第41話 ジュディマリを聞く少女①

第1話 散歩道


「続いてのニュースです。無職の二階堂俊文さんが殺害されました。現場にはペットボトルが...」


圭一はテレビの電源を消しお母さんに行ってきますを言って玄関の扉を開けると、いつもの美少女が通りかかる。多分僕の家の前が彼女の散歩道なのだろう。いつもワイヤレスイヤホンを付けて散歩しているが鼻歌を歌っているので何を聞いているのかすぐ分かる。


「今日もジュディマリか」


圭一はJUDY AND MARYが大好きだ。でも友達にジュディマリを聞いてる人がいないので実は彼女に話しかけたくて仕方なかった。奥手な圭一は今日も話しかけられずすれ違うだけだと思うと、彼女の右耳からワイヤレスイヤホンが落ちた。圭一はそれを拾い彼女に渡す


「あ...これ..」


彼女は「有難うございます」と言いまたイヤホンを付け直そうとする、圭一はこの機会を逃すと二度とチャンスは無い! と思い勇気を振り絞って話しかける


「あの...」


彼女は「なんですか?」と不思議そうな顔でこっちをみる。あまりにも可愛い目でこちらを見つめるので圭一は緊張して言葉に詰まってしまう。


「あ...その...好きなんですね..ジュディマリ」


「あ、聞かれてました?」


彼女はいつも鼻歌を聞かれてると気付き顔を赤らめた。


「...僕もジュディマリ好きなんです」


「そうなんですね! ちなみに何の曲が好きなんですか?」


「僕はBrand New Wave Upper Groundですかね」


「分かる~! 良いですよね!!」


「あ...その..」


圭一も彼女に好きな曲を聞きたいがどう聞き返せば良いかが分からない。それを察してか彼女は「私、一ノ瀬晴奈って言います」と名前を教えてくれた。「圭一です」と自己紹介を仕返しまた話が続いた。実はお互い高校3年生で、晴奈は通信制の高校に通っているからこの時間にも散歩ができるらしい。


「私はステレオ全開が好き」


「分かる! 解散しちゃったの本当に悲しいよね」


そんな会話で盛り上がっていたが、学校に遅刻してしまう為「また話そうね!」と言い学校に向かった...ずっと晴奈の事を考えながら...

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