第51話 最終決戦⑥
~ジュディマリを聞く少女~
登場人物 一ノ瀬晴奈 一ノ瀬隆司
暴念圭一 ナナ
迫田竜玄 宮本順三郎
第1話 散歩道
第2話 ドキドキ
第3話 自転車
第4話 RADIO
第5話 DAYDREAM
最終話 会いに行くよ
------------------
頬に垂れた涙を拭き圭一が挙手をした
暴念「ケイ様、それでは推理をお願いします」
ケイ「死ぬ直前にLINEで送ったダイイングメッセージだが、俺達は "FB" をフェイスブックだと勘違いしていた。しかし本当は別の意味だったんだ」
リュウ「なんだと!?」
ケイ「オープンキャンパスのバスの中での会話を思い出せ、晴奈はスマホの画面を見なくてもフリック入力ができるんだ。晴奈は死ぬ直前意識が朦朧として画面があまり見えなかったが大体の位置でフリック入力ができた。しかし画面を開いた時に左下を一度押してしまっていたせいで平仮名じゃなくてローマ字を入力する画面にしてしまっていた」
暴念「本当は平仮名を打とうとしていたと...もし平仮名の画面で "FB" と同じ位置の文字を入力していたら何と書かれてたのでしょうか?」
ケイ「それは......」
ケイは目を潤ませながら震えた声で言う
ケイ「...........好き」
その言葉を聞いた暴念の目にも涙が溜まる
ケイ「晴奈は死ぬ直前に、圭一に好きと...ただ好きって言いたかっただけなんだ! 圭一が告白しようとしてる事に気付いて、苦しみながらも最後の力を振り絞りその返事をしたんだ!」
暴念「なるほど...息子も報われたものです...」
リュウ「ちょっと待てよ!!」
しんみりした空気をリュウが止める
リュウ「申し訳無いけどその推理には矛盾がある。もし間違えてローマ字の画面になっていたなら、 "FB" と大文字では無く "fb" と小文字になっているはずだ!」
ケイ「それは圭一がfbの意味を分からずネット小説に投稿する時に大文字に直してしまったんだ」
リュウ「でも現にフェイスブックから事件の全容を暴けた。 "好き" と言う意味で送った可能性もあるがフェイスブックの可能性もある! 暴念さんには申し訳無いけどそこんとこはしっかりしてもらうよ」
暴念「...確かに私は父親ではあるがゲームマスターでもあります。好きと言う意味で送った証拠が無ければリュウ様の推理を越えたとはいえません」
ケイ「ぐっ...暴念さん、この結果で納得してください」
暴念「それはできません」
ケイ「納得してくれ! このハッピーエンドのままで! これ以上聞くとバッドエンドになってしまうんだ!!」
暴念「...私はどんな真実でも受け入れるつもりです。息子に何があって、何を思って死んでいったのか、全てを教えてください」
ケイ「ぐっ...覚悟して聞いて下さい。圭一は、自殺じゃありません」
「何...?」
その場にいた全員が声を揃えて驚いた
ケイ「モニターを見てください」
--------------------
~ジュディマリを聞く少女~
第1話 散歩道
第2話 ドキドキ
第3話 自転車
第4話 RADIO
第5話 DAYDREAM
最終話 会いに行くよ
--------------------
ケイ「圭一はネット小説の各話のタイトルをジュディマリの曲名にするというこだわりがある。でも最終話のタイトルだけジュディマリの曲名じゃ無いんだ」
リュウ「別の人物が書いたのか...」
ケイ「俺は気になって実際にネットに投稿されている"ジュディマリを聞く少女"を見てみた。すると第5話が投稿された8月1日から最終話が投稿されるまで1ヶ月空いていたんだ。その1ヶ月の内に..」
暴年「息子は犯人を見つけたんですね」
ケイ「はい。必死で犯人を探した圭一は迫田竜玄と言う男に辿り着いた。そしてDM等を送り迫田に接触した」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
圭一「あなたが、ペットボトル殺人鬼ですね」
迫田「よく分かったね」
圭一「自主して下さい」
迫田「嫌だね。僕にはやるべき事がある」
圭一「ペラープ宗教団体を潰すつもりですね」
迫田「分かってるなら邪魔しないでくれ」
圭一「お前のせいで晴奈は死んだんだ!」
圭一は迫田に襲い掛かる
迫田「一ノ瀬晴奈だろ。あいつと関わりがあるって事は、やっぱりお前もペラープ宗教団体の一味か」
迫田にとって "ペラープ宗教団体" と "名前に数字が入っている" という殺しの条件が圭一に当てはまってしまった
迫田「死ね」
圭一は睡眠薬で眠らされ車に乗せられると近くの廃墟ビルまで移動し屋上から落とされた。
迫田は圭一のスマホを拾うと、圭一の指紋を使いスマホを開いた。
(ネットの小説投稿サイトに事件の事が書かれている。5話まではもう投稿されてしまっているが6話はまだ投稿されていない、多分今日起きた事を投稿する予定だったのだろう)
迫田は6話の途中まで書かれている内容(事件の真相) を全て消し自殺で幕を閉じる結末に書き換え投稿した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ケイ「迫田は各話のタイトルがジュディマリの曲名という事を知らずそれっぽいタイトルにしてしまった...これが真相だ」
リュウ「ぐっ...」
ソウ「ぐっ...」
暴念「最終話を別の人間が書いた事は明らか...その理由は犯人が自殺に思わせる様仕向けた以外考えられません。完璧な推理です。よってこの勝負、ケイ様の勝利とします」
ケイ「やった......勝ったぞ...!」
ケイは自分の涙が嬉し涙なのか悲しくて泣いているのか分からないが、とにかく優勝した事実に震えている。
暴念「これにてゲームを終了し、賞金の受け渡しに参ります」
こうして長い長い1週間が終わった...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます