第9話 目覚め
~?視点~
白衣を纏った保険医、
現在保健室には3人の人物が居た。
保険医である和主。
怪我を負った生徒である
そしてこの学園の2番目に高い地位にある生徒会役員の
因みに一番高い地位にあるのは理事長だ。それと風紀と生徒会は同等である。
和主はチラリと二人の気配がするカーテンを見た。
恐らく学園の生徒たちが生徒会の一人である氷鎧が此処に居ることが知られれば、ありもしない噂が飛び交う事だろう。後は直接ここに突撃してくる生徒も居るか、、、と若干自分にも被害が及びそうな事実に身震いする。
カーテンの奥からパソコンをたたく音が暫く聞こえていたが気づけばその音は止んでいた事に気づく。ドアの開く音はしなかったと思うが、、、と首を傾げて試しにカーテンを捲り中を覗く。
中を覗くとパチリ、、、目が合う。
目が合った相手は眠っていた筈の唐斗。
何か声を出そうと和主が口を動かそうとすると、横になったままの唐斗が慌てて話さないようにするジェスチャーをするため訝しげに見やると、次に氷鎧がいる方に唐斗が指を指す。
そちらを見ると椅子に座った状態で膝にパソコンを起き、若干俯いている氷鎧が居る。
まさかと思い下から覗くと切れ長な目は閉じており、規則正しい寝息をたてている。
氷鎧は眠っていた、座ったまま。しかもかなり姿勢良く。
これは売れる、、、と邪な考えが二人の頭に一瞬流れるが和主より先に目撃し、思った唐斗は頭の中でその考えを叩き割った。それはもう粉々に。
和主はというと真面目に写真を撮るか悩んでいた。しかし仮にも教職員のため、そんなことをすればお縄につくこと間違いなしのその考えを取り下げた。危ない。
二人はコソコソと話すように和主は赤史に近づく。
「怪我は?」
「痛いですけど、動いた方がいい気がしますね。体バキバキです」
「そうか、、、内臓だとか体の中身は平気だったようだし出歩いてもらっても構わない。ま、傷薬はここに取りに来い。どっか体の中に異常があれば相談しろ」
「はーい。やっぱ妖怪の末裔やから治り早いんかなぁ?」
「そうかもな~」
と会話をしながらも二人の意識は若干氷鎧の方へ向いていた。
「俺、どんぐらい寝てた?」
「んー?そうだな、、、大体、というかちょうど12時間ぐらいじゃないか?」
「え!今何時や!」
「敬語抜けてんぞー。朝の7時、だな」
「そんな朝早くから
「6時ぐらいには来てたけどな~」
「俺、、、もしかしなくても愛されてる?」
「んーどうかなー?」
「そこは肯定するところやろ?」
冗談半分本気半分で唐斗が同意を求めると和主は話をはぐらかす。そんな会話をしている内に唐斗は身をゆっくりとだが起こした。その拍子にガラリと氷が落ちる音が唐斗の耳元から聞こえた。
「氷、、、結か」
「俺だとは思わないのか、、、?」
「え?」
「なにえ?って」
「そんな気づかい、、、できるんか?」
「できるわ!」
思わず大声でツッコんでしまいハッとする。氷鎧の方へ目を向けると彼は薄らと目を開いていた。
その目は少しぼんやりしており普段は見れない色気があった。
息を呑む二人。先にハッと意識が戻った唐斗はペシーン!と軽くちょうど手の届く範囲に距離に居た和主の頬を叩いた。
「いたっ」
「見んなや!」
「理不尽!?」
「痛み分けや」
「俺お前に何もしてませんけど?逆に世話になった立場だろ?」
「痛み分けや」
「聞いちゃいねぇ、生徒に叩かれるなんてハジメテ、、、」
余りの唐突さに避けられなかった一撃は綺麗に決まった。しかし和主は突然生徒にはたかれたために混乱していた。いや実際は唐斗も混乱しているのかもしれない。
そこで何時もと変わらない調子で聞く者が居た。
「、、、二人とも、なにしてるの、、、?」
ただ純粋に何をしているのか黙っていても分からなかった氷鎧は聞いた。
場は混乱に包まれたのだった。
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