1話完結「理想の君は・・」梨花編
僕はクラスの隅にいるインドアなオタク。そんな僕が今遊園地に来ている、一緒にいるのはオタク友達でもネットで知り合った人でも無く...
「圭君早く走って! 並ばれちゃうよ!」
「ごめん!歩きなれてないから」
同じクラスのマドンナ、梨花に遊園地に誘われたのだ。梨花は明るく皆に好かれていて、僕なんかが話しかけていい相手じゃないと思ってた。だが偶然好きなアニメが同じで仲良くなり今回遊園地に行く事になったのだ。
「もう~、頑張ってよ! 2時間待ちとかになっちゃうから」
そういい梨花は圭の腕を掴み引っ張りながら走る。圭の胸の鼓動は止まる事を知らず、耳の穴から心臓が飛び出そうになる。学校では見れない梨花の私服に皆が振り向くような可愛い笑顔、圭は顔に出ないよう時々空に視線を反らした
「キャーーーー! 落ちるーーー!!」
2人は日が落ちるまでいっぱい笑った。そして圭は心に決めた...今日梨花に告白する事を。
「そろそろ閉園しちゃうね、圭君、最後に何乗る?」
「あ...うっ..じゃあ、観覧車なんてどう...?」
「ちょ..なんでそんなにおどおどしてるの?」
「あ...いや、別に」
「なにそれ笑 いいよ、早く並ぼう! 走って行くよ!」
「あ、待って~!」
キラキラ輝くパレードを背景に走る2人のシルエットはまるでパレードの主演のようだった。
「結構空いてるね!」
「皆パレード見てるからかな」
「じゃあ乗っちゃおうか!」
2人を乗せた観覧車は頂上付近ヘ向かう
「うわー! 綺麗ね」
「そうだね...あ、あの」
「ん?何?」
圭は告白をした事が無かった、だからなんと言えば分からず言葉がつっかえていたその時、梨花が笑いながら圭にこう答えた
「フフッ..告白してくれるの?」
「え...あ...うん、その..」
「やっぱりそうだったんだ。私は付き合ってあげてもいいよ?」
「.........や...別に...」
「別に? 付き合ってあげるって言ってるのに?」
「...あ...うん...大丈夫」
圭は梨花に告白しようとしている事に気付かれ緊張して「別に」と言った訳ではない。
単純に「付き合ってあげてもいいよ」という言い方に腹が立って一瞬で蛙化したのだ。
「付き合うのは...別にいいかなって」
「え?私と付き合えるチャンスなんてもうないよ?」
「ぐっ...まぁ...確かに」
梨花は美人だ、確かに今付き合わなかったらこれ以上の人に出会える事は無いかもしれない。だから圭は「ぐっ...まぁ...確かに」と言った訳では無い。本当は「その感じが腹立つんだよ!」と言ってやりたいが言ってしまうと観覧車の中で凄く気まずくなってしまうので言えなかったのだ。
「私すぐ他の人に取られちゃうかもよ?」
どんだけ自分に自信あんだよ! と喉まで出かかった言葉を抑える。
「まぁ付き合わなくてもいいけどさ~? いいんだ~?」
自信があると言うかツンデレなのか? と圭は考えたが、とはいえツンデレはツンデレでウザい。好きな相手に冷たくしちゃうって小学生かよと思ってしまう
「圭君何か言いたそうだけど何かある?」
「ぐっ...」
頑張ってこらえようとした圭だが我慢の限界がきてしまった
「僕はツンデレも自分に自信があるような人も好きじゃない! だから梨花の事を好きになれない!」
「わ...私だって別に圭君の事好きじゃないし!! ...まぁ、ちょっと有りかなって言うか...好きになってったって言うか...」
「今ツンデレ嫌いって言ったばっかじゃねぇか! それがツンデレって言うんだよ! もはや怖いよ!」
「怖いって、私が付き合うって言ったのに付き合おうとしない圭君の方が怖いんだけど」
「お前よっぽど自分に自信あるみたいだけど言う程可愛くねぇからな!! 中の上くらいだからな!」
「圭君こそツンデレじゃん!」
「ツンデレで中の上なんて言ってねぇよ! 本気で中の上だと思ってるよ! 上の上って思ってるのお前だけだよ!」
「酷いよ...中の上なんて」
圭はつい勢いに任せて人の顔を中の上と言う最低な事を言ってしまった。反省し「ごめんね、言いすぎた」と言うと「本当は?」と聞かれたので「上の上だと思ってるよ」と伝えると
「やっぱり本当は上の上だと思ってたのに中の上って言ったんだ、ツンデレ」
「うぜぇ!!!!!」
綺麗な夜景が見える観覧車で、1つのゴンドラが激しく揺れた...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます