第4話 傘と雨
授業は8時から始まり、ホームルームは8時前の30分間で行う。
教室に着くと、もう殆どの生徒は席に着いていたため、早歩きで自分の席へ向かう中、挨拶されたので仕返すとまたもキャアと高めの声を出された。おかしいな、此処は男子校のはず、、、。
席へ着くとオレに声を掛けてきた生徒が居た。
「よ!おはようさん」
「おはよう」
こいつはオレの席の前に位置しているクラスメイトだ。よく話す方の為、友達かもしれないな、と思っている。相手がどう思っているかは知らないが。
こいつの名前は
正直それを知ったとき人間と妖怪(若干無機物)でどうやって子を作ったのかと一瞬思ったが、妖怪の末裔は大体そんな感じなので。きっと渡り鳥が運んできたんだろうと思い込んで深く考えないようにしている。
「今日も生徒会か?」
「うん。転校生が来る、らしい、よ」
「ええ!なななんだって!?」
「っ?」
いきなり大きい声を出されたため少しびっくりする。転校生が来ることがそんなに気になるのだろうか?
因みにオレの事をワンコと称したのは彼である。
「あ、ごめん」
オレがびっくりしていることに気づいたのか直ぐに謝られた。特に気にしていない事を伝える。
しかし彼がいきなり大きい声を出したため教室中の注目を集めている気配がする。それは許さん。視線は余り好きでは無いのだ。
「詳しく聴いてもええ?」
「う、うん」
と言っても余り知らないが。というのを付け足すと。
「そんなん少し聞けるだけで得なんやから気にせんでも大丈夫や」
分かるような分からないような事を言われた。
「転校生迎え行ったんは誰なん?」
「副会長」
「キターーー!!!」
「・・・」
「・・・そんな冷めた目で見んといて」
どんな目だろうか。
オレには何故そんなにも喜んでいるのかが余り理解出来ないが、まぁ楽しそうだし良いか、と軽く流し、次の質問を要求する。
「何時来るんや?」
「今日」
「おー!そーかそーか今日、、、今日、、、きょう?」
「うん、今日」
「「・・・」」
一拍。
「ええーーーー!!!」
「今月一、うるさい」
「それはすまん!けど抑えられんわ!」
「?」
「聞かれてないが答えよう!
『転校生』!それは王道学園において必須な人物!
それ無くして卵の無い卵かけご飯と同じ!
微妙な時期に転校してきた転校生は、学園の主要人物と深く関わり、愛を育んでいく!
そしてそこで起こる問題の数々!
数々の問題に振り回される周り。そしてそこでも愛が育まれ、そしてセ・・・あたっ」
「授業前になんて話を大声で話してるんだ」
パコっと生徒名簿らしき物で
正直卵かけご飯の所で思考が止まり、卵かけご飯を食べたくなっていたため収拾を付けてくれて助かった。最後の方の話はちゃんと聞いていなかった事は秘密だ。
「立っている奴は座れー、出席を取る」
そう言うと立っていた生徒たちはそそくさとガタガタ席につき終えた。皆姿勢よく話を聞いており、一見真面目な生徒に見える、が。
高等部一年生の頃はそうでは無かった。いや今もこっそり頬を染めている生徒も居るが。
高等部一年の頃。
その頃、オレはこの学園に入学そたばかりで右も左も分からない状態だった。
自分のクラスの教室となる場所へつき、割り振られた席につき、続々と新入生が入ってくる所をなんとなしにジッと見ていた。
そして担任が来ると、、、
「きゃーーー!!抱いてーーー!!」
「今日もイケメン!!」
「ハグしてーーー!!」
「よ!日本一!」
「今日もクールでカッコイい♡」
などと若干意味不明な事を叫び始めた生徒達にその頃のオレは恐怖した。オレは妖怪でも歓迎される学校にきたんだよな、、、?
その日は、一日中不安になり影で震えていた。
あの頃は訳が分からなすぎてマジで怖かった。そしてそんな声になれた頃にはもう一種の鳴き声として認識していた。慣れたのは書記になったのもあるかもしれないが。
そして今思うと最後から二番目の声は赤史の声だったな、と思い至った。
しかし一年も経つと流石に落ち着いたのか声を上げることは無くなった。
ほぼ、だが。まぁあれだけ毎日静かにしろと言われれば大人しくもなるか。
そういえば先生大変そうだったな。苦労性かな?
今度ミニチュア雪だるまあげるか。溶けるけど。
そして一時間目の授業が始まる。
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