなのだが…。こぞってなんのとは言わないが、ランキング上位者のロッカーは物が置かれていない。
やっぱ異常性があるな…この学校。普通の学校でこんなランキングがあるとは到底あるとは思えないし…、妖怪学校だから…なのか?
遂に気絶してしまった赤史を横目に見ながら思う。
風紀呼んだ方が良くないか…? いやここは保険医か…。
というかそもそもこの騒がしさは何時もの事であったな…そうオレは思い直したのだった。
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