短編集「理想の君は・・」

くにちゃん

1話完結「理想の君は・・」有希編

高校2年生の夏...制服姿の2人は公園のベンチに座ったいた。



「あの...ずっと好きでした!  付き合って下さい!!」


「え...僕? 有希ちゃんが僕に...本当に?!」


「うん! 大好きだよ!!」


「えーー!! そんな事って...」



僕はクラスの後ろにいる陰キャ中の陰キャ。

クラスのマドンナ有希ちゃんとは喋った事も無くいつも遠くから眺めてるだけだった...


そんな有希ちゃんが僕に告白してくるなんて!ドラマやアニメ見たいな奇跡が起きた! 本当に夢みたいだ...


僕は自分のほっぺを思いっきりつねる



「痛!!......................くない」


何度も何度もつねる



「チクショー! 夢かー!!!」



夢だった...一瞬本当に浮かれた。夢みたいだと思って本当に夢だったのは初めてだ



「...全く痛みを感じない!!よく考えたら有希ちゃんが俺の事好きなわけ無いかぁー.....」


「そんな事無いよ!ずっと好きだったよ!」


「でも一回も喋った事無いじゃん」


「それは恥ずかしくて話かけられなかったの」


「でも僕めちゃくちゃ陰キャで根暗だよ」


「大人しくて落ち着く!」



「都合良い事しか言わねぇな!!」


僕の夢の中の有希ちゃんは、あくまで僕の頭の中で作り出した妄想の有希ちゃんだから僕の言ってほしい事しか言わないのだ。



「ねぇ、デート行こうよ!!」


「え、この後??」


「うん!!」


そうだ。夢の中で夢と気づけた事はこの上なくラッキーな事だ!絶対に楽しまなければならない


「よし、有希ちゃんキスしよう」


「えへへ...いいよ」


「胸も触っていい?」


「もー! 特別ね」



夢を見てるみたいだ...まぁ夢なんだが。こんなに幸せな夢は無い


僕は目を閉じ唇を有希ちゃんに近付け、手を胸の位置まで上げる



ポツ.......ポツポツ


「雨だ....」



ドガァァァーーーーン!!!




「アギャァァァァァ!!!」


いきなり雷が頭に落ちてくる。



パンッ!! パンッ!!


その後有希ちゃんがいきなり拳銃を出して撃ってくる


「グガッ......ちくしょう、こんな時に....多分現実の俺が寝返りを打って変な体勢で寝てるんだ。だから急に不幸が沢山」


有希ちゃんが拳銃をしまい包丁を手に持つ


「ちょ...有希ちゃんやめてくれ!」


有希ちゃんはこっちに向かって歩いてくる。僕は必死に逃げる


「くそっっ...足が重すぎて全く歩けない!!100キロの重りを付けてるみたいだ!」



夢特有の走るのが遅くなるアレが起きている。アレは何故起きるのだろう。一歩進むのにとんでもない時間と労力を使う。



有希ちゃんに刺される直前、雨が止んで包丁もしまわれた。


「ほ...良かった。また良い体勢に戻った」



ただ、僕はこれを気に色々思い出す


「あ、そういえば何で制服来てるんだ? 僕今53歳だよな...しかも有希ちゃんって高校の頃僕の事いじめてた奴だし全然可愛く無かったよな...」


段々夢の中で目が覚めて現実が見えてくる...


少し冷静になって考えた所「女子高生と付き合えるなんて2度と無い!」と言う結論に至りこの時間を満喫する事にした。だが、1つ困った事が...


悩んでいると有希ちゃんの方から話しかけてくる


「ねぇ、手繋いでデート行こうよ~!」


「無理だよ...」


「何で?」


「トイレ行きたいから」


「行ってくれば良いじゃん!」


「駄目なんだよ!」


「だから何で??」


「夢の中でトイレ行きたい時って、大体現実でもトイレ行きたい時なんだよ!! て事はそろそろ現実の俺は目が覚めるんだよ!」


「そんな....もっと一緒にいたかった」


「やめろよ! 夢でそんな良い事あったら現実の俺が現実を見て絶望するだろ!!」


「でも、また会いたい...目が覚めたらずっと私の事考えて! そしてトイレ行ったらまたすぐに寝て! そうすればまた会えるかも!!」



「分かった、じゃあ戻ってきたらキスしてよ」


「うん! 待ってるね」


「よし、じゃあトイレ......っておい!」


体がどんどん浮いてくる


「うわ! この目の覚め方か! 浮くのめっちゃ怖いんだよなー」


体がマンションの5階くらいまで浮いた時急に落下する


「ウワァァァーーーーー!!!」


地面に着く瞬間に目が覚める。僕は夢での事を忘れずにトイレに行きまた布団で寝る。


「ん...んぅーー、ここは...この景色は!さっきの夢の続きだ!この世界にまた戻ってきたんだ!」


また幸せな夢の続きを味わえる!振り返ると有希ちゃんがいた



「あ、有希ちゃーーん!!」


有希ちゃんは手に拳銃を持っていて、包丁を僕に渡してきた

「この町でゾンビになってないのは私達だけみたいね」



「ちょっと夢変わってるー!!!」



こうしてゾンビに追われる悪夢を2時間程見るのだった...





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