第44話 ジュディマリを聞く少女④
第4話 RADIO
「世間を騒がせているペットボトル殺人事件。またしても三滝裕子さんが..」
ポチッ..圭一はテレビを消した。LINEばっかりいじってる為見てられないのだ、変わりにRADIOを掛け音楽を聴く。
"オープンキャンパスなんだけど、近くの駅までバスが来てくれるみたい"
"そうなんだ! じゃあそこで待ち合わせよっか、誘ってくれてありがとね!"
"うん! お互い動物もジュディマリも好きで良かった~笑"
"そうだね笑 久しぶりに同級生と喋った!"
LINEで喋れるだけでこんなにも幸せ...来週のオープンキャンパスも正直デート感覚だ。
そしてオープンキャンパスの当日
「最近世間を騒がせているペットボトル殺人事件ですが実は犯罪を犯した事がある悪人しか狙わない歪んだ正義感..」
圭一にはテレビの内容が入ってこない。「正義かも知れないけど殺人はダメよね〜」と話しかけてくる母に軽く相槌を打ち「ちょっと聞いてるの?」と言う言葉は無視して晴奈に送るLINEを考える
"おはよう! 今日楽しもうね"
"おはよう! 良い学校だといいね"
"おはよう! 小山駅前集合ね"
文字を打っては消してを繰り返していると晴奈の方からLINEが来た
"おはよう! 今日は誘ってくれてありがと! 良い学校だったらいいね"
晴奈のトーク画面を開いていたので送ってすぐ既読が付いてしまい、圭一は恥ずかしさから言い訳の文章を送る
"おはよう! 僕も丁度同じ様な事送ろうとしてたからすぐ既読付いちゃった笑"
続けて送る文章を考えていたが時計を確認すると遅刻しそうな時間になっている事に気付き、携帯をポケットに入れ持ち物を確認し玄関を出る。
駅前に着くと晴奈はスマホの内カメラを使い前髪を整えていた。そんなちょっとした晴奈の仕草に圭一はドキッとしてしまう。
圭一に気づいた晴奈はおはようと手を振り圭一も手を振り返す。2人並んで10分程送迎のバスを待つ、その間2人の会話は絶えなかった。バスが到着し乗り込むとさっきまでジュディマリの話をしていた2人の話題は専門学校の話題になった。
「ちょっと緊張してきた〜」
「晴奈は通信制だから学校自体にあんまり慣れて無いよね」
「うん、だからまた普通に学校に通いたかったんだ」
「そっか...晴奈も行きたくて通信制に行った訳じゃ無いんだもんな」
圭一は晴奈が通信制高校を選んだ訳に深く入り込んで良いのか分からず聞けないままでいた。
バスの時間は長いので2人の話題はスマホゲームに移る
「晴奈は麻雀とか打てる?」
「打てるよ! 家族で昔やってた!」
「そうなんだ! じゃあアプリで打とうよ」
「いいよ、今アプリ入れるね」
圭一は晴奈の携帯を覗き込みアプリの名前を教える。晴奈のフリック入力の速さに驚く圭一に「画面見ないでも入力できるよ」とドヤ顔をする晴奈。
インストールが終わりアプリのチュートリアルを見終えると"名前を入力して下さい"と画面に表示され晴奈は"はるーん"と入力した。圭一は笑いながら「なんで"はるーん"なの?」と聞くと「色んなアプリ"はるーん"で登録してるの」と答えた。こんな些細なやり取りが圭一にとって...2人にとって幸せな時間だった。
専門学校に到着し、2人はペットのしつけやトリミング等を体験した。
「楽しかったね」
「ね! 私ここに願書出そうかな」
「本当に!?」
「うん、圭一君になら言っていいかな...実は私のお父さん犯罪者でさ、その影響で私も中学校に行けなくなっちゃって、通信制に通う事になったんだ...」
「そうだったんだ...話してくれてありがとう」
「うん...だから普通に高校に通えてる人が羨ましくてさ、ここでまた普通に学校に通えたらなって」
「ここでならきっと楽しい学校生活が送れるよ、一緒に願書出そうか」
「そうしよう!」
晴奈の過去を知った圭一は、絶対に一緒の学校に行って楽しい思い出を作ってあげたいと思った。
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