第42話 ジュディマリを聞く少女②
第2話 ドキドキ
「速報です。ペラープ宗教団体が近々テロを起こす可能性がある事が分かりました。過去には毒ガスで大量殺人...」
毎日暗いニュースばっかりだ。圭一はいつもそんな事を思いながらテレビを見ているが、今日はじっと窓の外を見つめる...そして晴奈が見えた瞬間に「行ってきます!」とお母さんに言って家を飛び出る。
扉を開けると晴奈と目が合う、圭一は偶然を装い「あ! おはよう!」と言う。家の前を通るタイミングを見計らってたなんて口が滑っても言えない。
会話が下手な圭一は「今日もジュディマリ聞いてるの?」とすぐに話が終わりそうな事しか言えない。「うん!」と答えてくれた晴奈にジュディマリ以外の話題で話を広げようとした。
「通信制の高校って、学校に行かなくてもいいの?」
「そうだよ。年に何回か授業を受けに行けば卒業できるの」
また圭一は「へー」としか返せない質問をしてしまった...頭の中では今頃「今度カフェとかでじっくり話しませんか」って言ってるはずなのに。同じ学校じゃないから彼氏がいるか周りの友達に聞く事もできない。
少しぼーっとして間が空いてしまい焦った圭一は「あ、あの!」と言ってしまい後に引き返せなくなった。
「どうしたの?」
「あ...あ..あの、土日とかって暇ですか...?」
「うん。暇だよ」
晴奈は笑顔で喋ってくれるがずっと小声で時々聞き取れない時もある。もしかしたら嫌だったのだろうか...と思ったが「来週の日曜日とか、何にも無いよ」と晴奈の方から言ってきてくれた
「じゃあ、日曜日にカフェとかでジュディマリの話とかいっぱいしませんか?」
誰かをデートに誘うのが初めてでつい敬語になってしまう
「うん! いいよ!」
「あ、有難う」
「駅前にできた猫カフェ行ってみたかったんだ」
「あそこ猫カフェだったんだ! 良いね、行こう!」
呼吸が苦しくなる程胸がドキドキした。この後バイバイをして学校に向かう途中、何度ガッツポーズをしただろう。全く華やかで無かった青春に光が灯った。
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