1話完結「理想の君は・・」 光莉編
僕は高校2年の夏に引きこもりになった、人と関わる事が辛くなったのだ。
「圭~! 学校のお友達来てるわよ~!」
一階から叫ぶお母さんの声が聞こえる。僕に友達はいない、きっと同じクラスの誰かが先生に頼まれて来たんだろう。
コンコン...
僕の部屋を誰かがノックする
「圭君ー? 入っていい?」
僕は少し驚いた、まさか女の子が来るなんて。そしてこの声は確かクラス一番の美少女、光莉だ。
「光莉さん...だっけ? 悪いけど帰ってよ」
僕はドア越しに応答する
「ほっとけないよ! 一緒に学校行こうよ!」
僕は単純に嬉しかった、女の子に学校に一緒に行こうと言われた事が。しかし学校に行けば辛い事がいっぱい待っている、僕は光莉の誘いを拒否した。
「圭君の気持ち、分かるよ」
「...え?」
「実は私も中学生の時不登校だったんだ」
「そうだったんだ...」
光莉はただ先生に頼まれて僕の所に来たんじゃ無かった、不登校の辛さを知っているからこそ来てくれたんだ。
「確かに人生辛いときもあるよ? 人生って抽選の連続じゃん」
ん? 抽選? 人生は選択の連続という例えは良く聞くが...まぁ意味は合っているか
「抽選に外れる事もある、でも319日毎日頑張ってればいつかは当たるんだよ」
319...? 365日じゃ無くて? もしかしてこの人、パチンカスじゃないか? 319って確かミドルタイプの大当たり確率だよな、そう思えば抽選と言う言葉も納得がいく
「そりゃ生まれつき甘デジの人生の人もいるしさ、羨ましいとも思うよ」
ついに甘デジと言う言葉を使った、クラスのマドンナ光莉はパチンカスだったのか
「圭君はミドルタイプな人生で、何をやっても全然当たりの来ない人生だったかも、でもミドルタイプは甘デジの人よりも当たった時が凄くデカいじゃない!」
パチンカスのくせにちょっと良い事を言っている
「まだ圭君は当ててないだけ、それなのに今諦めてどうするの? 一度勇気を出してハンドルを回してみて! 回さない事には絶対に当たらないよ!」
ドアノブの事をハンドルと言っている...でも何故か心に響く。そうだ、このドアノブを回さない限り僕は一生引きこもりだ
「ハンドルを右に回して!」
涙が出る程のパチンカスだ、部屋から出る事を右打ちだと思っている...あ、そういう事か、と圭は気づいた
「ドアノブ...ハンドルを右に回すと言う事は、既に当たっていたのか」
パチンコで右打ちをするのは当たった時だけ、つまり圭がこの部屋を出ると言う事は大当たりしたと言う事なのだ。しかし...それが分かって尚、圭は外の世界が怖い
「分からないじゃないか...」
「何が?」
「大当たりしたからって、LUSHに突入するか分からないじゃないか!」
圭は泣きながら伝えた、その思いに光莉は笑顔で答える。
「確かにLUSHに突入しないでまた左打ちに戻るかも知れない、それが怖いのは凄く分かるよ。だからさ...私が圭君のLUSHになるってのは、どうかな?」
その瞬間、圭の部屋のドアノブが振動した。
「僕の...LUSH?」(虹色の文字)
「うん、私で良かったら」(虹色の文字)
圭はハンドルを右に回し扉を開けた、その瞬間エアーが圭の髪をなびかせる
「光莉...ちゃん?」
「うん! 圭君!」
こうして2人のLUSHは始まった。
継続率は100%だ。
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