第13話 レア
豪華な階段をゆったりと登り、二階席へと着くと生徒会メンバーを探す。
キョロキョロと見渡すと案外早く見つかった。
そこにはオレ以外の生徒会メンバーが勢揃いしていた。これまた他人ごとのように圧巻だなぁと心の中でそっと呟く。
「遅れてごめん」
そっと近づき小さな声量でも届く距離にまで来て謝る。
「いえ此方も急に呼び出したのでお気になさらずとも平気ですよ」
「そうだよ~急に呼び出した二人が悪いんだよ~」
「なんだと?」
と副会長が軽くフォローすると、それを肯定するかのように会計が会長と副会長が悪いとクスクス笑う。そしてその言葉に楯突くように会長が低い声を出した。
微妙に仲悪い所有るよなこいつら、と見ていて思う。
二階席に生徒会が全員上がったところを見ていた生徒達は珍しいとザワザワしているのが少し聞こえた。二階席と一階は少なからず離れている為、きっと今下に降りれば今より騒々しくなることだろう。
因みにオレが彼らの名前を呼ばないのは単純にめんd、この方が分かり易いからだ。
一年もすれば流石に名前は流石に覚えた。
生徒会長の
まあ濃いと言っても天狗と人間の血だけ、と言うわけでもない。会長がどうなのかは知らないが、住まう環境が近い妖怪だったりするとその妖怪の血が引き継がれている事もある。
次に副会長。名前は
会計は
弄りは相手を不用意に傷つける可能性が大だし。何も知らない相手にそんな事を言うのもアレだと思ったから。
最後に二人。
先ほどの会話には参加していなかったがにこにこと見守っていた二人は双子の狐の末裔だ。
狐の妖怪にも色々あるがどの狐かはオレも知らない。
兄が
因みに二人は面白ければいいという愉快犯のようなものなので触らぬ神に祟りなし。仕事間で関わるのがほとんどであまり話したことは無いが、異様に風紀に所属する狸の類の妖怪の末裔を敵対視していることは知っている。
「で?
「「そうだそうだ!」」
「はて・・・言ってませんでしたか?」
「お前・・・遂にボケたのか?」
何も聞かされていない組が大手を上げて聞くと先輩組(オレ除く)は小ボケを披露した。オレはなんと言っていいか分からず黙ったままなり行きを見守った。まぁこの人数の中で喋るのが嫌だと少なからず思っていたのもあるが。
因みに副会長はボケたかと言った会長をどこから出したのかハリセンらしきものでスパーン!と叩いていた。・・・どこか既視感を感じた。
「転校生が来たことは知っていますね?」
「知ってるもなにも昨日会ったよ~」
「そーだよ!」
「昨日の朝、副会長と一緒に教室来てたでしょ?」
何事も無かったかのように副会長が確認すると会計が昨日を思い出すかのように小首を傾げて答える。因みに会計の次に口を開いたのが双子の弟の
変化時(人間の姿)のとき、兄は右耳に赤い耳飾りをしているし、弟の左耳には兄と同じような赤い耳飾りが左耳に着けられている。
「どうやらコイツが転校生の事を大層気に入ったみたいでな、牽制みたいなもんだろ」
会長は叩かれた部分の頭を押さえたまま言った。見るものが見れば様になる体制だが残念ながら叩かれた下りを見ているためそんな思いはオレの頭に浮かばなかった。
「ええー!副会長が気に入るって珍しい~」
「ね!というか初めて見たよ!」
「? 生徒会は、わりかし気に入っていますが」
「・・・え?待って、副会長がデレた?」
「お前・・・嘘だろ・・・?」
「・・・!!」
「あなた達・・・」
あまりの衝撃にオレも目を見開き副会長を見やった。会計は困惑のあまり何時ものんびりとしたような口調が抜けている。一般生徒達が見ればキャラ崩壊も良いところ、会長も間抜けな顔を晒している。
そんな面々に初めはイラッとしたようだった副会長も会長達の間抜けな顔を見て鼻で笑って毒気を抜かれたような顔をした。案外表情豊かな人だと思う。取り敢えず会長よくやった。
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